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国際安全衛生センタートップ国別情報(目次) > EU 欧州安全衛生機構 年次報告 1999年

3. 安全衛生のメッセージの伝達

資料出所:European Agency for Safety and Health at Work発行
「Annual Report 1999」
(訳 国際安全衛生センター)


機構の活動内容が拡大するにつれ、対象層への効果的な情報伝達の重要性が増してきた。出版物、インターネット、ビデオ、展示、報道機関向けの情報提供、プレゼンテーションとブリーフィングを組み入れた統合的な展開が、機構のコミュニケーション戦略の基盤となる。

1999年、機構は多数のコミュニケーション対策を推進する一方で、この分野での能力向上をはかる対策を進めた。

機構のウェブサイト−独自な情報発信源

1999年、機構のウェブサイトを大幅に拡充し、これを中心として10月から12月にかけて欧州規模でウェブサイト開設キャンペーンを行った。(末尾の特別記事を参照のこと)

このサイトは、実際には機構自体のサイトとフォーカルポイントが管理する15ヵ国のサイトとを統合したものであるが、いまや労働安全衛生の専門家と関心のある一般国民の両方を対象に、国と言語の違いを乗り越えたオンライン情報源となっている。サイトには機構の役割、活動、出版物の概要を掲載しており、また新しいナビゲーション方式によって訪問者は欧州と各国レベルの情報に直接アクセスできる。欧州の法令はEUのすべての公用語で掲載し、ほぼ毎日、新情報を追加している。サイトは、労働安全衛生に関するありとあらゆる情報へのアクセスの提供を目指している。

1999年は機構の日常活動の管理でも、インターネットなどの電子的コミュニケーション手段の役割を拡大した。機構とトピックセンターは、インターネット・エキスパート・インスティチュート(Internet Expert Institute)と協力し、各種の情報をオンラインで提供するための新しいアプリケーションの開発に取り組んでおり、機構運営委員会とパートナー向けのエクストラネットの2000年導入計画も順調に進行している。

労働安全衛生専門家の認識の喚起

誕生して日の浅い機構は、1999年、その存在を労働安全衛生関係者に周知するための新たな対策を講じた。具体的には対象者別に頻繁に情報提供を行うこと、欧州で行われる労働安全衛生に関する主要な会議や展示会に必ず出席することなどである。たとえば、デュッセルドルフ(ドイツ)で開催された「A+A International Safety and Health Fair and Congress」での機構の展示コーナーは、5万人の来訪者の間で大きな関心を呼び起こしたし、同展示会でドイツのフォーカルポイントと共催したワークショップも同様であった。

出版事業での並行的アプローチ

1999年は機構のニューズレターを2号発行し、また雑誌を創刊して労働安全衛生のコスト分析に関する特集号を発行した。さらに連続的な研究情報報告書の第1号を出版するとともに、機構の個別活動に関する「概況報告書」を11の言語で発表した。2000年も、ユーザーの情報ニーズに対する調査結果をふまえ、出版事業では印刷物と電子版を統合した並行的アプローチを拡充する予定である。

報道機関と一般向けの情報提供

機構は、ジャーナリスト、労働安全衛生関係者、企業、一般国民からの情報要請の拡大に一貫して応えてきた。また各国の編集者ネットワークと協力し、報道機関向けの情報提供の充実、ニューズレターの発行、記者会見の設定、さらにビルバオ総会の宣伝にも積極的に取り組んだ。

情報要請では、アイルランドのフォーカルポイントからの加盟国の労働安全衛生監督に関するデータ収集の要請もあった。機構のもつ情報ネットワークを活用し、数ヵ月のうちに情報を収集してニューズレターに発表することができた。同様にオランダのフォーカルポイントからも、反復的負荷傷害に対する各国の政策についての要請があり、2000年はじめの概況報告書に発表されることになった。

また欧州委員会の要請に応え、コンピュータ2000年問題が安全衛生に与える影響についてウェブサイトに特集を掲載した。

幅広い国民に向けた取り組みの拡大

機構は、欧州委員会が、2000年10月予定の次回「労働における安全衛生のための欧州週間」の立案と組織化を、機構に委託すると決定したことを歓迎した。これは労働安全衛生に対するメッセージを、さらに幅広く訴えるための素晴らしい機会になる。「欧州週間」の立案作業は1999年に開始し、運営委員会は2000年の焦点を、腰痛をはじめとした筋骨格系障害の防止におくことを決定した。機構に「欧州週間」のための追加予算を割り当てるとの欧州議会の決定を受け、プロジェクト案の公募を開始した。機構は、議長国のポルトガルとフランス、さらに機構独自の情報ネットワークと協力し、「欧州週間」の活動を宣伝する。具体的にはセミナー、ワークショップ、「ロードショー(巡回講演など)」、優良規範のための解決策をさぐるコンペなどが予定されている。



労働安全衛生へのリンク−http://osha.europa.eu

1999年10月に機構の新しいウェブサイトが開設されたことで、欧州市民はワンクリックで労働安全衛生に関する豊富なオンライン情報を利用できるようになった。

欧州各地での開設イベントで新サイトを宣伝したハンス・ホースト・コンコレウスキー所長は、第1にフォーカルポイント・ネットワークがプロジェクトを支援してくれたことを賞賛した。「ウェブサイトの開設は、欧州に安全で衛生的な労働を確立するための大きな一歩である。われわれは、全加盟国とともに新しい安全衛生情報の情報発信源を創り出した。われわれの目的は、欧州全体で安全衛生への認識を高め、その改善を促し、支援することにある」

ウェブサイトにアクセスした人は気がつかないかもしれないが、http://osha.europa.euは、実際には15を超えるウェブサイトからなるバーチャル・ネットワークで、機構とフォーカルポイントが管理、更新している。共通のウェブ構造で合意できたこと自体が大きな成果だったが、秋の開設に間に合わせてコンテンツを用意できたのは、まさに全欧州的な協力の成果であったといえる。

ウェブサイトは、機構とその活動の概要を伝えるとともに、法令、優良規範、研究、統計、システム、ニュースとイベント、研修に関する情報を提供する。また安全衛生の指針と基準、機構の情報プロジェクトの一環として取り組まれている個別課題についての情報も用意している。

独自のナビゲーション構造をもち、訪問者はワンクリックで欧州と各国レベルの情報にアクセスできる。

ウェブサイトは絶えず進化しており、機構は将来の強化・拡大に向けた多くのプランをもっているが、開設当初のユーザーの反応や、EFTAとEU加盟候補国の多くがこのプロジェクト参加に興味を示していることを見ると、機構の取り組みは順調であるといえるだろう。