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中国(四川省宜賓市の取り組み)
特大・重大事故の頻発の抑制に関する考察

高世明 雷亞触
(宜賓市安全生産事務室)

(資料出所:労働保護学会通信 第15号(2000年12月18日) 
四川省労働保護科学技術学会)



[概要]:    本文は、最近、特大・重大事故が頻発しており,安全職務の大変深刻な現実に焦点を合わせて、事故の原因,特徴を分析し、特大・重大事故を如何に有効に抑制するかについて、経済工作の旺盛な発展を促すために、具体的方法,措置を提案する。

[キーワード]: 抑制,特大・重大事故,考え

江総書記の“三つの代表”の重要思想を全面的に徹底的に実行し、特大・重大事故を有効に抑制し、改革と発展及び社会の情勢を安定させ、西部大開発において全市が経済的に追いつけ追い越せのパターンを実現し、発展させるために、非常に重要な意義がある。



1. 最近の特大・重大事故の基本概況

関係資料によると、近年来、全国の特大・重大事故は頻発しており、今年1-7月だけで、1件当たりの死亡が10人以上の特大事故が計65件、死亡者数が計1,318人であった。1-7月に全省で発生した重大事故は1件当たりの死亡10人以上が計17件、死亡者数が計349人であった。

当市は、四川省南部にあり、丘陵と山地を主にした地形で、全市の213の町村及び80%以上の村には公道,金沙江,畉江及び長江が南北に貫いており、他に9本の支線と河川が縦横に走っている。市の地域内には、現在、停留所が22カ所,各種の機動車両が4,641台,埠頭が221カ所,各種の船舶が958隻あり、川と陸の交通安全の環境が全般的に悪い情況にある。同時に、当市は主要な石炭産地でもあり、国有の石炭鉱山企業が計6カ所,省と市が体制を改革した炭鉱が9カ所,町村民営の炭鉱が512カ所あり、大多数の炭鉱が高ガス地帯にあり、自然災害が特に目立っている。従って、このような特殊な自然条件と経済基盤のために、当市の川と陸の交通と町村民営の炭鉱では事故が頻繁に起こり、特大・重大事故も非常に目立つということを決定付けており、統計によれば、今年1-7月で各種の特大・重大事故が9件,死亡者数が49人、既に発生しており、安全生産面では、非常に過酷な情勢にある。



2. 現在頻発している特大・重大事故の原因

最近の特大・重大事故の状況を総合的に分析してみると、事故を誘発した原因が多方面にわたっているけれども、結局、その主な原因は、一つに、少数の指導幹部、中でも少数の末端の指導者と企業経営管理者は、党中央,国務院と省,市政府の安全生産関係の指示と精神を真剣に徹底して実行に移さず、特に重要視せず、安全への取り組みが口先や文書だけに留まり、措置が所定の所まで行き届かず、断固とした行動を採らず、職務が具体的に実行されず、“組織の上の方では熱いが、下の方では冷めている”の現象が深刻に存在している。

二つに、一部の地方では安全生産責任制の実行のための具体化・明確化に大きな格差があり、指導,部門責任が不明確であり、皆しっかり取り組んでいるように見えるが、実際は、地方組織の上下各部門が段階的に責任請負書に調印したけれども検査・審査を未だしておらず、往々にして形式に流れ、各行動に有効となる規則制度がただ壁に掛かっているだけで、ただ陳列しているだけで、各安全責任と措置が現場で真に実行されておらず、企業,車,船,人の末端まで行き届いていない状況にある。三つに、ある企業は、経済の効果と利益を一方的に追求し、中でも一部の町村企業,私営企業と個人工場,個人の運送屋や運搬船などの経営者は、利益に目がくらんで正義を忘れ、安全方面へ積極的に参加する意志が非常に乏しく、事故を引き起こす潜在的危険や原因を改めようとせず、法律があっても従わず、規則があっても従わず、金もうけばかりしており、人民大衆の生命財産のことを忘れ顧みない。四つに、多くの企業は既存の安全生産法規を真剣に執行しておらず、管理が弛んでおり、安全訓練教育がつまらないものになり、オペレーターの安全意識と操作レベルが低下し、“三つの違反”現象が特に目立ち、何度禁止しても止めない状況にある。五つに、改革の深化と経済の迅速な発展につれて、各種の経済出身の企業が大量に出現し、現行の安全生産の法律法規が主として国有企業向けに制定されているため、管理面で、それ相応の法規と制度が欠け、その拘束力が著しく弱体化している。六つに、各級安全監査チームの人数が少なく、年齢も若くなく、作業条件が劣っているなどの問題が、あちこちで見られ、当面の安全職務の面でふさわしくない矛盾が特に目立っている。七つに、典型的な事故調査処理能力が不足し、それぞれの地方の保護主義的色彩が濃厚で、事故後、関係責任者は厳しい処分を受けず、他の人も事故から教訓をくみ取らず、結果として、同種の事故が再発している。



3.特大・重大事故の頻発の抑制に関する考察

3.1 “三つの代表”の要求に照らして、政治を論じ,安定を保ち,発展を促す高度なレベルに立ち、的確に指導を強化し、安全生産職務に取り組む責任感と緊迫感を高めなければならない。

安全生産職務は、国家と人民の生命財産の安全に係わり、人民大衆の切実な利害に係わり、人民大衆の党と政府に対するイメージに係わる。従って、安全職務に最善を尽くすには、江沢民総書記が安全生産について述べた“人命は天に係わることである”,“責任は泰山よりも重い”の重要指示に従い、広範な人民大衆の根本利益を第一に考え、安全と生産,安全と利益,安全と発展との関係を正しく処理し、安全生産職務を真に重視しているかどうか,人民の生命財産の安全を重視しているかどうかにより、各クラス指導幹部の党人気質の強さを評価し、職務が適任であるかどうかを一つの重要な目印として、安全生産職務とりわけ特大・重大事故の有効な抑制を当面の非常に際立った政治任務としてしっかり行わなければならない。


3.2 各クラス,各部門の指導者の責任を更に強化し、断固として強力に実行に移すよう努力させる。安全生産職務は、強化あるのみで、弱められず、責任を的確に実行し、警鐘を長く鳴らし、常に怠らず、盲点を残さないようにしなければならない。一つに、各地,各部門の党政府の最高責任者は、安全生産の総括的責任を持ち、管轄と担当の各指導者は、具体的責任を持ち、具体的指導を強化し、各クラスの指導を強化し、各レベル・過程ごとの指導の強化を実行に移さなければならない。二つに、安全生産責任制を末端まで実行させる重点は、町村,農村である。手薄な部門の交通運輸や弱い部分のある町村炭鉱に対しては、安全生産責任請負書を段階的に締結して各項の安全措置と責任制を工場鉱山ごとに,車両ごとに,船舶ごとに,各人ごとに、真に実行できるように具体化・明確化する。三つに、安全生産規則制度を常に完全なものにし、安全生産管理審査を更に強化し、安全生産指数を社会治安の総合管理,計画出産指数と同じやり方で決定し、一票の否決であろうとも毅然として各クラス各部門の審査を行う。1年内に特大事故あるいは三回の重大事故が発生した、もしくは年間の死傷者指数を超えた地方や所属部門は、優劣判定資格を全て取り消され、その地方や所属部門の指導者は、模範的な個人,労働模範の評定に一切参加することができない。更に、成績が飛び抜けた者に各種の栄誉称号を授与し、経済的に大きな褒賞を与える。四つに、各クラス幹部の安全生産について実行した状況に対する審査を更に強化する。各クラスの組織,規律検査部門は、幹部管理制度を作り上げて完全に整えなければならず、中でも幹部安全生産責任追及制度を作り上げて完全に整えなければならず、各クラス幹部の安全生産について実行した情況に対する普段の査定と審査に一段と力を入れ、安全生産の業績と幹部の審査とを結び付けて、効果的な安全生産取り締まりメカニズムを作り上げなければならない。


3.3 安全生産における訓練教育業務に力を入れ、国民全体の安全意識を高める。

安全生産は、誰にも分かるようにし、誰でも知っているようにしなければならない。各地各部門は、多種の形式を採用して、全方位的な安全生産訓練教育の活動を強力に展開し、等級付け・分類の管理原則に照らして、各クラスの指導幹部,各クラスの安全監督人員及び安全生産の企業経営者,管理人員と特殊作業人員,その中でも町村炭鉱,個人私営船舶・車両の経営者,管理人員とオペレーターを真剣に組織して、期間・回数を分けて、一つの例外もなく安全訓練教育を行い、安全意識と自己保護の意識を更に高める。それと同時に、各クラスの宣伝部門とプレス関係は、異なった時期での安全生産職務の特徴に照らし、安全生産職務中の先進モデルを大々的に宣伝し、多くの幹部大衆を目覚めさせ・教育しなければならない。この基礎の上に、大衆的な安全宣伝教育の活動を更に深め且つ広め、広範な住民,村民及び学生に対する安全宣伝教育を強化し、広範な人民大衆の安全意識を高め、自覚させ、危険な行為を阻止し、良好な安全生産社会の環境作りに努力する。


3. 4 安全生産の法体系の整備を強化し、安全監督管理の能力を更に充実し強化する。

我が国既存の安全生産方面に関する法律とルールの大部分は、計画経済体制の下で制定されたもので、現在の市場経済の状況下では、安全生産の法律施行の主体に重大な変化が生じており、特に、非国有経済の部分が大量に増えており、安全生産意識の違いがあちこちで見られ、設備が古く、事故の潜在的原因や危険の出所を直ちに見つけ処置することができないなどの問題は、現在の安全生産管理に手薄な部門や弱い部分があり、各種の事故を頻発させている主な出所の一つであり、既存のルールでは拘束力がないことは明らかである。従って、情勢の新たな発展のニーズに健全に適応した《安全生産法》及びそれに応じた法律とルールを作り上げ、新しい安全生産管理規則制度を制定し、強力な取り締まりメカニズムを作ることは、既に当面の急務となっており、高効率で,職責が明確な安全生産監督管理機構を強化し健全に統一し、安全監督管理の力量を充実し強化し、安全生産,責任事故の防止を強化し、組織上,制度上,管理上でそれを実行に移すことは、目前に差し迫った重要任務の一つである。


3.5 監督検査を強化し、整理改革に力を入れ、事故の芽を摘む。

安全検査は、事故の隠れた原因を直ちに発見する重要手段であり、また、事故の調査・処理を主とした安全生産管理を事故の予防を主とした方向へ転換する重要な一環である。各クラス,各部門,各職場の主たる指導者は、江総書記の“常に責任ある安全検査を真剣に行い、規定違反を見つけた場合は、重い処罰をし、直接、責任者と主な指導者に党の紀律,政治紀律あるいは刑事処分を行い、決していい加減にしない”の指導に従い、真に“腰を据え”、当地,当部門,当職場に存在する安全問題を真剣に検討し、自ら手配し、自ら指揮し、安全生産チェックキャンペーンに自ら参加し、問題が起きた場合は、直ちに、事故の潜在性を正し,処理し,徹底的に一掃し、生産と社会の安定を確保しなければならない。各クラス,各部門,各職場は、真剣に職責を果たし、おざなりな検査をせず、適切な実効を重要視しなければならない。安全生産チェックキャンペーン中の行動が鈍く,いい加減にあしらい,情実にとらわれ,お茶を濁したことにより、事故を引き起こした関係指導者と責任者についても、規定に照らし厳しく責任を追及し、厳重な処分をしなければならない。


3.6 “四つの見逃しをしない”の原則に照らして、特大・重大事故を厳しく慎重に速く調査し処置する。

以前、朱匪児総理は、“厳しく責任を追及しなければ、事故は無くし難いものである”と繰り返し強調された。従って、私達は、特大・重大事故の処分が軽すぎたり,寛大すぎたりした過去の傾向を正さなければならず、責任事故に対しては、“事故の原因を調べ上げなければ許さず、事故責任者が真剣でなければ許さず、従業員の多くが教育されていなければ許さず、防止措置がはっきり決まっていなければ許さず”の原則に照らして、事故原因をしっかり調べて明らかにする基礎の上で、法に依り関係責任者を厳重に処分しなければならない。管理をおろそかにし、法があっても従わず、命令があっても行わず、特大事故の発生を禁じ得ない場合については、直接の責任者の責任を追及するだけでなく、指導関係者と管理者の責任も追及しなければならない。3人以上の死者を出す重大事故が発生した場合は、町村政府指導者及び関係主管部門の指導責任を追及しなければならず;10人以上の死者を出す特大・重大が発生した場合は、区,県政府指導者及び関係主管部門の指導責任を追及しなければならない。同時に、法律の執行を監督する関係部門の人員が、職務をおろそかにしたり、職務上の違反・過失をしたり、情実にとらわれて不正行為をしたために、事故が発生した場合も、厳しく調査処分しなければならず、この場合、当該処分の処分、当該解任の解任、当該法に依る処罰の法に依る処罰であり、決して寛大・大目に見てはならない。

                                         2000年9月