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資料CEN(欧州標準化委員会)及びCENELEC(欧州電気標準化委員会)に対する機械安全の標準化について

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(仮訳 国際安全衛生センター)

掲載日:2007.04.09

日本では平成13年6月1日厚生労働省から、「機械の包括的な安全基準に関する指針」(基発第501号)が公表され、機械に起因して発生する労働災害を防止するためには、機械を設計製造する段階での安全対策の実施が重要であり、その上で機械を使用する段階での安全対策の実施をあわせて包括的に行うことが必要であり、そのための方法が示されました。

これに先駆けて欧州では、域内市場の統合化のための機械安全基準が機械指令として出され、機械の設計製造段階での安全化が進められています。1995年1月1日以降は、機械指令に整合することが欧州市場における流通条件(CEマーキング制度)となってることはよく知られています。

機械指令に整合する基準を規格にしたものが、EN(整合)規格として知られていますが、欧州のEN規格の作成を担当している欧州標準化機構にはCEN(欧州標準化委員会)とCENELEC(欧州電気標準化委員会)があります。

この記事は、欧州委員会が欧州標準化機構に対して発令した命令文書における「CEN(欧州標準化委員会)及びCENELEC(欧州電気標準化委員会)に対する機械分野の標準化についての命令」(M/079)であり、法的根拠やCENとCENELECとの関係と役割、作成する規格の階層構造、機械指令と低電圧指令との関連、EN規格と各加盟国の国家規格との関係などを規定したものです。欧州の機械指令と低電圧指令及びEN規格や欧州標準化機構などについての理解をするのに有益な情報です。

CEN(欧州標準化委員会)及びCENELEC(欧州電気標準化委員会)に対する機械分野の標準化についての命令(M/079)

  1. 背 景
    1. 法的根拠

      この命令は、1991年6月20日付け理事会指令91/368/EEC及び1993年7月14日付け理事会指令93/44 (1993年7月19日付けEU官報 175)で修正されている機械類に関する加盟国の法令の近似化に関する1989年6月14日付け理事会指令89/392/EECに関連するものである。

      第1章での「機械」の定義によれば、この指令は広い適用範囲を扱っている。本指令の第3章によれば、この指令が適用される機械類は、当該機械類が市場に出される前に本指令の附属書1に示されている必須健康安全要求事項(the essential health and safety requirements )を満たさなければならない。第5章では、機械類が整合規格(harmonized standard)を置き換えた国家規格に従って製造される場合には、必須安全要求事項にあらかじめ適合しなければならないということを規定している。

      例外として、リスクが主に電気的原因である場合には、機械類は「低電圧指令」と呼ばれている理事会指令73/23/EECの適用を受ける。しかしながら、2度目の機械指令の修正提案についての議論の過程で、理事会(Council)は、整合規格が低電圧指令の適用内である限り、低電圧指令が第1章(5)の適用に含まれると見なされる機械には影響するという委員会(Commission)の見解に対して支持を与えている。いずれにしても、機械指令の必須健康安全要求事項がこのような機械類に対して適用されるように、これらの整合規格は関連する非電気的リスクについて適用されるべきである。

    2. 機械類に関する標準化の作業は、低電圧指令に関するものの開発と機械指令に関するものの開発の双方である。
    3. 低電圧指令とのリンク

      1993年5月に、機械類に関連する電気領域における欧州文書(欧州規格及び整合文書)に係わるCENおよびCENELECの位置付けを求めた命令書(M/15)が発行された。特に、CEN及びCENELECは、低電圧指令の意味する範囲内で維持されるべき整合規格の全体を構築したり、非電気的なリスクやそのようなリスクの取り扱いにおいてthe state of the art(実現可能な技術レベル)での変化を考慮して見直しや補足されるべき整合規格の一貫性ある詳細計画を作成することが求められている。

      この命令書に対する回答は、CEN及びCENELECの共同により1994年1月に提出された機械指令の適用についての枠組み作業を考慮したCEN及びCENELECに関連する規格の二つのリスト(A及びB)に含まれている。

      これらのリストは、規格化機関で実施される業務によって区分された4つの規格カテゴリで構成されている。

      カテゴリTはCENELECの業務のもの;カテゴリUは並行的業務のもの;カテゴリVは重複的業務のもの;カテゴリWはCENのみの業務のものである。

    4. 機械指令に関連する業務

      過去においては、個別の標準化命令が機械類に関連して発行された(CEN及びCENELECに対する文書 CEN/CLC/13-88 )。移動式揚荷により発生する危険源を有する機械には文書(BC/CEN/CLC/1-91)が発行され、人の持ち上げ及び移動により発生する危険源を有する機械には文書(M/8)が発行された。

      加えて、1993年5月にはリフトに関して提案された指令(最終版COM/92/35: 11.03.92付け官報62及び02.07.93付け官報180)に基づいて、個別の標準化命令書がリフトに関する文書(BC/CEN/3-92)をCEN及びCENELECに対して与えた。

      これらの指令の適切な機能化のために必要とされた規格の数は、膨大な量に及ぶものと推定された。したがって、全体としての標準化業務の適切な調査が必要であると考えられた。

      その結果として、CEN及びCENELECに対して文書CEN/CLC/13-88に関する機械類の安全に関する業務計画の再考のために、1992年9月に計画作成命令書(CEN/CLC/16-91)が発行された。

    5. 機械類規格の構成

      CENは1993年8月27日付けで命令文書CEN/CLC/16-91に対して、命令文書BC/CEN/03-92により適用されるリフト関連の計画を含んだ標準化計画(適切な場合は、CENELECと共同する)をもって回答した。この標準化計画は、重複を避けるために、また、それらの間の簡単な相互参照と規格の早急な生産を可能とする方法を開発するためにいくつかのカテゴリに区分されている

      結果として、次のような機械類に関する規格の階層的構造が構築された。

      • タイプA規格(基本安全規格):基本概念、設計に関する原則及びすべての機械類と組み立てに適用できる一般的側面の規定。
      • タイプB規格(グループ安全規格):安全関連装置の特定の側面または一連の機械や器具や設備に使用できる特定の安全関連機器を扱う規定。

        このカテゴリは、さらに次のように区分される。

        • タイプB1規格:安全の側面に関する詳細な規定(例えば、安全距離、表面温度、騒音)
        • タイプB2規格:安全関連装置に関する規定(例えば、両手制御装置、インターロック装置、圧力検知装置、ガード)
      • タイプC規格(個別機械安全規格):特定の機械または機械群に関する詳細な安全要求事項を含む規定。 
    6. 本命令の目的

      本命令の目的は、命令CEN/CLC16-91に対して提出された計画書に基づいて、機械指令の適用範囲に記述されたように、機械指令に関連して規格類の使用方法を作成することをCEN及びCENELECに依頼することである。この目的は、例えば、この作業の過程で必要となるかも知れない変更を取り込むために、CEN及びCENELECの計画への関連作業項目の追加を含んでいる。CEN及びCENELECは、規格や技術規則(Technical Regulations)に関する委員へのアドバイスなどのいかなる変更または脚色も委員会に対して報告しなければならない。

        CENから提出された計画書中で定義されたリフトについて提案された指令に関する規格の使用方法は、命令文書BC/CEN 03-92で扱われている。

        低電圧指令の適用範囲に該当する設備を扱うCENとCENELECに対する並行的標準化命令(M83)は、調整作業と機械指令の用語に関連する低電圧指令と関連する既存規格及び草案規格の見直しを扱う。

  2. 命令された業務の記述
    1. これによって委員会はCEN及びCENELECにたいして、新しい規格の作成と、適切な場合には、その指令の運用が必要な機械に関して、その指令の必須安全要求事項への適合が予想できる既存規格を適用させるかについて見直すことを求めている。

      その規格は、要求事項に関連する成果物と共通的(水平特性: a horizontal nature)な要求事項の両方を扱う。すなわち、I節で示されたようにタイプA、B及びCの規格を含んでいる。

    2. 規格は制限することなく、計画命令書CEN/CLC/16/91に対する回答の中で示された機械類に関連する規格のリストの基礎を作成することである。
    3. 機械類の分野における追加的な規格化プロジェクトがCEN及びCENELECの業務計画に対する追加を承認する場合は、または、その規格を練り上げる過程において、その計画の構成の変更が必要であることが明らかになってきた場合には、CEN及びCENELECはいかなる変更についても委員会に対してアドバイスすることが必要である; 委員会は、規格や技術規則についての委員にアドバイスするであろう。原則的に、このような新しい業務又は改訂の業務はこの命令書によって規定されなければならない。
    4. この命令文書の下に作成される規格は、初期の計画命令書に概説された要求事項に整合するものとする。特に、計画命令書CEN/CLC/16-91のU.2に規定される基準は期待される。とりわけ、指定された規格の基準でのU.2(c)、タイプCで必要とされるU.2(d)、そして、タイプC規格の内容であるU.2(e)が期待される。CEN及びCENELECの共同作業は必要に応じて設定され維持される。
  3. 要求の遂行
    1. CEN及びCENELECは、機械指令の条件の規格に整合する委員会規格草案を提出すべきである。そのような規格が命令文書CEN/CLC/16-91への回答に示された計画にリストされている場合は、その規格草案は、その計画に明示された目標日付までに委員会へ提出される。上のU.の3に述べたように、規格草案が計画の構成に対しての必要な変更を生ずる場合には、CEN及びCENELECは下記のV.の3に従って通知された日付までにそのような規格を提出すべきである。
    2. この命令文書の受理日から、機械指令に整合することを意図するすべての規格や草案はこの命令文書の条件の下に提案される。
    3. 欧州規格(EN)は指定された目標日付によって採用される。それらの日付には、三つの言語版(ドイツ語、英語、フランス語)が他の共同体言語の正しいタイトルと同様に有効になる。CEN及びCENELECは、この目標日付において、この命令文書が適用する技術領域すべてに適用されることを、ほかの多くの規格化プロジェクトの委員会に通知する。
    4. 適用される欧州規格は、指定された目標日付までに各加盟国の国内規格に置き換え  られなければならない、そして、異なる国家規格は、それらの採択の6ヶ月以内に加盟国の国家規格機関のカタログから削除される。
    5. 1983年3月28日付け理事会指令83/189/EEC(1983年4月26日理事会官報 L 109 )で言及されて、この命令文書のCEN及びCENELECによる受理は、据え置きの期間を開始する。
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