欧州における職業健康上の最大の課題は、筋骨格系障害(MSD)である。EU27国の労働者の25%が腰痛に、23%が筋肉痛に悩まされ、一部の国においては、労災補償費の40%、GDPの1.5%がこの問題のために費やされているという。
このため、EUにおける2007年の重点課題とされており、欧州安全衛生機構(EU-OSHA)は、「負荷を減らそう」(Lighten the load)と称する諸活動を展開しており、これに関するFact sheetを 3件(No.71-73)、E-Factsを10件(No.9-18)刊行した。
Fact sheet
E-Facts
従前から刊行しているFact sheetは、A4版2ページの簡潔なものだが、昨年秋に提供が開始されたインターネットネットのみで配布のE-Factsは、それぞれ数ページの充実した記載がある。
また、欧州委員会の上級労働監督官委員会(SLIC)は、この問題に関するキャンペーン用資料、チェックリスト、ドイツ連邦安全衛生研究所(BAUA)、イギリス安全衛生研究所(HSL)がそれぞれ作成したリスクアセスメント用ツールなど種々の情報を掲載したウェブサイトを設置した。
一方、アメリカにおいても、年間50万件を超える筋骨格系障害が発生しているが、国立労働安全衛生研究所(NIOSH)は、これを防止するための新しいガイドラインNIOSHPUB # 2007-131を発行した。カリフォルニア労働安全衛生庁などとの協力によるもので、図や写真が豊富に用いられ、誰でもわかりやすい内容となっている。(68ページ)