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Agency News

■1998年2月の運営会議

欧州安全衛生機構の運営会議は1998年2月24日と25日の二日間にわたって会議を開き、重要な運営上の問題や戦略上の問題についての 処理を行った。即ち、欧州安全機構の書類の情報開示を管理する規則についての草案の承認、欧州委員会法律部からのコメントに ついての議論、欧州安全機構の1997年年次報告書の承認 (詳しくは欧州安全衛生機構のホームページで見ることができる)である。

会議はまた、「欧州安全衛生機構と『生活及び職場環境向上のための欧州財団』の間の取り決め」(Memorandum of Understanding between the Agency and the European Foundation for the Improvement of Living and Working Conditions (the Dublin Foundation)の覚書の草案を承認した。欧州安全衛生機構がEU以外の国とどのような関係であるべきかについて議論した結果、 そうした国々とは情報面でのつながり(Information Links) を続けていくということでは合意した。

委員会はまた、欧州安全衛生機構は他の方法での協力をもっと発展させること、 及び欧州安全衛生機構の今後の活動計画にCEECsやその他のEU以外の国を含むことのできる具体的なプロジェクトを盛り込むことを 提案した。会議は最後に、「EUメンバー国における労働安全衛生に関する優先事項と戦略」(Priorities and Strategies on Occupational Safety and Health in the Member States of the EuropeanUnion) をどのようにしてフォローアップしていくかについて議論し、欧州安全衛生機構がどのような結論をすべきか、そして誰がする べきかについての確認をする時には、メンバー国、労使、顧問委員会と相談をするべきであるということに合意した。


■Allan Larssonが欧州安全衛生機構を訪問

1998年4月24日、欧州委員会のDGV「雇用・企業関係・社会問題総局」のAllan Larsson 総局長 (Director Genearal for Employment, Industrial Relations and Social Affairs) がビルバオの欧州安全衛生機構を訪問した。訪問中に同氏は欧州安全衛生機構の1998年の活動計画について説明を受けた。

また、Larsson総局長はスタッフに対して、欧州委員会の安全衛生活動の優先事項(巻頭記事参照)とそれを実施していく過程での 欧州安全衛生機構の役割について講演を行った。同氏は、欧州安全衛生機構がヨーロッパにわたる安全衛生情報システム開発を これまで発展させてきたことに対して祝辞をのべ、「欧州安全衛生機構が、実践的対策の向上を重要事項としてとして開始した インターネットシステムを通じての情報プロジェクトは非常に重要である。ヨーロッパのすべての企業中小企業は、どこにいても 安全衛生に関する最も優れた法律上及び実践的な対策についての情報にアクセスすることができるはずである。」と語った。


■新段階に入ったホームページ

今後のインターネット情報の必要性を評価するために、欧州安全衛生機構はホームページコンサルタントに同機構のホームページの優れている点と弱点について報告書を書くように依頼した。報告書の結論として、ホームページに対するいくつかの改善が提言された。1998年3月19日と20日の二日間、欧州安全衛生機構のインターネットチームが集まって、この報告書の結びで提案された事柄のうち技術面の問題について議論した。彼らは、ヨーロッパの労働安全衛生情報のユーザーのニーズを満たす、よりよいサービスを提供できるようなホームページを目指して現在のホームページを改訂する計画を決めた。こうした技術面の修正に加えて、ホームページのデザインに関しては、現在のフレームを基礎とした構造に替わって、新しいグラフィックアートの操作ボタンになる。端末のユーザーは、ホームページの主なすべてのセクションから直接、情報セクションとメンバー国のホームページの間を結ぶことができる。新しく提案されたホームページデザインのもとでは、ユーザーは、どの程度の情報が入手できるかをはっきりと知ることができるし、そうした情報が今構造のどの部分に入っているのかについてのはっきりとした指示を得ることができる。同一のテンプレートを基本にしたデザインの一貫性、デザインガイド、予め設定されたテーマの分類に特に配慮することとなっている。現在ある主なテーマに加えて、新たに「システムと精度」セクションが加えられ、また「トレーニング」というテーマが強調される。また、主なテーマの下に一様の細分類が設定される。

  欧州安全衛生機構は主に、国内情報を処理する役割をしている国内のFocal Point(訳注:安全衛生情報に関する各国窓口団体をこのように呼んでいるようである)とともに、ナビゲーションシステムを管理する。可能ならば、国内のFocal Pointはホームページ用にドメインネームを登録する。そして、欧州安全衛生機構は自分のドメインネームを登録する。

情報内容は1998年活動計画のなかの共通計画に従って展開する。共通計画としては,
  1. 安全衛生のガイドラインと標準
  2. 安全衛生のシステムと制度
  3. 国内とEUの安全衛生法
  4. 安全衛生に関する具体的なトピック がある。情報内容計画の全体の枠組みとともに、メンバー国は国内ホームページの内容を発展させ、欧州安全衛生機構は引き続きEU の情報を発展させる。



■欧州安全衛生機構とDulbin財団の間の取り決めの覚書

「欧州安全衛生機構と『生活及び職場環境向上のための欧州財団』の間の取り決め」(Memorandum of Understanding between the Agency and the European Foundation for the Improvement of Living and Working Conditions (the Dublin Foundation) の覚書はそれぞれの運営委員会によって承認された。覚書は、二つの組織の利害が共通である分野で双方の効果的な 協力関係が確保されるようにガイドラインを定めている。特定の活動で必要になれば定期的な会合をもつこと及び二者が協力して インターネットの開発を行うということが合意された。

その他には、互いの持っている知識の共有を確保すること、安全衛生に関 する情報の格差を確認してその格差を埋めること、重複する活動を避け、特に労働安全衛生プロジェクトの企画に関して透明性を 確保することなどが合意された。覚書は2000年に見直されることになっている。


■FOCAL POINT 会議についての最新情報

1998年1月15日と16日の二日間、労働安全衛生機構Focal Points の代表者らがビルバオで会合を行った。会合で彼らには行政委員会 会合の結果と労働安全衛生機構の最近の発達についての概要説明がなされた。

労働安全衛生機構は1998年の活動計画を紹介し、Focal Points代表者に彼らの国の1998年の活動計画についての情報を求めた。また労働安全衛生機構の活動計画のなかの主要な問題に ついての議論が行われた。第一の議論は、情報テクノロジーと労働安全衛生機構のインターネットホームページの内容について であった。そこでの議論の中心は、労働安全衛生機構と情報形式、労働安全衛生の具体的な事柄についての詳しい情報への要求を いかに処理するか、ということであった。そして、欧州安全衛生機構は運営委員会が設定した情報プロジェクトのための優先事項に ついて発表した。そのなかでも主要な情報プロジェクトは「安全衛生の状態(State of OSH)」である。これは、欧州安全衛生機構が「経済効果に関する報告書」及び「国内の優先事項と計画に関する報告書」を 準備するための調査に関してのフォローアップである。

「研究と実践的解決のための各国及びEUの計画と優先事項のためのテーマネットワークグループ」(Thematic Network Groups (TNGs) for National Community Programmes and Priorities for Research and for Practical Solutions) についても議論された。


■「各国及びEUの計画と優先事項」のためのTNG会合

研究と実践的解決のための国内コミュニティ計画と優先事項のためのテーマネットワークグループ」の春期会合(3月3- 4日)において「労働安全衛生の経済面」(Economic Aspects of OSH) に関する報告書の構成及びデザインが考案された。これについての最終草案は次期会合で錬られる。

今年のヨーロッパ週間のテーマは「働く組織(Work Organization)」であるが、TNGは、欧州安全衛生機構の次の提案を支持した。即ちオーストリア政府の協力を得て、「変わりつつある職場」(The Changing World of Work)というテーマのもとで共同セミナーをビルバオで10月19日から21日まで開催する、というものである。このセミナーはこの分野での欧州安全衛生機構の活動の出発点となる。グループはさらに、「メンバー国における労働安全衛生政策の優先事項と戦略」(Priorities and strategies of OSH policy in the Member States) という報告書のフォローアップを行うために、労働安全衛生における新たな発展についてのワークショップを開催する ことも勧告した。欧州安全衛生機構はこの案を委員会事務局に提案し、事務局の承認があれば、グループはワークショップに ついての計画を準備する。TNGの次期会合は1998年6月23日と24日に開かれる。


■各国編集長会議

第一回欧州安全衛生機構各国編集長会議が1998年3月4日に行われた。この会議は、ニュースレターを作るための共通の組織と方法、 及び情報内容やその発表のための一般ガイドラインを確立するため、またどうすれば読者のニーズにあったニュースレターをつくる ことができるかを議論するために開かれたものである。第二回会議は11月10日に開催される予定であるが、そこでは各国編集長 グループは読者からの反応を評価し、確認された情報ニーズに合ったより良いニュースレターを編集するための方法を探る。


■Focal Point 訪問

欧州安全衛生機構は、ネットワークのメンバーに直接会って、機構とその1998年活動計画について発表したり、相互協力について 議論を行ったりする目的で各国国内のFocal Points 訪問を実施した。 Focal Point と国内ネットワークの協力は、欧州安全衛生機構がこれまでにない情報源と労働安全衛生についての専門知識を作る という目的を達成するために必要不可欠である。欧州安全衛生機構の代表者(通常はHans-Horst Konkolewsky 局長とFocal Pointを担当するスタッフ)はこれまでに7ヶ所の Focal Pointを訪問した。

1997年12月10日に欧州安全衛生機構の代表団はデンマーク国内のFocal Pointを訪問した。そこでは、 デンマーク職場環境サービス部(Danish Working Environment Service) のJens Jensen 副部長がFocal Point代表者会議及び、 その後に開催されたデンマークネットワーク会議の議長を務めた。デンマークのすべての主要な安全衛生機関の代表者はこれらの 会議に参加し、彼らは欧州安全衛生機構の活動に協力することを強く希望した。

欧州安全衛生機構代表団は1月29日にフィンランドFocal Pointを訪問し、そこでFocal Point代表者のErkki Yrjnheikki 社会健康省労働安全衛生部開発課長と会った。彼はフィンランドネットワークの重要なメンバーの一人でもある。

翌日代表団は、全国ネットワークと共に会合を企画したスウェーデンFocal Point を訪問した。その会合はBertil Ramaeus 労働安全衛生国内委員会委員長代理が議長を務めた。代表団はまた、Margaretaスウェーデン労働大臣及び、Anders Johanson全国働く生活機関(National Institute for Working Life) 所長に面会した。

2月16日、欧州安全衛生機構所長はオーストリアFocal Pointでオーストリア労働省労働安全衛生上席顧問のRolf Finding 氏及び、Eleonore Hostash オーストリア労働・衛生・社会大臣 (Austrian Minister for Labour, Health and Social Affairs) に面会した。

3月11日、所長はスペインFocal Point を訪問中に、スペインネットワークの公式な昼食会合の場でスピーチを行い(Focal Point ニュース参照)、またスペインFocal Point 代表者のJavierGomez-HortigUela 氏、労働安全衛生研究所 (National Institute for Safety and Health at Work) 理事、その他の取締役らと会った。

3月17日、欧州安全衛生機構代表団は、「職場の危険防止と安全協会」 (Italian Institute for Prevention and Safety at Work、訳注:ISPESLと思われる) の資料・情報・トレーニング部 (Documentation, Information and Training Department) 部長であるSergio Perticaroli氏が理事を務めるイタリアFocal Point、及びイタリア国内ネットワークと共に会合に出席した。衛生省から国務長官 (the Secretary of State) もこれに参加し、大臣及びイタリア当局の代理として、欧州安全衛生機構と密接に協力していくことに 高い関心を示した。代表団はまた、Tiziano Treu 労働大臣、Abruno Viserta Costantini 厚生省長官、労働長官のFederica Rossi Gasparini女史にも面会した(訳注:Ministerは大臣、Secretaryは長官とした)。

3月26日、アイルランド共和国のFocal Pointで安全衛生当局は欧州安全衛生機構代表団のダブリン訪問を歓迎した。 所長はアイルランド情報ネットワークの代表者と会見し、ネットワークへの情報ニーズ、国内及び欧州安全衛生機構の インターネットホームページの発展、機構の1998年行動計画について議論した。また、Noel Teacy TD 科学・技術・商業大臣(Minister of State for Science, Technology and Commerce) とも会見をした。大臣は欧州安全衛生機構がインターネットを通して安全衛生に関するメッセージを広めることに感激の意を 表明した。

この他のFocal Point訪問については5月−7月に予定されている。

欧州安全衛生機構の今後半年間の重要日程

  • 9月14日−15日: 運営委員会事務打ち合わせ
  • 10月:Focal Point会合
  • 10月19日−21日: 議長国オーストリア-欧州安全衛生機構会議: 変わりつつある職場
  • 11月17日:運営委員会事務打ち合わせ
  • 11月17日−18日:運営委員会
  • 12月初旬:EU以外の国のための欧州安全衛生機構セミナー
  • 12月末:リサーチワークショップ(スウェーデン国立職場生活研究所とブリュッセルで共催)

注意:特記されていなければミーティング、会議、セミナーは招待による。


■高所からの墜落による事故

欧州安全衛生機構は、1996年の建設業とすべての産業における高所からの墜落回数及び、その発生率についての情報をメンバー国 から集めた。そのデーターを要約したのが下の表である。それを見れば、建設業の発生率はすべての産業のそれよりも1.5 倍から 6.3倍も高いことがわかる。

 

国別

FI

SW

Dk2

D

UK

IRL

NLs

B4

F3

L

A

I

Gr2,3

ES

P

Eu6

1a

建設に於ける高所からの墜落事故数

2787

472

372

26259

2757

51

640

3290

25559

-

3370

10657

2566

14483

-

93264

1b

事故発生率

-

209

241

-

173

59

187

1902

190>

-

1278

894

1216

991

-

 

2a

全産業における高所からの墜落事故数

8985

2004

1997

57089

14.023

475

2030

10453

90019

-

8404

33803

3640

55154

-

288076

2b

事故発生率

-

51

75

-

56

35

44

475

130

-

328

205

193

186

-

 

3

1bと2bの比較

-

4.1-1

3.2-1

-

3.1-1

1.65-1

4.3-1

4.0-1

1.5-1

-

3.8-1

4.4-1

6.3-1

5.3-1

-

 

4a

建設における死亡災害(墜落による)数

-

4

1

120

51

7

7

9

59

-

19

107

19

99

-

498

4b

全産業における死亡災害(墜落による)数

-

12

5

220

88

11

23

-

103

-

37

187

31

186

-

903

5

‘94-’96年の傾向:事故(1a)の総数が増・同・減

-

-

-

-

 

 

訳注1:国名は次のように推定されます;
FI:フィンランド、SW:スウェーデン、DK:デンマーク、D:ドイツ、IRL:アイルランド、NLs:オランダ、B:ベルギー、F:フランス、 L:ルクセンブルグ、A:オーストリア、I:イタリア、GR:ギリシャ、ES:スペイン、P:ポルトガル、UK:英国

訳注2:国名の後の数字は下記の表すものと思われますが、1)が見あたりません。
  • 1/ 労働災害(三日を越えて休んだ場合)
  • 2/ 1995
  • 3/ 労働災害(一日以上休んだ場合)
  • 4/ 総墜落件数(同じ高さでの転倒を含む)
  • 5/ 休業が三ヶ月を越える災害−このデータは非常に不完全である
  • 6/ L とP以外のすべてのメンバー国のデータ + NLの未完成データ