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フォークリフトトラックの安全

(資料出所:カナダ労働安全衛生センター ホームページ)
http://www.ccohs.ca/headlines/text16.html

(仮訳 国際安全衛生センター)



 工場では荷を持ち上げて運ぶ作業のためにフォークリフトトラックに頼るようになった。危険であるということを除いて、フォークリフトは不可欠な機械である。しかし、労働者がフォークリフトに慣れてくると、安全上の問題があることを忘れて、運転にあたっての、また、保守上の重要な事項を怠りがちである。フォークリフトで災害が生じると、この機械の強力さや重量から、通常、傷害は重篤なものとなる。

 労働者は、フォークリフトを安全に扱かえるよう、雇い入れ時、さらにその後も定期的に訓練されなければならない。熟練した運転者の再教育は、新規雇い入れ労働者の訓練と同様に重要である。また、傷害が発生した場合の基本的な応急手当のトレーニングを受けさせるのも良いアイデアである。


フォークリフトの点検

フォークリフトはきびしい仕事を遂行するように設計されているが、使用されている間にいろいろな損傷が生じる。これが、点検がなぜ重要であるかの理由である。各シフトの開始時に、操作上のチェックと同じく、一般的な目視による点検やリフトトラックの清潔さの点検も実施する。また、フォークリフトの通常の操作に影響することが予想される事項に気付いたら、直ちに監督者に報告する。


目視点検のためのチェックリスト
  • 床−−−事故を引き起こしそうなものはないか
  • 頭上に障害物はないか
  • 運転経路付近の障害物の有無
  • 消火器は備え付けられ、充填されているか
  • エンジンオイルレベル、燃料レベル、ラジエータの水位は適正か(LPG 、ガソリン及びディーゼルフォークリフト)
  • 完全に充電されたバッテリーが安全に設置されているか
  • 露出した電線はないか
  • バッテリープラグの接続部は汚れていたり、すり減っていたり、ゆるんでいたりしないか
  • ベントキャップは詰まっていないか
  • バッテリーセルの電解液レベルは適正か
  • ブラケットに問題はないか
  • ボルト、ナット、ガード、チェーン、あるいは水圧式のホースリールはゆるんでいたり、なくなっていたり、傷ついていたりしていないか
  • 車輪はすり減っていたり、傷ついたりしていないか
  • タイヤの空気圧は適正か
  • フォークは曲ったりあるいはひびがはいっていないか
  • ポジショニングラッチの調子は良好か
  • キャリッジティースは破損していたり、欠けていたり、すり減っていないか
  • チェーン・アンカーピンはすり減っていたり、ゆるんだり、曲がっていないか
  • 漏れの可能性のある湿っぽい場所や滴りはないか
  • ホースは安全に保持され、ゆるんだり、つぶれたり、すり減っていたりあるいは擦れていないか

運転前点検のためのチェックリスト

  • ホ−ンは作動するか、作業環境で十分聞こえるか。また、他の警告装置は使用可能か
  • フロアブレーキ: ペダルはしっかり保持され、ユニットはスムーズに停止するか
  • パーキングブレーキ: アクセルを少し加速しても保持できるか
  • デッドマンシートブレーキ: 座席からオペレーターが立ち上がった時に保持できるか
  • クラッチ及び変速レバー:ジャンピングあるいはがくんと動くことがなくスムーズに扱えるか
  • ダッシュボード: 全てのライトとゲージは使用可能か
  • ハンドル: スムーズに動くか
  • リフト機構: スムーズに作動するか (フォークを最大の高さにし、その後、完全に低下させて調べる。)
  • 傾斜機構: スムーズに作動し、保持できるか(傾斜マストを前方から後方へ向けて調べる。)
  • シリンダとホース: 以上の点検の後に漏れがないか
  • かわった音がしないか
  • フォークリフトトラックの修理やメンテナンスは、資格があるもののみに許可しているか

フォークリフトの運転

フォークリフトの制御ができ、停止、発進、リフト、及びティルトがスムーズにできるように訓練を受けた運転者以外の者にフォークリフトを運転させない。以下にフォークリフトの安全上のいくつかの重要なガイドラインを列挙する。

走行

フォークリフトトラックの外に手、腕、頭、足を出さない。フォークをできるだけ低くし、後方に傾けて走行する。交通標識を守る。曲がり角ではスピードをおとし、ホーンを鳴らし、リフトトラックの後部と荷の振れに注意する。急に停止しない。荷が視界を妨げるときは、ゆっくりと逆行する。常に走行方向を見て走行する。油汚れ、ぬれた場所、障害物、穴、路面の、作業床あるいは通路上の人々と車両に注意すること。

他の人々の安全を確保するため、荷があるときと無いときのリフトトラックの視界の死角を知っておく。人がルートを横切るときはフォークリフトトラックを停止させ、荷を下げて、人が通過するまで待つ。

傾斜面での走行

荷を積んでいないときにはフォークを下り方向に、荷を積んでいるときには上り方向に向ける。平らな場所に来るまでリフトトラックの向きを変えない。

ハンドル操作

前輪で荷を保持し、後輪で旋回する。速度がでているときにはハンドルをするどく切らない。リフトトラックに荷を積み過ぎると、ハンドル操作が難しくなる。荷重の限界を超えて荷を積まない。ハンドル操作を改善しようと、カウンターウェイトをつけない。

荷の積載

フォークリフトの積載限界 (データプレートに記載されている) とフォークの容量を知ることは重要である。また、決してこれらの限界を超えない。

荷重中心に従って荷を載せる。過負荷と釣り合わせるために余分なカウンターウェイトをつけ加えない。リフトトラックを安定させるため、荷を前部車輪の近くに積む。

フォークを挿入する時には、フォークをパレットに挿入する前に、フォークリフトのマストを垂直にする。また、挿入する前にフォークを水平にする。

荷の持ち上げ

リフトトラックが止まり、ブレーキが掛けられていない状態で、フォークを上げ下げしない。バックレストの高さを超える荷は、もし荷の一部でもオペレーターの方へ落下してくる危険があれば、荷をもち上げない。荷を上げる前に頭上のクリアランスを調べ、また、頭上の送電線からの距離を確保する。荷は上へまっすぐにあげ、それから、わずかに後方に傾斜させる。荷が隣接している荷や障害物にぶつからないように注意する。フォークがフリーになるまでバックアップしない。

荷を持ち上げると、リフトトラックはより不安定になる。荷をあげているときにはオペレーターは、フォークリフトから離れてはならない。荷の有無にかかわらず、誰も持ち上がったフォークの下に入ってはならない。

パレットの取り扱い

フォークが水平で、パレットに入れるための十分な高さとなったことを確認してから、荷の下に差し込む。フォークの幅は荷の重量が均等にかかる幅とする。

フォークがあがっているときは、荷、フォークリフト、あるいはまわりの物を動かしたり、調節したりしない。上昇しているパレットを即席の作業床として使わない。

駐車

認められた場所でだけ駐車する。リフトトラックから離れるときは、ブレーキをかけ、フォークと荷を床におろし、コントローラをニュートラルにし、モーターのスイッチを切る。バッテリーを切るか、プロパンの停止を行う。

トラック、トレーラトラック、及び鉄道車両の荷揚げ荷下ろし

荷揚げ荷下ろしのための車両を準備する。

車両のブレーキをセットして、車輪を輪留めで止める。転覆しないように、トラクターにつながれていないセミトレーラーでは固定ジャッキを設置する。標識をかかげ、他の者が車両を動かさないように警告する。車両の入口ドアの高さが少なくとも 5cm(2インチ)はフォークリフトの高さを超えているか調べる。床がフォークリフトと荷とを合計した重量を支えることができるかを確認する。

ごみ等、障害物、床の穴や、照明について車両の内部を調べる。滑りそうな場所にはノンスリップ材を敷く。

ドックやドックプレートに障害物がないか、油や水がないか調べる。

車両への荷揚げ荷下ろし

ドックの端、レールカー、あるいは傾斜路から離れる。ドックの端にははっきりとマークする。

レールカーやトラックをフォークリフトで牽引したり押したりしない。換気のない車両の中でフォークリフトを長い時間、運転しない。ドックプレートは、確実に固定され、荷(荷の重量が明確に記されているべきである) を支えることができることを確認する。慎重にそしてゆっくりプレート上で運転する。車輪をスピンさせない。

レールカーへの積載

線路に対角に横切り、車両にはいるまえにハンドブレーキと車輪止めとデイレイラーをセットする。フォークリフトを線路から 3メートル以内に置かない。フォークリフトのフォークで車両のドアを開けない。

フォークリフトトラックと一緒にエレベーターに乗る

特別の許可がない限りエレベーターを使わない。入る前に、フォークリフトと荷の合計重量がエレベーターの可載重量を超えていないことを確認する。エレベーターにはゆっくりと近づく。エレベーターゲートから安全な距離で止まって、正面からまっすぐに進入する。

フォークリフトのコントローラをニュートラルにする。モーターを止め、ブレーキをかける。

フォークリフトの上であるいはその近くで作業するときは、注意をし、思いがけない事故を警戒する。衝突、破損、あるいはニアミスがあったら直ちに監督者に報告する。

フォークリフト安全についてのより多くの情報を知るためには、CCOHSのInquiries Service(TEL : 1-800-668-4284)に連絡するか、OSHA Answersをご覧下さい。