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国際安全衛生センタートップ国別情報(目次) > EU 欧州連合の労働安全衛生の状況−パイロット調査

暴露指標:高速での作業

潜在的な健康への影響

高速での作業は、ストレス関連の疾病と、最終的には心身の衰弱の原因になりうる。また職場の災害につながる人為的ミスの多発と引き起こすおそれがある。

欧州全体の状況(注43)

面接した全労働者の54%が高速での作業を経験している。

国別報告でリスクが最大と指摘された
産業分類(NACEコードを使用)
(注44)

カッコ内の数値はフォーカル・ポイント
の回答数

55ホテルおよびレストラン(4)

64郵便および電気通信(3)

60陸上輸送、パイプライン輸送(3)

45建設(3)

65金融仲介(保険および年金を除く)(3)

18衣料品製造、毛皮の仕上げおよび着色(3)

15食品および飲料の製造(3)

34自動車、トレーラー、セミトレーラーの製造(3)

30事務用、会計およびコンピューター機器の製造(3)

22出版、印刷、記録媒体の複写(3)

国別報告でリスクが最大と指摘された
職業分類(ISCOコードを使用)
(注45)

カッコ内の数値はフォーカル・ポイント
の回答数

12会社管理者(5)

42顧客サービス事務員(5)

83運転手、移動プラント操作員(4)

72金属、機械および関連職業従事者(4)

その他のリスク分類

共通の内容はなかった。

傾向

過去3年から5年の職場での高速の作業への暴露については、増加傾向にあるとする回答が8件、減少傾向にあるとする回答がゼロ件、横ばい傾向にあるとする回答が1件のみあった。特定の傾向は不明とする回答が6件あった。

新たな防止策の必要性を指摘した
フォーカル・ポイント

ベルギー、デンマーク、フィンランド、オランダ、イタリア、スペイン

提案された対策の内容(注46)

組立労働者、非熟練の金属労働者、労働集約型の労働(食肉処理、漁業労働者)は、高速で行われる反復および単調作業の両方にさらされる頻度が高い。その結果、国別報告ではそうした作業による健康問題のリスクを減らすプログラムが必要であると報告されている。
効果的な防止策を実施するため、職場でのプレッシャーがいかに高まっているかについて調査を進める必要があるとみられている。

その他の関連情報

作業の性格(時間的制約のもとでの荷物の積み降しなど)と、生産達成計画(「ジャストインタイム管理」など)に基づく時間的プレッシャーの両方の結果として、労働環境中の高速での作業につながる事例が多数ある。高速での作業は、反復的で単調な歩合給作業に関連している場合が多い。
時間的プレッシャーとその影響は、個人の問題として個人で解決すべきものではなく、労働の組織化の結果ととらえるべきだとするコメントが数件あった。人員不足、および効率性、生産性、柔軟性への要求の増大がリスクの高まりの主要な要因であると分析すべきである。




注43 ESWCデータ、ダブリン財団第2次欧州調査(1996年)
注44 リスクが最大であるとするフォーカル・ポイントの回答数がもっとも多かった産業
注45 リスクが最大であるとするフォーカル・ポイントの回答数がもっとも多かった職業
注46 新たな対策の内容は本報告書の暴露指標またはOSH上の諸結果を扱った章に記載している。