2.特定のカテゴリーの機械類に関する補足的な必須健康安全要求事項(SUPPLEMENTARY ESSENTIAL HEALTH AND SAFETY REQUIREMENTS FOR CERTAIN CATEGORIES OF MACHINERY)
食品機械類、化粧品または製薬用機械類、手持ち式および/または手によるガイド式機械類(hand-held and/or hand-guided machinery)、可搬型の固定および衝撃機械類(portable fixing and other impact machinery)、木材加工用および同様な物理特性の材料加工用の機械類は、本章に記述されているすべての必須健康安全要求事項を満たさなければならない(一般原則の4事項を参照せよ)。
2.1 食品機械類および化粧品または製薬用機械類(FOODSTUFFS MACHINERY AND MACHINERY FOR COSMETICS OR PHARMACEUTICAL PRODUCTS)
一般(General)
食品または化粧品・薬品への使用を意図した機械類は、感染、病気または接触伝染のいかなるリスクをも回避できるような方法で設計・製造されなければならない。
以下の要求事項が遵守されなければならない:
- (a)接触するまたは接触することが意図された材料、食品または化粧品・薬品は、関連する指令で規定された条件を満足しなければならない。当該機械類は、それぞれの材料の使用前に洗浄が可能であるように設計・製造されなければならない。これが不可能な場合には、使い捨て部品が使用されなければならない;
- (b)使い捨て部品の表面以外の食品または化粧品・薬品に接触するすべての表面は、以下の事項を満たさなければならない;
- −滑らかであること、有機質材料を捕捉するような隆起部または裂け目がないこと、継目部も同じことが適用されること、
- −突出部、縁部をできるだけ少なくし、また組付けの時間を最小にするように設計・製造すること、
- −容易に洗浄・消毒ができること、取外しが必要な場合は分解容易な部品とすること;内部の表面は、完全な洗浄ができるように十分大きな半径の曲面とすること;
- (c)食品および化粧品・薬品から発生する液体、ガス及びエアロゾルについても、機械類から完全に除去するための洗浄・消毒及びすすぎが(可能な場合は、「洗浄」位置で)可能でなければならない;
- (d)機械類は、洗浄のできない箇所に物質または生物、特に昆虫が侵入したり、有機物が堆積したり、しないように設計・製造されなければならない;
- (e)機械類は、使用する潤滑剤を含め、健康への障害を与えるような物質は、食品および化粧品・薬品に接触できないよう設計・製造されなければならない。必要な場合、機械類は、この要求事項に常に適合しているか点検できるように設計・製作されなければならない。
2.1.2 取扱説明書(Instructions)
食品機械類および化粧品・薬品に使用される機械類は、洗浄・消毒及びすすぎに使用される推奨製品および方法を明示しなければならない。まや、容易に接近できる箇所だけでなく、接近ができない箇所または接近しないほうがよい箇所も明示しなければならない。
2.2 可搬型手持ち式および/または手によるガイド式機械類(PORTABLE HAND-HELD AND/OR HAND-GUIDED MACHINERY)
2.2.1 一般(General)
可搬型手持ち式および/または手によるガイド式機械類は、次の要求事項を満たさなければならない:
- −機械類の型式に応じて十分な大きさの支持表面を有し、十分な数の適正寸法のハンドルおよび支持部を備え、意図された運転条件の下で、その安定性を確保されること、
- −必ずしも完全に安全な状態で手を離すことができないハンドルについては、技術的に不可能な場合、または独立した制御装置が設けられている場合を除き、操作者がハンドルから手を離すことなく操作できるような手動の起動・停止制御装置を設けること、
- −操作者がハンドルから手を離した後に、事故につながる起動または運転の継続によるリスクがないこと、
- −必要に応じ、危険区域および処理対象材料への工具の接触動作を目視で確認できるようにすること。
可搬型機械類のハンドルは、容易に起動及び停止をさせるように設計・製造されなければならない。
2.2.1.1取扱説明書(Instructions)
取扱説明書は、可搬型手持ち式および/または手によるガイド式機械類から伝播する振動に関して次のような情報を明示しなければならない:
- −加速度が2.5m/s2を超える場合は、腕部が受ける全体の振動値(vibration total value)を明示すること。また、加速度が2.5m/s2を超えない場合は、その旨を明示すること、
- −測定の不確定性。
これらの値は、対象の機械類について実際に測定されたものか、又は、製造された機械類を代表する技術的に同等な機械類についての基本的な測定によって確立されたものでなければならない。
整合規格が適用されない場合、振動のデータは、その機械類に関する最も近似する測定規則を使用して測定されたものでなければならない。
測定中の運転条件および測定に用いた方法または適用される整合規格が、明示されなければならない。
2.2.2 可搬型の固定および衝撃機械類(Portable fixing and other impact machinery)
2.2.2.1一般(General)
可搬型の固定および衝撃機械類は、次に示すように設計・製造されなければならない:
- −エネルギーが、その装置から分離することのない介在部品によって衝撃を受ける要素に伝達されること、
- −イネーブル装置は、機械類が基盤材料上に十分な圧力によって正しい位置に置かれていない限りは衝撃を防ぐこと、
- −必要に応じて、不用意な衝撃の発生が防止されること、適切な場合は、衝撃を発生するために、イネーブル装置における適正な順序動作および操作制御装置が必要とされなければならない、
- −取扱い中および衝撃の負荷中における事故につながる衝撃の発生は、防止されること、
- −送給・取出し作業は容易にかつ安全に実施できること。
必要に応じ、機械類の製造者によって設置されなければならない破片ガードおよび適切なガードを備えた装置を取り付けることが可能でなければならない。
2.2.2.2取扱説明書(Instructions)
取扱説明書は、次の事項に関する必要な情報を明示しなければならない:
- −機械類に使用され得る付属品および交換可能な機器について、
- −機械類に使用されるべき適切な固定具またはそれ以外の衝撃要素について、
- −適切な場合、使用すべき適切なカートリッジ(suitable cartridges)について。
2.3 木材加工用および同様な物理特性の材料加工用機械類(MACHINERY FOR WORKING WOOD AND MATERIAL WITH SIMILAR PHYSICAL CHARACTERISTICS)
木材加工用および同様な物理特性の材料加工用機械類は、次の要求事項を満たさなければならない:
- (a)機械類は、加工物が安全な状態で置かれかつ案内できるように設計・製造し、または装備しなければならない。また、加工物を作業台上で手により保持する場合の作業台は、作業中に十分安定していなければならない、また、加工物の移動を妨げてはならない;
- (b)機械類が加工物やその破片が飛出すリスクがある条件下で使用される場合は、そのような飛出しを防止するように設計・製造し、装備しなければならない、それが不可能な場合は、飛出しが操作者および/または露座者に対してリスクを発生させないようにしなければならない、
- (c)機械類は、工具の動作が停止する過程で工具への接触のリスクがある場合、ごく短時間に工具を停止させる自動ブレーキを装備しなければならない;
- (d)工具が全自動でない機械に組み込まれる場合、機械類は事故による傷害のリスクを除去・低減するように設計・製造されなければならない。