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EUの死亡事故件数が減少

資料出所:European Agency for Safety and Health at Work発行「News」2000年6号 p.5
(訳 国際安全衛生センター)


EUでは毎年労働者1人当たり1労働日が失われている。

2000年3月31日に公表された欧州委員会統計局報告書によれば、1994年から1996年にかけて、EUにおける労災のリスクは、3日を超える欠勤につながる事故が7パーセント、死亡事故が13パーセント減少した。労災では相当な額に上る人的コストに加えて、社会経済面のコストも高くつく。1996年の労働損失日数は、労働者1人あたりそれぞれ1年に1労働日を失うことに相当するものだった。

1996年、EUでは3日を超える欠勤につながる事故が480万件発生した。就業者数との関連では、労働者10万人当たり事故件数は1996年に4,230件で、1994年に比べ7パーセント減少した。林業と補助輸送業(荷扱と保管)でリスクがきわめて高く(EU平均の2.5倍)、また冶金と建設でもかなり高い(平均の2倍)。絶対数では、事故件数の最も多いのは製造業と建設でそれぞれ全体の29パーセント、17パーセントを占めている。

全業種の合計で見ると、EUにおける3日を超える欠勤につながる労災のリスクは、男性が女性に比べ3倍高い。18〜24歳の若年層のリスクはEU平均より35パーセント高い。また、労働者250人を超える企業は平均を30パーセント下回る。死亡事故の半分以上は輸送業務で起きている。

死亡事故は、1994年の6,420件から1996年には5,550件へと13パーセント減少した。勤務中の交通および輸送関連の事故により1996年には1,850人が死亡した。通勤時間中の死亡事故件数を加えれば、1996年のEUにおける推計値は2,900件となり、輸送がどれほど頻繁に死亡事故の原因になっているかがわかる。通勤および勤務時間中の輸送事故の総数がEUのすべての死亡事故の56パーセントを占めるのである。

EUでは1996年の3日を超える欠勤につながった労災480万件のうち、ほぼ半分が2週間未満の欠勤、4分の3は1ヵ月未満の欠勤となっている。しかし、これらの事故の5パーセントは、3ヵ月以上の欠勤または永久障害につながっている。EUにおける直接費用(治療費、法定傷病手当、永久障害および死亡に対する補償)の総額は、年間約200億ユーロと見積もられる。

EUにおける労災のリスク
(1996年の就業者10万人当たり発生件数)

3日を超える欠勤につながった事故
1996年 1994年比(%
EU15ヵ国平均 4,229 -6.8
ベルギー 5,059 +14.6
デンマーク 2,704 +1.9
ドイツ 5,098 -8.7
ギリシア 3,783 +2.2
スペイン 6,736 +9.2
フランス 4,964 -10.0
アイルランド 1,494  
イタリア 4,179 -10.0
ルクセンブルグ 4,741 +5.2
オランダ 4,251  
オーストリア 3,554  
ポルトガル(1995) 6,949 -5.6
フィンランド 3,372 -13.8
スウェーデン 1,217 +8.4
イギリス 1,550 -19.1
ノルウェー(1995) 4,352  

このデータは、農業、工業、エネルギー、建設、貿易、運輸、ビジネスサービスの中の主要9業種について調べたものである。ベルギー、ドイツ、ギリシア、スペイン、フランス、イタリア、ルクセンブルグ、オーストリア、ポルトガル、フィンランドの全国データは、労災保険機構より提供された。コストが国の社会保障または保険機構から支払われるためには通知が義務づけられているため、ほとんどすべての事故が記録されている。他の国々のデータは、一般に労働監査庁など、権限を有する他の機関によって提供された。登録が包括的ではないので、欧州委員会統計局は通知比率に応じて届けられた事故件数を調整することにより、実際に発生した事故件数を推計している。したがって2つの情報源を厳密に比較することはできない。

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Didier DUPRE
電話番号:+352-4301-35 034
Fax::+352-4301-35 399
Didier.Dupre@cec.eu.int
http://europa.eu.int/comm/eurostat.html注)


訳注)現在の欧州委員会統計局のアドレスは下記のように変更になっているようである。
http://europa.eu.int/comm/eurostat/