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Focal Point ニュース

■オーストリアEU議長任期中の安全衛生

労働者保護−職場の安全衛生

EUの市民は安全で衛生的な職場で働く権利を与えられている。高い基準の労働者保護は人道主義的目標のために役立つばかりでなく 経済的にも必要である。 労働者の効果的な保護は、企業にとって決定的な生産・競争要素である。

EU議長国オーストリアはその任期中、労働者保護の分野における公衆法(Community Law) のもとで労働者保護の高い基準を普遍的に 適用しそれを強化することに特に重点を置いている。 11月11−12日に開かれる上級労働監督官委員会(SLIC)では、特にリスクアセスメントにおいて企業を援助したり監視したりする際の 労働監督の手続き・実行の経験が徹底的に交換されるであろう。

オーストリアはその任期中にまた、引き続き発ガン性物質に関する指令の第二修正及び、爆発を起こしやすい雰囲気や物理要因 についての提案に取り組む予定である。 イギリスが議長任期中に行っていた活動を続けながら、オーストリアは特に、労働者保護分野での国内優先事項と戦略のために 欧州安全衛生機構による職場の安全衛生に関するレポートを使用する。 レポートは「労働者保護における1998−2000年の優先事項」(Priorities in Employee Protection 1998-2000) について 欧州委員会がヨーロッパ規模でフォローアップ対策を行うための基礎となる。

職場の安全衛生のために他のメンバー国や欧州安全衛生機構と協力して、情報社会における安全衛生保護問題に関するセミナーが ビルバオで開かれる。 「変わりつつある労働社会」(Changing World of Work) と題されたこのセミナーでは、労働社会が変化した結果変わりつつある 労働構造が労働者の安全衛生へ与えるインパクトに対処するための戦略が正確に示されるだろう。

雇用政策問題におけるEUとアメリカの協力のもと「職場での安全衛生保護」をテーマにした共同会議が開催される。 この会議はオーストリアの議長任期中に初めて開催される会議であり、労使双方が参加する予定である。こ れは、労働者保護における法律と最も優れた実践に関しての情報交換の最初の一歩である。

参考資料:
The Austrian Presidency: the fields of Labour, Health and Social Affairs (Tentative version),
31 March 1998, Federal Ministry for Labour, Health and Social Affairs of the Republic of Austria


オーストリアが議長として開催する安全衛生関連のイベント

  • 9月11−12日:オーストリアの健康管理専門家のための1998年会合(リンツ、オーストリア)
  • 10月13−16日:労働安全衛生に関するEU-アメリカ共同会議(ルクセンブルク)
  • 10月19−23日:「変わりつつある労働社会」(オーストリアと欧州安全衛生機構との共催)(ビルバオ、スペイン)
  • 10月21−23日:1998年ヨーロッパ週間−ウイーンワークショップ(ウイーン、オーストリア)
  • 11月 9−11日:ヨーロッパ社会のモデルと社会対話 (ウイーン、オーストリア)
  • 11月11−13日:上級労働監督官委員会(SLIC)(ウイーン、オーストリア)



■Good Morning Europe!

EU議長としての活動の一環として、イギリスのHSEは世界の主要各地をサテライトで結んで、労働衛生に関する国際会議を3月12日に ロンドンで開いた。400人以上の人がこのイベントに参加した。会議の模様はオリオンサテライト経由で各地に伝えられ、エストニアからフィンランドに 至るヨーロッパ14のサテライトセンターで同時に受信された。 労働衛生管理分野での最も優れた実践をこのように共有することは、議長国イギリスとしてのHSEのテーマである。

この会議のテーマは「優れた衛生はビジネスに利益をもたらす」(Good Health is Good Business) であり、ヨーロッパ内の各機関の 演説者は、ヨーロッパ各国が共通して抱える労働衛生問題−骨格系傷害、騒音、仕事上のストレス、手腕振動、筋肉労働、呼吸感 作物質(respiratory sensitisers)を解決するための実践的な対策についての発表を行った。

会議にはまた、フランク・デーヴィスHSC委員長、アンジェラ・イーグルイギリス安全衛生担当相、ジェニー・ベイコンHSE理事長、 「雇用・産業関係&社会問題」総局(Employment, Industrial Relations and Social Affairs - DGV) のアラン・ラーソン総局長、 エリック・カールスランドETUC事務次長らもスピーチを行った。

会議のテーマを論評して、デーヴィスHSC委員長は「ヨーロッパ国内の労働者の57%が、彼らの仕事は健康に影響を及ぼすと考えて いること、及びヨーロッパ産業が支払わなければならない労働者の医療費は数十億ECUにも上る」ことを説明した。 「安全衛生のための人道主義的な議論はもうたくさんということかもしれない、しかしそうした議論がなければ、経済的な議論 に答えるのは不可能である。」と彼は述べた。

アンジェラ・イーグルイギリス安全衛生大臣は、イギリス政府にはすべての労働者のために高い基準の安全衛生を確保する責任が あると強調し、「メンバー国間で経験を共有することがヨーロッパ全域の安全衛生基準を進歩させる真に有益な方法である−我々 すべてが努力することによってより健康な労働環境を確保することができる。」と述べた。 この点については、カールスランドETUC副事務長も取りあげた。 「健康上のリスク管理においてより良い成果を挙げるために大切なことは、そうした活動に事業者、労働者、労働組合を参加させる ことである。」と彼は語った。「優れた衛生はビジネスにとっての利益だが、それはまた、事業者、労働者、労働組合で共有される ビジネスでもなければならない。」

この会議のハイライトはHSEが出しているビデオで見ることができ、実践による説明とその他の情報についての小冊子が英語、 フランス語、ドイツ語の三カ国語で出版されている。出版物のコピーが参加者すべてに送られ、ILOは二部をそれぞれその150以上の メンバー国に送るよう手配した。 ビデオのコピーについては、参加したすべてのセンターと、会議に参加できなかったその他の者に送られる事になっている。

HSEはこうした資料を出すにあたって、ダブリンの「生活と労働条件改善のためのヨーロッパ財団」(European Foundation for Improvement of Living and Working Conditions) 及び、ビルバオの欧州安全衛生機構からの援助に感謝している。 またHSEは、欧州委員会及び、サテライト経由でイベントに参加したすべての参加国から得た援助にも感謝している。

詳しくは:
Mathew Lumby
HSE, UK
Tel: +44 151 951 3311
Fax: +44 151 951 4913


■Francesの「明日のための優先事項」一年目の評価

1997年3月に承認された社会保険システムによる労働上の危険防止に関する「明日のための優先事項」(Priorities for Tomorrow) が 1998年2月4日に行われた第一回目の評価委員会で見直され、優先事項決定者と決定された事項を実行する専門家がリオンに集って 一年目の評価を行った。

企業が参加した4つの円卓会議では、すでに実行されたいくつかの事柄についての具体的な実例が示された。

集塵と騒音低減のための試験的なプロジェクトがBourgogne-Franche Comteの幾つかの企業で開始された。  こうしたプロジェクトはこれらによる職業病の危険を大幅に減らすであろう。 様々な職業部門に適応される簡単な自己診断ツールが発達したことで、ロワール地域の財団は中小企業や零細企業の職業病の危険に ついての意識を高めることを計画している。

INRSによって調整された重金属やコバルトに関する危険の疫学研究は、労働条件がいかに健康に影響を及ぼすかということについて の知識を加える。 Rhone-Alpes地域財団付属の地域内の化学実験所による品質保証システムの採用は、職業上の危険防止を向上させるための社会保険 システムに利用できる最良の方法の一つとして発表された方法である。

管理する、予期する、最適化する、伝達するという、なされるべき4つの優先方針があり、それらは 今後National Health Insurance Fund, 地域財団の防止部、INRS, Eurogip による行動の基本となる。

詳しくは:
Sylvie Marsaudon,
Direction des risques professionnels,
CNAMTS, Tour Marine Montparnasse, 33, avenue du Marine, 75015 Paris
Tel: +33 1 45 38 60 68


■スペイン国内にOSH情報ネットワークが設立される

「職場の安全衛生のためのスペインネットワーク」(Spanish Network for Safety and Health at Work) が、3月12日に開かれた マドリットの「国立労働安全衛生研究所」(National Institute for Safety and Hygiene at Work) (Instituto Nactional de Seguridad e Higiene en el Trabajo, INSHT) のセレモニーにおいて発足した。

セレモニーでは、Management Technical Committee がスペインFocal Point のインターネットホームページについて発表した。 INSHT理事であるJavier Gomez-Hortiguelea Amillo 氏によって正式に閉会されたセレモニーには、 Hans-Horst Konkolewsky欧州安全衛生機構所長が特別に参加した。

INSHTは欧州安全衛生機構の国内Focal Pointである。INSHTはこの活動を通じて、インターネット経由でアクセスする 情報ネットワークで共にスペイン国内全体をカバーする計画である。 このネットワークは後にヨーロッパネットワークに統合される予定である。 INSHTによって整備されたスペインネットワークには、スペイン国内の様々な行政機関、労働者団体や労働組合、 社会保険サービスの枠内で職場での災害と職業病を取り扱っている保険会社(それらはまた防止対策の責任も負っている。) が参加している。

この第一段階の形成においてはMunicipal Institute for Public Health of the Barcelona City council も HSPro-EUプロジェクト(スペインではPromosatとして知られている)への参加者として招かれる。

スペインの行政的な独自性を考えるとこのネットワークは特に重要なステップである。つまり、国内領土が17の地域に分かれており 各地域が自治権を持っているけれども、1979年のスペイン憲法にあるように、中央政府の行政のみが労働問題における規制の権限を 持っているのである。しかしながら、このことは労働安全衛生問題を実際上すべての自治行政に移行することを妨げるということは しなかった。

こうした理由から、中央政府行政と自治権をもったコミュニティの双方がネットワークメンバーとして存在するのはまったく正当な ものである。

Web site:http://www.mtas.es/insht/redsst


■アイルランドがサテライト会議「優れた健康はビジネスにとっての利益」に参加

1998年3月12日木曜日、Tom Kitt T.D. 労働・貿易・消費問題大臣は、Health and Safety Authority と「生活と労働条件改善の ためのヨーロッパ財団」共催の会議を開催した。アイルランドで行われたこのイベントは、 「優れた健康はビジネスにとっての利益」と題された安全衛生責任者のためのサテライト会議の一部をなすものである。 このサテライト会議はEUのイギリス議長任期中に主催された会議である。

生放送及びビデオ録画放送の後に、アイルランド代表団はストレス、呼吸障害、騒音、手腕振動、筋骨格系障害、筋肉労働などに ついて話し合った。会議は参加していた代表団に好評で、この会議のある部分は、今年アイルランド付近で開催されるいくつかの 会議で再度話し合われるであろう。

会議でのスピーチの中でKitt氏は、すべての人々の安全、衛生、福祉を確保するために国と事業者とが協力する一方で、事業者と 労働者が協力することを呼びかけた。

詳しくは:
David Denny, Development Directorate, Health and Safety ,Authority
10 Hogan Place, Dublin 2. Ireland
Tel: +353 1 614 7000
Fax: +353 1 614 7120
E-mail:david@hsa.ie http://www.hsa.ie/osh


■ギリシャにおける国境県の調査

労働・社会問題省の専門家グループは4月6日から10日までギリシャ北部にあるXanthe県を訪れ、労働安全衛生の観点からその地域に ある会社を調査した。

中小企業については特に重点的に行われた。また事業者、労働者、安全エンジニア、医師、その他の関係者らのための特別 トレーニングセミナー(午後のみ)も行われた。

詳しくは:
Trifon Ginalas
Tel: + 301 3214436
E-mail:areca@compulink.gr


■ポルトガルにおける農業部門のための危険防止キャンペーン

「労働条件の監督・開発研究所」The Institute for the Development and Inspection of Working Conditions (IDICT) は1997年 5月以来、農業部門における職業上の危険防止のキャンペーンを行っている。IDICTと共に「労働・連帯省研究所」 (an Institute of the Ministry of Labour and Solidarity)、農業省、そして農業部門の労使もキャンペーンに参加している。このキャンペーンは特に、トラクター、農業用及び林業用機械、殺虫剤及び育牛生じる危険の防止に重点を置いている。 キャンペーンはその地域に住む農家の家族を含むすべての関係者に向けて行われている。なぜならば彼らは似たような農業活動を 営んでおり、その結果同じような危険にさらされているからである。

今後キャンペーンが進むにつれて以下のことに重点が移るようになるだろう。

  • テレビやラジオ番組
  • 農業部門における最重度の災害を引き起こすような危険に関するポスターやビラの発行
  • 農民や農業従事者、農業技術者、農業部門のソーシャルパートナーに広く購読されている「キャンペーンジャーナル」(Jornal de Campanha) の発行
  • 地域の農業フェアでキャンペーンの目的を広く普及させること

非公開の会議が1998年6月23−24日にEvoraで開かれ、それをもってキャンペーンは終わりとなる。

詳しくは:
Graca Nunes
Tel: +351 1 7927051
Fax: +351 1 7927040
E-mail:idict-did@ip.pt
 


■フィンランドにおけるFocal Point

フィンランドはFocal Point ネットワークのための意欲的な計画を持っている。 この活動の責任を負っているのは社会問題・衛生省 (Ministry of Social Affairs and Health)の労働安全衛生部であり、 その活動は労働安全衛生専門家の調整グループ、労使の代表者で構成する指導者グループによって支援されている。全体で5つのグループがあるが、そのうちでもっとも活動が進んでいるのがインターネットグループである。 1月にはホームページが開設され、そこにアクセスすればフィンランドの法律、専門家団体、調査機関に関する情報が得られるように なっている。

調査機関に関する情報には化学と電気に関する安全といった事柄についての実践的なガイダンスばかりでなく調査結果も 含まれている。

インターネットグループの最も最近の活動はエレクトロニックフォーラムであり、そこでは誰でも専門家に安全に関するに問題 について質問をすることができる。

5月には情報キャンペーンがあり、そこではフィンランドの職場に欧州安全衛生機構の機能及びインターネットを通じた労働安全 衛生情報へのアクセスが伝達された。

詳しくは:
Dr. Erkki Yrjanheikki
Tel: +358 3 26 08 479
Fax: +358 3 26 08 499
E-mail:erkki.yrjanheikki@stm.vn.fi


■安全衛生問題を話し合うためのギリシャ−キプロス会合

ギリシャの「労働及び衛生の技術監督者組合」(The Greek Union of Technical Labour and Health Inspectors) と 「安全衛生のためのキプロス組合」(The Cypriot Union for Health and Safety) はニコシアのヒルトンホテルで1998年4月30日 から5月1日まで第二回共同会合を開いた。

この会合で話し合われた事項は、キプロス組合が地域社会の法律とどのように調和していくか、この点についてのギリシャ組合の これまでの経験、リスクアセスメント、労働条件を改善するための法律と検査官の役割、防止方法としてのコミュニケーションなど である。会合の前に二つの組合はビール製造所を訪れた。

詳しくは:
Trifon Ginalas
E-mail:areca@compulink.gr


■INRSがホームページを開設

INRSはインターネット上にホームページを開設した (http://www.inrs.fr)。 テーマかキーワードで必要な情報を探し出すことができる。 INRSについて及びその調査と研究活動についての情報が英語とフランス語で提供されている。 ユーザーは「contact us」セクションにあるメールボックスに質問やコメントを提出することができる。
詳しくは:
Web site:http://www.inrs.fr



■欧州安全衛生機構がイタリア会議で紹介される

欧州安全衛生機構のイタリアFocal PointであるISPESL (Istituto Superiore per la Prevenzione eSicurezza del Lavoro) は 1998年2月18−19日にローマで会議を開催した。

テーマは「欧州安全衛生機構の安全衛生ネットワークの発達に関連する新しい防止策」である。 この会議はイタリア労働安全衛生専門家のためのもので、欧州安全衛生機構とイタリアFocal Point を紹介し、 それらの役割、目的、戦略について説明する貴重な機会であった。

この会議には多数の人が参加したが、そこで話し合われた事項は主に二つのグループに分かれる。 つまり「災害防止サービスのためのコンピューターツール」と「優良なトレーニングと健康促進のモデル企業」である。

この会議では、特にISPESLと地方当局によって、政府と民間の災害防止サービスを助けるため、そしてオペレーターとISPESLとの 間で情報を組織的に交換することを促進し発達させるため考案された多くのコンピューターツールが発表され、 新たに「災害防止に関する情報システム」(Prevention Information System) を作ることが奨励された。

詳しくは:
Sergio Perticaroli
ISPEL, Italy
Tel: +39 64425 0648
E-mail: perticaroli.ispesl.doc@interbusiness.it


■職場組織の新しい形態に関するポルトガルセミナー

「労働条件の向上と監督のための研究所」(Institute for the Development and Inspection of Working Conditions - IDICT) は 1998年3月24−25にリスボンで「労働組織の新しい形態」(New Forms of Work Organization) について会議を開いた。労働・雇用・職業訓練当局(the Labour,, Employment and Vocational Training Administration)、そのソーシャルパートナー、 社会学、経済、法律、科学技術分野に取り組んでいるポルトガルの各機関が会議に出席し、またポルトガル政府からばかりでなく 企業や学校からも500人が参加した。欧州委員会(DGV) とダブリン財団も参加した。

欧州安全衛生機構の情報ネットワークがこの会議で紹介され、参加者は機構のホームページにアクセスすることができた。

詳しくは:
Graca Nunes
E-mail:idict-did@ip.pt