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ヨーロッパにおける新しい労働安全衛生戦略

資料出所:European Agency for Safety and Health at Work発行「News」2002年13号
(仮訳 国際安全衛生センター)

原文はこちらでご覧いただけます
http://osha.europa.eu/publications/newsletter/13/en/Newsletter13_EN.pdf



欧州委員会(European Commission)は2002年3月、労働安全衛生に関する地域戦略を発表した。 多くの研究機関、団体、関係グループはこの戦略について、それぞれの見解及び意見を提出したところである。この中には雇用・社会問題閣僚理事会(EU Council of Employment and Social Affairs Ministers)、欧州経済社会評議会(European Economic and Social Committee)及び欧州議会(European Parliament)のものも含まれている。これらのすべては、下記の欧州安全衛生機構(European Agency for Safety and Health at Work)のウェブサイトで見ることができる。

 この戦略の目的は、職場でのいじめや暴力、ストレスに関連する状況といった職場での新しいタイプのリスクをカバーするよう、EUの安全衛生政策及びその基準を新しくすることである。又、これは基準等を、より効果的に実施することや、改善された教育訓練などを通して、職場でのリスク防止文化を統一し、かつ既存の成果を強固にすることを目的としている。

 戦略は労働現場における変化や新しいリスク(特に社会心理現象面で)の出現を考慮に入れた労働福祉に地球的規模でのアプローチを試みるものである。 例えば、欧州委員会では、職場でのいじめや暴力についてはその指令を提案、検討しており、ストレスに関する状況では地域の関係者と相談しており、これらの戦略を実行する上でのあらゆる利用可能な政策ツール(法令、社会的対話、好事例、企業の社会的責任、経済的インセンティブ)を活用しようとしている。

 戦略に関する閣僚理事会の決定は、身体的、精神的、社会的面からみた労働福祉に重点をおく欧州委員会を支持するもので、そして労働環境面の変化を考慮に入れ、効果的な安全衛生政策を重要なファクターとしてリスク防止文化を統一し、戦略遂行に、多くの諸団体を巻き込むことの大切さを強調している。

 経済社会評議会では、この戦略方針は、最初の意見としてこの評議会が提起した多くの点に答えたものであるということで非常に興味深いかつ実行可能な文書として評価している。しかし、又、労働安全衛生上の主な問題は扱われているが、この戦略の実行しうるアクションプランをつくらなければならないという点も指摘している。

 この戦略に関する欧州議会のまとめ役Stephen Hughes氏によれば、欧州議会の報告は特に欧州委員会に安全衛生面での人材、予算をEUレベルでもう少し増やし、この戦略をフォローアップする詳細なアクションプランを作成することを求めているものである。 又、安全衛生面での性別(ジェンダー)に関する次元のさらなる強調、活動をも求めているものである。議会は立法面を特に重視しているが、戦略遂行に当たっては立法及び立法以外の活動の必要性をも支持している。 議会が報告書の中で言及している非立法活動の一つとして、ビルバオの欧州安全衛生機構で行われた2年間にわたる準備活動にもとづく、数年にわたる中小企業プログラムの実施がある。 又、欧州安全衛生機構に関してはEUレベルでの”安全衛生非立法活動の中心機関”として報告書の中で述べている。

 地域戦略に関する欧州安全衛生機構のウェブサイト
 http://osha.europa.eu/systems/strategies/future/#270