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ドイツでは災害発生水準と保険料が低下し続ける

資料出所:European Agency for Safety and Health at Work発行「News」2000年5号
(訳 国際安全衛生センター)


法定傷害保険に対してドイツの企業が支払った平均分担金額は、1996年、1997年の減少に引き続き1998年も減少した。1998年の全業種の平均では、企業が法定傷害保険機関(Berufsgenossenschaften、BGs)に支払いを要求された金額は、賃金または給料100ドイツマルク当たり1.36ドイツマルクで、1997年は1.40ドイツマルク、その前年は1.42ドイツマルクだった。Hauptverband der gewerblichen Berufsgenossenschaften(HVBG)はこの低下に注意を促した。

1998年の実績により、BGsへの分担金は再び1990年のレベルに達した。ドイツ再統一後、平均の分担金は上昇し、1995年には1.46ドイツマルクのピークに達したが、以降年々低下し続けている。そこでBGsは分担金が安定するドイツの社会保障システムの傘下に入った。BGsが医療業界のコスト増の影響も受けているという事実や、BGsが支給する障害者年金が物価スライドにより毎年増加するという事実にもかかわらず、分担金はむしろわずかながら減少している。

「この好ましい結果は主として事故件数が長年にわたり減少し続けていることによるものである」と、HVBGのマネージング・ディレクター、Günther Sokoll博士は強調する。「企業との協力の下、BGsは予防に大いなる成功を達成することができた」。この成功は、分担金の減少とそれに伴う災害賃金以外のコストの削減という形で中期的に報われている。

ドイツの平均事故発生率は、1998年に再び若干下がっており、BGsの記録によると、常勤者千人当たりの事故件数は前年39.6に対して39.4であった。1990年は52で、1960年には3倍以上も高かった。

事故の絶対数もほぼ全般的に減少している。報告義務のある事故(3日を超えて仕事に復帰できない事故)は1.9パーセント減の120万件近くにまで減った。しかし、通勤途上の事故件数は2.6パーセント増の184,000件にまで上昇した。

最も大幅な減少は、新たな障害者年金が必要になる重大事故発生件数に見られた。ほぼ9パーセント減の32,200件となった。死亡事故減少の好ましい傾向も前年から続いている。死亡事故件数は初めて1,000件を下回った。具体的には1997年より56件少ない948件だった。通勤途上の事故件数は39パーセント減の696件にまで減少した。