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学校教育等においても労働安全衛生に関する教育を

資料出所:Forum 8 (European Agency for Safety and Health at Work)
http://osha.europa.eu/publications/forum/8/en/index.htm

(抄訳 国際安全衛生センター)



スペインのビルバオで開かれた、欧州安全衛生機構と欧州連合理事会議長国スペイン、そして欧州委員会の共催によるセミナーの概要(2002年3月4〜5日)を紹介する。


1. はじめに

 当セミナーの狙いは、労働安全衛生を学校教育等に統合する、すなわち「メインストリーム化(主流に組みこむこと)」することについて、欧州連合(EU)の展望を提供することである。18歳から24歳までの若年労働者は、他の年齢層の労働者と比較して、平均で1.4倍も作業関連の事故にあいやすいことが統計から明らかになっている。こうした現状をふまえると、このテーマは加盟国にとってますます重要になってくるであろう。そこで、当セミナーは、現在進行中の議論に貢献することを目標として開催されたものである。セミナーにおいては,労働安全衛生教育についての経験を分かち合い、教育政策および実際の教育に労働安全衛生を盛り込むことに関する議論に刺激を与えるべく、欧州連合加盟国の経験と事例が集められた。


2. 「労働安全衛生のメインストリーム化」

「労働安全衛生のメインストリーム化」とは、どういう意味なのか。「メインストリーム化」の狙いは、労働安全衛生を生産活動における単なる「追加項目」にしないために、リスクマネジメントの原則および「労働安全衛生の考え方」を、職場の方針や行動を決定する際の基本となる一要素として扱うことである。労働者や事業者が労働安全衛生を十分に理解した上で就業し、組織に「リスク防止」の文化が根づいていたら、この目的の達成はずっと容易になる。また、労働が急速に変化を遂げているこの時期においては、この目的はより一層重要度を増す。なぜなら、労働環境を今までになく複雑化させる労働組織の新しい形態、新たな科学技術、新たな契約関係の誕生など、どれもがリスクアセスメントと密接なつながりを持っているからである。


3. 「EU加盟国の概況」

 EU加盟国の概況が大まかに紹介された。

  • ほとんどの加盟国で、ほぼすべての教育段階において、教育課程に労働安全衛生の要素が組み込まれている。しかし、開発段階はさまざまである。
  • 同様に、ほとんどの加盟国で、訓練および教育に関する労働安全衛生関連の法規や指針が存在する。その法律や指針の内容は、労働安全衛生の訓練の必要条件を定める、といったごく一般的な内容のものもあれば、生徒を労働者と同じように保護するように規定しているようなものまである。
  • ほとんどの加盟国で、労働安全衛生問題を教育に導入するためのキャンペーンを展開している。国や地域がイニシアティブをとって大々的に行っている国もあれば、地元が主体になって小規模で行なっている国もある。
  • 最後に、この問題と取り組むため、本格的な改革を行っている例がいくつかある。例えば、生徒の中から学内の安全代表者を指名して、その代表者を訓練し、権限を与える、各省庁、社会的パートナー、その他の組織の間で見事なパートナーシップを確立する、すべての教育段階に労働安全衛生を組み込むための国家的なプログラムを作成するといったものである。


4. 事例研究

さまざまな教育段階に労働安全衛生を組み込んだ、いくつかの具体例が紹介された。そして、これらの事例の中から労働安全衛生に関する重要な事項を指摘することが出来る。また、紹介された事例はすべて、議事録に記録された。いくつかの事例は、以下の通りである。

  1. 学校における労働安全衛生---初等および中等教育

    • デンマークの事例(子供向けアニメキャラクターを使ったホームページ ‘Ar and Mi’ www.armi.dk

    • イタリアの小学校における安全衛生推進に関するよい事例(ゲームを通じて学習するインタラクティブCD-ROM‘At Luca's home’ほか)


  2. 労働安全衛生と成人---技術および職業教育

    • ドイツの農業における、職業教育に労働安全衛生を組みこんだ進歩的な試み

  3. 労働安全衛生と成人---大学教育

    • ‘Tomorrow's Doctors(未来の医師たち)’---英国で、医学部の講義内容(シラバス)に労働安全衛生に関する内容を盛り込む

    • スペインの3つの大学で、労働安全衛生の専門家を養成する教育をシステムを開発


  4. 労働安全衛生システムの教育への統合

    • デンマークにおける、学校児童および生徒への教育環境についての新たな法令

  5. キャンペーンや体系的プログラムを通じて、教育および訓練に労働安全衛生を導入

    • ポルトガルの労働安全衛生教育に関する国家プログラム

事例については、項目のタイトルのみを翻訳しています。
詳しくは本文(英語)を参照して下さい。