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EC機械指令改訂の論点


資料出所:KOMMISSION ARBEITSSCHUTZ UND NORMUNG
(KAN−ドイツ労働基準委員会)発行
KANBRIEF」2001年第3号

(訳 国際安全衛生センター)


本年始めに、欧州委員会はEC機械指令の改定案を提示した。改定案は2006年度以降の適用を目途に欧州議会および閣僚理事会の承認を受けなければならない。

改定案においては、欧州委員会は特に下記を目的としている:

  • 指令の範囲を明確にする。すなわち、低電圧指令の範囲との違いを明確にし、指令が未完成の機械にも適用されることを強調する。
  • ECタイプ審査に替わり、特定の機械(付属書IVに記載)には、総合品質保証(モジュールH)を導入する。
  • 市場監視を強化する。
  • 現在、勧告権限しか有していない、機械指令に規定された常任委員会に、一定分野における取り締まり権限を与える。
  • 「昇降機」指令を改正する。

閣僚理事会は指令改定案の審議を議長国スゥーエデンのもとで3月より開始した。今までの折衝により改定案の審議が長引くことが既に想定され、参加国からたくさんの修正要求が出されるであろう。安全衛生に関する主要要件を記載している付属書Iについては、議長国ベルギーのもとで本年後半に審議される。2002年末までに、閣僚理事会が合意に達するとは思えない。

連邦労働社会省(BMA)が折衝においてドイツを代表する。ドイツ国内のコンセンサスを確実なものとするために、BMAはドイツ国内の利害関係者で構成される諮問委員会を設けた。

欧州議会による条件付承認

閣僚理事会の審議と同時進行で、欧州議会の法務および域内市場委員会が改定案の審議を開始した。討議文書2では指令を実際的な要件に適合させようとする欧州委員会の意図を歓迎しており、一連の積極的な対策について支援を表明している。しかしながら委員会は特定の目標、ことに指令の平易化および明確化が充分に達成されていないことを強調している。加えて、有害因子発散削減の要求が充分なものになっておらず、改善が必要であると指摘している。こうした観点から、市場での競争が労働者の健康を害さないことを保証しなければならない。

このことは、機械に起因する騒音、振動、危険物質、放射線による健康リスクを可能な限り削減すること、また排出削減の構想は欧州規格により実施するというKANの立場と一致するものである。明確な改定案の条項によりこれからの規格の法的枠組みを明確にする事ができる。欧州機械安全規格は、有害因子発散の比較データのような、現状に関する明白な情報を含んでいなければならない。

機械指令および欧州規格EN292は同一用語を採用すべきである

基本安全規格EN292「機械の安全―設計の基本概念および一般原則」も現在改定の対象になっていることから、機械指令で使用される用語と同規格の用語が整合性のあるものとなるよう配慮すべきである。しかしこれは容易に実現できるものではない。その一因は、EN292が国際規格ISO12100としても同時期に発せられることにある。このことはヨーロッパ以外の当事者の利害にも配慮する必要があることを意味する。ヨーロッパ地域以外の当事者はEC機械指令の条項に拘束されることもないし、規制している法制度が異なるために、安全に対する概念も異なっている。これに反して、ヨーロッパの関係者はヨーロッパの法的枠組みと矛盾のない規格を要望している。

機械指令およびその改定案の詳細および整合化された規格のリストは欧州委員会企業事務総局のホームページに記載されている。