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労働安全衛生の実際適用


■腰痛を分析するための新しいシステム

健康保険機関がまとめた統計によれば、業務中の原因による腰痛で仕事ができなくなるケースがが最も多い。 1993年以来、ドイツではいくつかの腰痛は職業病として認識されてきており、そうした事態をを引き起こす個々の力を確認し、 評価する方法が必要となっている。 過去に用いられた研究方法は大変な時間を要するにも関わらず、ほとんど実用的ではない。

「労働安全に関する職業組合研究所」Berufsgenossenshaft Institute for Occupational Safety (BIA) は現在、個人で測定できるシステムを開発中である。 そのシステムを労働者の作業着に、仕事の邪魔にならないように締め付ける。 このシステムによって身体の動きと体の中の緊張が直接測定され、労働者が動いている間中記録をする。 この測定結果は20分後にコンピューターで得られる。現在原型モデルとして使用されているこの新しい技術を用いれば、 個々の職場においてどういった緊張が腰痛実際に影響を与えるのかに基づいて基本データーを確かめることができる。

詳しくは:
Prof. Ing. Kupfer,
Berufsgenossenschaftliches Institut fur Arbeitssicherheit (BIA),
Alte Heerstrasse 111, D-53757 Sankt Augustin, Germany
Tel: +49 2241 231- 605
E-mail:bia@hvbg.de


■労働災害分析のためのイタリアの新しいソフトウェア

過去2-3年、労働災害についての研究は、単に災害につながる個々の要素を観察することから、色々な要素を同時に検査する というより全体的なアプローチへと広がって来ている。こうした傾向の中でISPESLは、災害を動力学的に再構成するために様々な要素の相互関係を考慮した新しいソフトウェアを 現在開発中である。分析をするためにまず災害を詳しく調べ、段階的に遡って起こったことの連鎖を調べて行くことで災害を 全体的にとらえる。

それゆえに、すべての災害防止専門家に配られるこのソフトウェアは、情報収集のために必要な自動化と標準化を満たしており、 刑事捜査を要するような重大な場合にはこのソフトウェアは司法当局によって要求される情報をも提供できる。

最後に、すべてのデーターは一定の標準化された方法で保存される。これによって将来ISPESLは、災害率を減少させるための行動 計画の大要を考えたり、情報キャンペーンを発展させたり、調査を行ったりするのに必要な情報を含む労働災害に関するデーター バンクを設立することができるであろう。

詳しくは:
ISPESL, Italy - Marcello Passerini
Tel: +39 6 4428 0295 or
Massimo Marconi
Tel: +39 6 4428 0294
E-mail: marconi.ispesl.doc@interbusiness.it


■フランス文部省と社会保険省の間での草案合意

1993年2月に署名された5年間の基本合意を受けて、職業訓練校で労働上の危険防止に関する教育を行うという草案に関して1997年 10月1日に署名された。フランス教育省と社会保障省は、現在引き続きこの問題に関して無期限で協力していく決定をしている。1993年の基本合意は次のようにいい結果をもたらしている;
  • 危険防止技術とそれに関する知識をすべての新しいまたは見直された技術科目に取り入れられた。 
  • 教師を訓練する200人以上の“先生の先生” と約20,000人の教師が訓練を受けた。
  • 数多くの教材(小冊子、ビデオ、教材用ソフトウェアなど)が開発され、50,000部以上が教師に配布された。
一例として、1997-1998年の間に電子工学部門で学ぶ100,000人の学生に対して電気に関する危険管理についての訓練が行われたが、同じ訓練を1998-1999年に保全部門の80,000人の学生にも行う予定である。 1993年合意は教育省の指導下にある技術学校と職業訓練学校の学生のみを対象にしていたが、今回の新しい合意は、公立、私立を問わずすべての学生(特に技能系)を対象にしている。
詳しくは:
INRS, 30, rue Olivier Noyer - 75014 Paris, France.
Laurent Theveny
Tel: +33 1 40 44 31 96
E-mail: theveny@inrs.fr
Jean Studer
Tel: +33 1 40 44 31 32
E-mail: studer@inrs.fr


■オランダにおける労働安全衛生への投資のための新しいwrite-off 規則

今年現在では、事業者はいつでも、従業員の労働状況を改善するための設備や施設に対する投資を計上せず(write-off)にすますこ とができる。事業者に財務的特典を与えるこのオプションは“FARBO決定”によって規定されている。 この決定は所得税あるいは全社所得税の支払い義務のあるオランダ国内の会社に適用されるが、この決定に伴う労働安全衛生リスト に含まれる設備や施設にのみ適用される。この決定は、事業者が良い労働条件を作るために投資するのを奨励するためのものである。労働安全衛生リスト上の設備と施設は 主に中小企業が必要とするものである。商業組合、労働安全衛生監督官、その他の機関の専門家は協力して一年ごとに見直される リストの構成にあたる。 さらにどの会社でもリストに新しいものを加えたりリストの項目を変えたりする提案を行う権限を与えられている。 リストに加えられるためには、設備や施設が新しく導入されなければならないが、それは(訳注:本制度がなければ) 事業者が当然のこととして行うものではないかもしれない。

これらの設備や施設を利用することによって既存の労働条件に相当な改善をもたされるに違いない。 特に、長い期間のあとに健康に関して悪い影響がでるということは減少するか防止されるだろう。 こうした顕著な例としては、騒音による難聴、重筋作業の軽減、有害物質への暴露の防止などへの投資である。 投資は健康への悪影響を根本からなくすことに役立つものでなければならない。 例えば、防音保護具を支給するよりは、騒音を出す機械をより静かにすることが望ましい。 この理由から労働安全衛生リストには個人用保護具、防護服はまったく含まれていない。

情報源:
社会問題・雇用省 (The Ministry of Social Affairs and Employment)
PO Box 90801, 2509 LV The Hague, the Netherlands
詳しくは:
The FARBO Brochure (30 A4 pages), including the Occupational Health and Safety List and the form: “Notification of Occupational Health and Safety investments written off at random (FARBO)”
または、オランダ社会問題・雇用省の情報テレフォンライン (+31 70 333 4444)に注文すれば無料でもらえる。


■請負のためのベルギー基準

ベルギーの労働安全衛生法は、数社が同じ場所で一緒に仕事をしたり、一つの会社(取引先)が特定の仕事を行うためにもう一社 (請負人)を雇うといった状況に対し一定の規則を課している。 そうした規則の一つは、発注者は職場の安全衛生規則を尊重をしていない請負人を使ってはならないというものである。 そのような場合にあてはまるのかどうかを決定するために作られたのがBeSaCCシステムである。この法律は、発注者がどのようにして安全でない請負人を避けるかということは規定していない。考えられることは請負人に関する 情報をチェックしたり、年次報告書などの書類を依頼したり、独自の評価をしたり、VCAなどの認証書を要求したりすることである。 このVCA (Veligheids Checklist Aannemers’−請負人安全リスト) は、オランダの石油化学業の請負人を認定するシステムである。 このシステムはベルギーの請負人とその取引先に広く採用されている。

しかしながら「ベルギー産業同盟」(Confederation of Belgian Industry = Verbond can Beligische Ondernemingen -VBO) は、 それよりも発注者、請負人、政府が一緒になって請負人評価基準のリストを作成すべきだと考えた。 これは、すべての産業部門に適用できる普遍的な基準を設定する目的のために行われた。 そして生まれたのが“請負人安全基準、Belgian Safety Criteria for Constractors”(BeSaCC) である。

BeSaCCリストは、請負人が自らの安全衛生成績を評価するのに使うことができる。 発注者はBeSaCCリストを用いることで、請負人候補の評価を行う。 発注者は契約書に請負人がBeSaCCリストを尊重しなければならないという旨を規定したり、あるいは請負人に証明書を提出する ことを要求できる。 その他に、発注者はBeSaCCリストを用いて独自の方法で請負人の評価を行うこともできる。

VBOは今後、BeSaCCリストを基にした証明システムを設立する予定である。 このシステムはまず最初にBeSaCCの地域事務所が企業が独自に実施するのを手伝う。 そして認定のために専門家グループに取り次がれる。 承認された場合には、その事例は証明書を発行したり、保留したりする権限のある評価委員会に提出される。 VBOは、評価委員会と情報を交換しながらこうした活動を進めて行く。

VBOは、BeSaCCリストを広く知らしめるため発注者と請負人とに向けた集中キャンペーンを行う予定である。 情報活動がベルギーのいたる所で催され、BeSaCCリストを含むパンフレットを広く配布する予定である。

詳しくは:
VBO.
Tel: +32 2 515 0811