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資料 機械指令
95/16/ECの修正(書き直し)となる
機械類に関する2006年5月17日付欧州議会・理事会指令2006/42/EC
(欧州経済地域(EEA)関連文書)

(資料作成 国際安全衛生センター)

掲載日:2008.02.15

欧州議会と欧州連合理事会は、
欧州共同体を設立する条約(訳注:以下「条約」という)、特にその第95条に留意し、
欧州委員会の提案(*1)に留意し、
欧州経済社会委員会の意見(*2)に留意し、
条約の第251条で定められた手続き(*3)に従って行動し、
下記に鑑み、

(1) 機械類に関する加盟国法令の近似化についての1998年6月22日付欧州議会・理事会指令98/37/EC(*4)は、指令89/392/EEC(*5)を成文化したものである。指令98/37/ECに対しては新たに大幅な修正が加えられており、問題を明確にするためにも、当該指令を書き直すことが望ましい。

(2) 機械部門はエンジニアリング産業の重要な一部であり、共同体経済の主力産業の一つである。機械類の使用が直接的な原因となって発生する多数の災害の社会的費用は、機械類を本来的に安全な形で設計・製造し、適切に設置・保守することで、削減可能である。

(3) 加盟国は、特に機械類の使用によって生じるリスクに関し、人々、とりわけ労働者と消費者、および該当する場合には家畜と財産に対し、自国内における安全衛生を保証する責任を負う。

(4) 使用者に対して法的確実性を保証するために、本指令の適用範囲および本指令の適用に関する基本姿勢については、可能な限り正確に定義する必要がある。

(5) 人または人と物品を持ち上げるための建設現場のホイストに関して加盟各国が設けている義務的な規定には、しばしばこれらの規定を補足するものとして事実上の強制的な技術仕様および/または自主的な規格があり、そのことが結果的に安全衛生の水準に違いをもたらすわけではないものの、規定の不一致が原因で共同体内の貿易の障壁になっている。さらに、これらの機械の適合性評価・認定のための各国制度には大きな開きがある。したがって、人または人と物品を持ち上げるための建設現場のホイストを本指令の適用範囲から除外しないことが望ましい。

(6) 武器の取得と所有の管理に関する1991年6月18日付理事会指令91/477/EEC(*6)が適用される小火器を含む武器は、本指令の適用範囲から除外することが適切である;かかる小火器の除外は、もっぱら工業用または技術用として設計された可搬型カートリッジ式固定装置およびその他の衝撃装置(portable cartridge-operated fixing and other impact machinery)に対して適用するべきではない。小型武器の試験済刻印の相互認証に関する1969年7月1日付条約の条件を満たすものを含め、現行国内規定に従って製造された機械類の市場への出荷および使用については、本指令の採択と同時に加盟国がこれを認可したものとして扱えるよう、暫定的な取り決めを用意する必要がある。また、かかる暫定的な取り決めがあれば、欧州の各種標準化機関は、最新技術(the state of the art)に基づいて安全水準を保証する規格案を作成することができる。

(7) 本指令は、人を持ち上げることを意図して設計されたものではない機械を手段とする人の持ち上げに対しては適用されない。ただしこれは、加盟国の権利、すなわち条約に従いつつ、かかる機械に関連し、作業中の労働者による作業機器の使用時における最低限の安全衛生要求事項について定めた1989年11月30日付の理事会指令89/655/EEC(指令89/391/EEC第16条第1項の意義の範囲内における第2の個別的指令)(*7)を実施することを目的として、独自に措置を講じることができる加盟国の権利に影響を及ぼすものではない。

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(*1) OJ(官報) C 154 E, 29.5.2001, p. 164。

(*2) OJ C 311, 7.11.2001, p. 1。

(*3) 2002年7月4日付欧州議会見解(OJ C 271 E, 12.11.2003, p. 491)、2005年7月18日付理事会共通立場(OJ C 251 E, 11.10.2005, p. 1)、および2005年7月18日付欧州議会立場(官報未掲載)。2006年4月25日付理事会決定。

(*4) OJ L 207, 23.7.1998, p. 1。指令98/79/ECを最新の修正とする指令(OJ L 331, 7.12.1998, p. 1)。

(*5) 機械類に関する加盟国法令の近似化についての1989年6月14日付理事会指令89/392/EEC(OJ L 183, 29.6.1989, p. 9)。

(*6) OJ L 256, 13.9.1991, p. 51。

(*7) OJ L 393, 30.12.1989, p. 13。欧州議会・理事会指令2001/45/ECを最新の修正とする指令(OJ L 195, 19.7.2001, p. 46)。

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(8) 農林業トラクターについては、農林業トラクターとこれらトラクターのトレーラー、交換可能な被牽引機械類、さらにこれらのシステム、構成要素、および独立した技術単位の型式検定に関する2003年5月26日付欧州議会・理事会指令2003/37/EC(*1)によって現在カバーされていないリスクに関する本指令の規定は、かかるリスクが2003/37/ECによってカバーされる場合には適用するべきではない。

(9) 市場監視(market surveillance)は、各種指令の適切かつ公平な適用を確実にするものであるだけに、手段として不可欠である。したがって、市場監視を円滑に行えるような法的枠組みを整備することが適切である。

(10) 加盟国は、本指令を各国領土内において有効に執行することを確実にし、関係する機械類の安全性を可能な限り本指令の規定に従って向上させることを確実にする責任を負う。加盟国は、欧州委員会が作成したガイドラインを考慮しつつ、本指令の適切かつ公平な適用を実現するために、実効ある市場監視を実施する能力を確実に獲得する必要がある。

(11) 市場監視をめぐっては、機械類に対して適合性を推定して付与する整合規格についての異議と、機械類に関するセーフガード条項(safeguard clause)とを、明確に区別する必要がある。

(12) 本指令の意義の範囲内における機械類の使用とは、当該機械類それ自体を意図された用途または合理的に予見される目的で使用することのみについていう。このことは、当該機械類にとって本質的でない付帯的な使用条件を定めることを妨げるものではないが、それは当該機械類が本指令に定められていない方法で変更されていない場合に限る。

(13) また、関係する整合規格の不備ゆえに、または当該機械類の技術的特徴のために、人々の安全衛生に同じリスクをもたらすある種の機械類について、これらの市場への出荷を禁止ないし制限したり、かかる機械類に特別な条件を課したりすることを加盟国に義務付ける共同体レベルでの個別の措置を採択できるよう、適切な仕組みを用意する必要がある。かかる措置の必要性に対する適切な評価を確実にするために、これらの措置は、加盟国およびその他の利害関係者との協議をふまえ、委員会(committee)の補佐を得て、欧州委員会が講じる必要がある。かかる措置は経済主体に直接適用されるものではないので、加盟国はかかる措置を実施するために、必要なあらゆる手段を講じる必要がある。

(14) 機械類が安全であることを保証するためには、必須健康安全要求事項(the essential heath and safety requirements)を満たす必要がある;製造時点での最新技術、および技術的経済的要求事項を考慮するためには、高い見識をもってこれらの必須健康安全要求事項を適用する必要がある。

(15) 機械類が消費者、すなわち非職業的操作者(a non-professional operator)によって使われる可能性がある場合には、製造業者は設計・製造段階でこのことを考慮に入れる必要がある。消費者に対するサービスの提供を通常の用途とする機械類についても、同じことが適用される。

(16) 半完成機械類(partly completed machinery)に対しては本指令の要求事項がそのまますべて適用されるわけではないが、具体的な手順を用意してかかる機械類の自由な移動を保証することは重要である。

(17) 見本市や展示会等においては、本指令の要求事項を満たさない機械類の展示が可能である必要がある。ただし、当該機械類がそのままの状態では適合性を有せず購入不可であることを、関係者に対して適切に通知する必要がある。

(18) 本指令で定義しているのは汎用の必須健康安全要求事項だけであり、これを補足するものとして、ある種のカテゴリーの機械類を対象とするいくつかのより具体的な要求事項がある。必須健康安全要求事項への適合性を証明する製造業者を支援し、必須要求事項への適合性の検査を可能にするためには、機械類の設計・製造に起因するリスクの防止を目的とした、共同体レベルで整合化された各種規格を用意することが望ましい。これらの規格は各種の私法上の組織によって作成されており、強制力を持たないその性質は堅持される必要がある(should retain their non-binding status)。

(19) 本指令がカバーする機械類の使用に関連したリスクの性質を考慮すると、必須健康安全要求事項への適合性を評価するための各種手順を定める必要がある。これらの手順は、機械類に内在する危険性の程度を考慮して定める必要がある。したがって、機械類の各カテゴリーにおいて、当該機械類に必要とされる検証の性質を考慮に入れつつ、技術的調和に関する各種指令(*2)において使用することを意図された適合性評価手順の各段階のモジュールならびにCE適合マーキングの添付および使用の規則に関する1993年7月22日付理事会指令93/465/EECに従って、それぞれ独自の適切な手順を持つ必要がある。

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(*1) OJ L 171, 9.7.2003, p. 1。欧州委員会指令2005/67/ECを最新の修正とする指令(OJ L 273, 19.10.2005, p. 17)。

(*2) OJ L 220, 30.8.1993, p. 23。

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(20) 機械類が本指令の規定に適合していることの証明については、製造業者がその全責任を負う必要がある。ただし、リスク要因のより高い特定の機械類については、より厳密な証明手順が望ましい。

(21) CEマーキングは、機械類が本指令の要求事項に適合していることを保証する唯一のマーキングとして、十分に認識される必要がある。CEマーキングの意味または形状、もしくはその両方に関し、第三者に誤解を生じさせるようなその他のあらゆるマーキングについては、これを禁止する必要がある。

(22) CEマーキングと製造業者のマークに対して同一の品質を保証するためには、これらのマークを同一の技術に基づいて添付することが重要である。部品に表示されている可能性があるCEマーキングと、機械類を対象としたCEマーキングとが混同されるのを防ぐためには、後者のマーキングを、このマーキングに対して責任を持つ人物、すなわち製造業者またはその正当な代理人の名前の横に添付することが重要である。

(23) さらに、製造業者またはその正当な代理人(his authorized representative)は、市場に出荷しようとする機械類に対し、リスクアセスメントを確実に実施する必要がある。そのために、製造業者またはその正当な代理人は、当該機械類に対して適用されて関連する各種措置をみずからが講じなければならない必須健康安全要求事項はどれかを見極める必要がある。

(24) 製造業者または共同体内に拠点を設けているその正当な代理人は、EC適合宣言書を作成する前に、技術構成ファイルを作成することが不可欠である。すべての文書を資料の形で永続的に利用可能にしておく必要はないが、要求があれば利用可能にできるようにしておかねばならない。機械類の製造に使われる部分組立品の詳細な図面については、必須健康安全要求事項への適合を証明するうえでこうした図面について知ることが不可欠である場合を除き、ファイルに含める必要はない。

(25) 本指令に従って下されたあらゆる決定の対象者には、かかる決定の理由、および対象者に対して開かれている法的救済手段を通知する必要がある。

(26) 加盟国は、本指令の規定への侵害行為に適用される罰則を定める必要がある。これらの罰則は、実効性のある、バランスのとれた、抑止的なものである必要がある。

(27) 人を持ち上げるための機械に対して本指令を適用するには、本指令によってカバーされる製品の範囲を、持ち上げ機械に関する加盟国の法令の近似化についての1995年6月29日付欧州議会・理事会指令95/16/EC(*1)によってカバーされている製品と関連させて、より明確にする必要がある。このため、後者の指令の適用範囲の再定義が必要と考えられる。したがって、指令95/16/ECはしかるべく修正する必要がある。

(28) 本指令の目的、すなわち市場に出荷される機械類の安全性を向上するために設計・製造に関して必須健康安全要求事項を定めるという目的は、加盟国では十分に実現することができず、共同体レベルにおいてより良好に実現することが可能であるために、共同体は、条約の第5条で定められた補完性の原則に従って、各種の措置を採択することができる。同条で定められた比例性の原則に従い、本指令は、その目的の実現に必要な範囲を越えないものとする。

(29) よりよい立法についての組織間協定(Interinstitutional Agreement)(*2)の第34項に従い、加盟国に対しては、自国および共同体の利益のために、本指令とその国内法化された種々の措置との間の相関関係について可能な限り詳しく説明した表を独自に作成し、これを公表することが要請される。

(30) 本指令の実施に必要な措置は、欧州委員会に付与された実施権限の行使の手順を定めた1999年6月28日付理事会決定1999/468/EC(*3)に従って採択する必要がある。

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(*1) OJ L 213, 7.9.1995, p. 1。規則(EC)No 1882/2003(OJ L 284, 31.10.2003, p. 1)で修正された指令。

(*2) OJ C 321, 31.12.2003, p. 1。

(*3) OJ L 184, 17.7.1999, p. 23。

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以下のとおり、本指令を採択した。

第1条

適用範囲(Scope)

  • 1. 本指令は以下の製品に適用される:
    • (a) 機械類;
    • (b) 交換可能機器;
    • (c) 安全部品;
    • (d) 持ち上げ機の付属品;
    • (e) チェーン、ローブ、及び帯ひも;
    • (f) 取り外し可能な機械式伝達装置;
    • (g) 半完成機械類。
  • 2. 以下のものは、本指令の適用範囲から除外される:
    • (a) 同一の部品に代わるスペアパーツとして使うことを意図され、機械類本体の製造業者が供給する安全部品;
    • (b) 移動遊園地および/または遊園地で使われる特定の機器;
    • (c) 故障時に放射能を発生するおそれがあり、原子力目的で特別に設計されるか、または使用される機械類。
    • (d) 小火器を含む武器;
    • (e) 以下に掲げる輸送手段:
      • - リスクが指令2003/37/ECによってカバーされている場合の農林業トラクター、ただしこれらの車両に取り付けられる機械類は除く
      • - 自動車およびそのトレーラーの型式検定に関する加盟国の法令の近似化についての1970年2月6日付理事会指令70/156/EEC(*1)によってカバーされている自動車およびそのトレーラー、ただしこれらの車両に取り付けられる機械類は除く
      • - 2輪または3輪自動車の型式検定に関する2002年3月18日付欧州議会・理事会指令2002/24/EC(*2)によってカバーされる車両、ただしこれらの車両に取り付けられる機械類は除く
      • - 競争のみを目的とした自動車、および
      • - 空路、水路、および鉄道網による輸送手段、ただしこれらの輸送手段に取り付けられる機械類は除く;
    • (f) 航洋船、移動式沖合ユニット、およびこれら船舶上および/またはユニット上に設置された機械類;
    • (g) 軍事目的または治安目的で特別に設計・製造された機械類;
    • (h) 研究施設での一時的使用のために研究目的で特別に設計・製造された機械類;
    • (i) 鉱山用巻き上げ装置;
    • (j) 芸術上演中に上演者を移動するための機械類;
    • (k) 以下に掲げる範囲に該当する電気製品および電子製品で、特定の電圧限度内で使用するよう設計された電気機器に関する加盟国の法令の調和についての1973年2月19日付理事会指令73/23/EEC(*3)によってカバーされるもの:
      • - 家庭用電化製品
      • - 音響映像機器
      • - 情報技術機器
      • - 通常の事務機器
      • - 低電圧の開閉装置および制御装置
      • - 電動機;
    • (l) 以下に掲げる種類の高圧電気機器:
      • - 開閉装置および制御装置
      • - 変圧器。

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(*1) OJ L 42, 23.2.1970, p. 1。欧州委員会指令2006/28/ECを最新の修正とする指令(OJ L 65, 7.3.2006, p. 27)。

(*2) OJ L 124, 9.5.2002, p. 1。欧州委員会指令2005/30/ECを最新の修正とする指令(OJ L 106, 27.4.2005, p. 17)。

(*3) OJ L 77, 26.3.1973, p. 29。指令93/68/EECで修正された指令(OJ L 220, 30.8.1993, p. 1)。

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第2条

定義(Definitions)

本指令では、「機械類」は第1条第1項(a)〜(f)に掲げられた製品を指す。

以下の定義が適用されるものとする。

  • (a) 「機械類」とは、次のものをいう。
    • - 人力または動物を直接の動力源とするもの以外の駆動系に取り付けたり、取り付けることを意図されたもので、少なくとも一つのパーツまたは部品は可動であって、特定用途のために組み合わせられる接続パーツまたは部品の集まり
    • - 第一文で言及されている集まりで、これを現場において接続するための部品、またはエネルギー動力源に接続するための部品だけが欠けているもの
    • - 第一文および第二文で言及されている集まりで、輸送手段に取り付けられる場合に限って設置することができ、その状態で機能することが可能であるか、またはビルや構造物に設置されたもの
    • - 第一文、第二文、および第三文で言及されている機械類の集まり、または(g)項で言及されている半完成機械類の集まりで、同じ目的を達成するために、一体として機能するように配置および制御されるもの
    • - 接続パーツまたは部品の集まりで、少なくとも一つのパーツまたは部品が可動であって、一つに組み合わせられ、貨物の持ち上げを意図し、唯一の動力源が直接人力を応用したものであるもの
  • (b) 「交換可能機器」とは、機械類またはトラクターの使用開始後に、その機能を変更したり、新しい機能を与えたりするために、当該機械類またはトラクターに操作者自身が組み付ける装置のことで、この機器が工具ではない場合についていう。
  • (c) 「安全部品」とは、次の部品をいう。
    • - 安全機能の実現に役立つもの
    • - 単独で市場に出荷されるもの
    • - その部品の故障および/または誤動作が人の安全を危険にさらすもの、および
    • - 機械類が動作するのに必要ではないか、または機械類を動作させるためにその部品に代えて通常の部品を使用できるもの
    • 安全部品の例示リストは附属書Vに収録しているが、これは第8条第1項(a)に従って改訂されることがある。
  • (d) 「持ち上げ機の付属品」とは、持ち上げ機械類に取り付けられていない部品または機器で、積み荷の保持を可能にするものであり、積み荷と当該機械類との間または積み荷そのものの上に置かれたり、積み荷の一部を構成するよう意図されて単独で市場に出荷されたりするものをいう;吊り索(sling)及びその部品も持ち上げ機の付属品とみなされる。
  • (e) 「チェーン、ローブ、及び帯ひも」とは、持ち上げ機械類の一部または持ち上げ機の付属品の一部として持ち上げ用に設計、製造されたチェーン、ローブ、及び帯ひもをいう。
  • (f) 「取り外し可能な機械式伝達装置」とは、自走式機械類またはトラクターとその他の機械とを最初の固定連結位置で結合し、これらの間で動力を伝達するための取り外し可能な部品をいう。ガード付きで市場に出荷された場合には、一個の製品とみなされるものとする。
  • (g) 「半完成機械類」とは、ほぼ機械類といえるが、それ自体では具体的な用をなさない集まりをいう。駆動系は、半完成機械類である。半完成機械類の用途は、もっぱらほかの機械類やほかの半完成機械類または機器に組み込んだり、これらのものと一緒に組み立てたりすることであり、これによって本指令の適用対象となる機械類を構成することになる。
  • (h) 「市場に出荷する」とは、機械類や半完成機械類を、代価を取るか無料かを問わず、販売目的または使用目的で、EU共同体内で初めて入手可能にすることをいう。
  • (i) 「製造業者」とは、本指令によってカバーされる機械類や半完成機械類を設計 及び/又は 製造し、自分の名前や商標を付けたり、自身で使用することを目的として、市場への出荷を念頭に、当該機械類または当該半完成機械類が本指令に適合していることに対して責任を負う自然人または法人をいう。この定義に該当する製造業者が不在の場合には、本指令によってカバーされる機械類や半完成機械類を市場に出荷するか、または使用する自然人もしくは法人を製造業者とみなすものとする。
  • (j) 「正当な代理人」とは、EU共同体内に拠点を設けていて、本指令に関連する各種の義務と手続きの全部または一部を製造業者に代わって遂行するよう、製造業者から書面による委任状を受け取っている自然人または法人をいう。
  • (k) 「使用する」とは、本指令によってカバーされる機械類を、その本来の用途において、EU共同体内で初めて使用することをいう。
  • (l) 「整合規格」とは、技術規格と規制の分野および情報社会サービスに関する規則の分野における情報提供の手続きを定めた1998年6月22日付欧州議会・理事会指令98/34/EC(*1)で定められた手順に従って欧州委員会が出した付託権限に基づいて、標準化機関、すなわち欧州標準化委員会(European Committee for Standardisation: CEN)、欧州電気標準化委員会(European Committee for Electrotechnical Standardisation: CENELEC)、または欧州電気通信標準化機構(European Telecommunications Standards Institute: ETSI)によって採択された強制力を持たない技術仕様をいう。

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(*1) OJ L 204, 21.7.1998, p. 37。2003年加盟法を最新の修正とする指令。

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第3条

個別指令(Specific Directives)

機械類に関し、附属書Iに記載されたハザードがほかのEU共同体指令によってより具体的な形で全部または一部がカバーされている場合には、これらの共同体指令の実施日から、かかるハザードについて、本指令は当該機械類に適用されないか、または適用を中止するものとする。

第4条

市場監視(Market surveillance)

  • 1. 加盟国は、機械類が本指令の関連規定を満たし、適切に設置・保守されて意図された用途または合理的に予見可能な状態で使われたときに、人々、および該当する場合には家畜や財産も含めて、その安全衛生を危険にさらさない場合にのみ、当該機械類が市場に出荷および/または使用されることを確実にするために、あらゆる適切な措置を講じるものとする。
  • 2. 加盟国は、半完成機械類が本指令の関連規定を満たす場合にのみ、当該半完成機械類が市場に出荷されることを確実にするために、あらゆる適切な措置を講じるものとする。
  • 3. 加盟国は、機械類および半完成機械類が上の第1項と第2項の規定に適合しているかどうか監視する所管官庁を設置または指名するものとする。
  • 4. 加盟国は、上の第3項で言及されている所管官庁の任務、組織構造、および権限を定めるものとし、これらの諸点について、付随する修正も含めて、欧州委員会とほかの加盟国に通知するものとする。

第5条

市場への出荷および使用(Placing on the market and putting into service)

  • 1. 製造業者またはその正当な代理人は、機械類を市場に出荷および/または使用する前に、以下のことを行うものとする。
    • (a) 附属書Iで定められた関連必須健康安全要求事項を満たすことを確実にする。
    • (b) 附属書VIIパートAで言及されている技術ファイルが入手可能であることを確実にする。
    • (c) 特に、取扱説明書などの必要な情報を提供する。
    • (d) 第12条に従って適合性評価のための適切な手順を実施する。
    • (e) 附属書IIパート1セクションAに従ってEC適合宣言書を作成し、当該機械類への添付を確実にする。
    • (f) 第16条に従ってCEマーキングを添付する。
  • 2. 製造業者またはその正当な代理人は、半完成機械類を市場に出荷および/または使用する前に、第13条で言及されている手順を完了していることを確実にするものとする。
  • 3. 第12条で言及されている手順の目的のために、製造業者またはその正当な代理人は、当該機械類が附属書Iで定められた必須健康安全要求事項を満たすことを確実にするうえで必要な手段を有するか、またはこれを利用できるものとする。
  • 4. 機械類が、別の側面に関連するほかの指令の対象にもなっていて、これらの指令においてCEマーキングの添付が定められている場合には、CEマーキングは、当該機械類がこれらほかの指令の規定にも適合していることを示すものとする。

ただし、これら指令の1つ以上において、移行期間中は、製造業者またはその正当な代理人が、適用されるべき制度を選択することを許可している場合には、CEマーキングは、製造業者またはその正当な代理人によって適用された指令の規定にのみ適合していることを示すものとする。適用される指令の詳細は欧州連合官報に掲載されているものであるが、これをEC適合宣言書に記載するものとする。

第6条

移動の自由(Freedom of movement)

  • 1. 加盟国は、本指令に適合する機械類については、自国内での市場への出荷および/または使用を禁止、制限、または妨害しないものとする。
  • 2. 加盟国は、製造業者またはその正当な代理人が、附属書IIパート1セクションBで言及されている組込宣言書、すなわち半完成機械類が、ほかの機械類に組み込まれたり、ほかの半完成機械類と一緒に組み立てられることで機械類を構成することを記した組込宣言書を作成した場合には、当該半完成機械類の市場への出荷を禁止、制限、または妨害しないものとする。
  • 3. 加盟国は、見本市、展示会、デモンストレーション等において、本指令に適合しない機械類または半完成機械類の展示を妨げないものとする。ただしこれは、当該機械類または半完成機械類が適合性を有していないこと、および適合性を有するまでは入手不可能であることが、わかりやすい表示で明確に示されている場合に限る。また、このような適合性を有しない機械類または半完成機械類のデモンストレーション中は、人々を確実に保護するためにしかるべき安全対策が講じられるものとする。

第7条

適合性の推定と整合規格(Presumption of conformity and harmonised standards)

  • 1. 加盟国は、CEマーキングが添付され、附属書IIパート1セクションAでその内容を定めているEC適合宣言書が付されている機械類については、本指令の規定に適合しているとみなすものとする。
  • 2. 欧州連合官報にその参照先が掲載されている整合規格に適合する形で製造された機械類は、かかる整合規格によってカバーされている必須健康安全要求事項に適合しているとみなすものとする。
  • 3. 欧州委員会は、整合規格の参照情報を欧州連合官報に掲載するものとする。
  • 4. 加盟国は、整合規格の作成および監視のプロセスに対し、社会的パートナーとして各国レベルで一定の影響力を持つことができるよう、適切な措置を講じるものとする。

第8条

個別の措置(Specific measures)

  • 1. 欧州委員会は、第22条第3項で言及されている手順に従って行動し、以下の点に関する規定を実施するための適切な措置を講じることができる。
    • (a) 第2条(c)項で言及されている附属書Vの安全部品の例示リストの改訂
    • (b) 第9条で言及されている機械類の市場への出荷の制限
  • 2. 欧州委員会は、第22条第2項で言及されている手順に従って行動し、第19条第1項で定められている加盟国相互間および欧州委員会との協力を確実にするための措置を含め、本指令の実施および実際の運用に関連する適切な措置を講じることができる。

第9条

潜在的に危険な機械類に対処するための個別の措置(Specific measures to deal with potentially hazardous machinery)

  • 1. 欧州委員会が、第10条で言及されている手順に従い、整合規格でカバーされていて附属書Iで定められている必須健康安全要求事項が当該整合規格では完全に満たされていないと判断した場合には、欧州委員会は、本条第3項に従い、整合規格の不備に起因するリスクの存在を技術的特徴として持つ機械類の市場への出荷を禁止または制限したり、かかる機械類に特別な条件を課したりすることを加盟国に義務付ける措置を講じることができる。

    欧州委員会が、第11条で言及されている手順に従い、加盟国によって講じられる措置が正当化されると判断した場合には、欧州委員会は、本条第3項に従い、その技術的特徴ゆえに同じリスクを持つ機械類の市場への出荷を禁止または制限したり、かかる機械類に特別な条件を課したりすることを加盟国に義務付ける措置を講じることができる。

  • 2. いずれの加盟国も、第1項で言及されている措置を採択することの必要性を調査するよう、欧州委員会に求めることができる。
  • 3. 第1項で言及されている事例においては、欧州委員会は、人々の健康と安全の保護を共同体レベルにおいて高い水準で確保する目的から、同委員会が講じようとする措置を示して加盟国およびその他の利害関係者と協議するものとする。欧州委員会は、この協議の結果を適切に考慮し、第22条第3項で言及されている手順に従って必要な措置を採択するものとする。

第10条

整合規格に異議を唱える場合の手順(Procedure for disputing a harmonised standard)

加盟国または欧州委員会が、整合規格でカバーされていて附属書Iで定められている必須健康安全要求事項が当該整合規格では完全に満たされていないと判断した場合には、欧州委員会または加盟国は、指令98/34/ECによって設置された委員会(committee)に対し、理由を示してこの問題を諮るものとする。委員会(committee)は、遅滞なく意見を表明するものとする。委員会(committee)の意見を考慮し、欧州委員会は当該整合規格の参照情報を欧州連合官報に掲載する、掲載しない、保持する、制限を付して保持する、撤回する、のいずれかの対応を決定するものとする。

第11条

セーフガード条項(Safeguard clause)

  • 1. 本指令によってカバーされ、CEマーキングが添付され、EC適合宣言書が付され、意図された用途または合理的に予見可能な状態で使われた機械類が、人々、および該当する場合には家畜や財産も含めて、その健康と安全を損う原因であることを加盟国が確認した場合には、加盟国は、かかる機械類を市場から撤収したり、かかる機械類の市場への出荷および/または使用を禁止したり、かかる機械類の自由な移動を制限したりするために、あらゆる措置を講じるものとする。
  • 2. 加盟国はかかる措置について、その決定の根拠、および特に不適合が次のいずれを原因とするものであるかを示して、欧州委員会およびほかの加盟国にただちに通知するものとする。
    • (a) 第5条第1項(a)で言及されている必須要求事項を満たしていない;
    • (b) 第7条第2項で言及されている整合規格の適用が不適切である;
    • (c) 第7条第2項で言及されている整合規格自体に不備がある。
  • 3. 欧州委員会は、遅滞なく関係当事者との協議に入るものとする。

    欧州委員会は、この協議の後、当該加盟国によって講じられた措置が正当であるかどうかを判断し、措置を講じた加盟国、その他の加盟国、および製造業者またはその正当な代理人に対し、決定内容を通知するものとする。

  • 4. 第1項で言及されている措置が整合規格の不備に基づくものであって、かかる措置を講じた加盟国がその立場を堅持する場合には、欧州委員会または当該加盟国は第10条で言及されている手順を開始するものとする。
  • 5. 機械類が適合性を有さず、CEマーキングが添付されている場合には、関係する加盟国が、CEマーキングを添付した者に対して適切な行動を起こし、これを欧州委員会に通知するものとする。欧州委員会は、ほかの加盟国に通知を行うものとする。
  • 6. 欧州委員会は、当該手順の進行状況と結果について加盟国に逐次情報を提供することを保証するものとする。

第12条

機械類の適合性評価の手順(Procedures for assessing the conformity of machinery)

  • 1. 製造業者またはその正当な代理人は、機械類が本指令の規定に適合していることを証明するために、第2項、第3項、および第4項に記載する適合性評価手順のいずれか一つを適用するものとする。
  • 2. 当該機械類が附属書IVで言及されていない場合、製造業者またはその正当な代理人は、附属書VIIIで定められている機械類の製造に対する内部チェックによる適合性評価手順を適用するものとする。
  • 3. 当該機械類が附属書IVで言及されていて、第7条第2項で言及されている整合規格に従って製造されている場合で、これらの整合規格が関連必須健康安全要求事項をすべてカバーしている場合には、製造業者またはその正当な代理人は、以下の手順のうちいずれか一つを適用するものとする。
    • (a) 附属書VIIIで定められている機械類の製造に対する内部チェックによる適合性評価手順;
    • (b) 附属書IXで定められているEC型式審査手順、およびこれに加えて附属書VIII第3項で定められている機械類の製造に対する内部チェック;
    • (c) 附属書Xで定められている完全な品質保証手順。
  • 4. 当該機械類が附属書VIで言及されていて、第7条第2項で言及されている整合規格に従って製造されていないか、またはこれらの整合規格に部分的にのみ従って製造されている場合、または整合規格が関連必須健康安全要求事項をすべてカバーしているわけではない場合、もしくは当該機械類を対象とする整合規格がまったく存在しない場合には、製造業者またはその正当な代理人は、以下の手順のうちどちらか一つを適用するものとする。
    • (a) 附属書IXで定められているEC型式審査手順、およびこれに加えて附属書VIII第3項で定められている機械類の製造に対する内部チェック;
    • (b) 附属書Xで定められている完全な品質保証手順。

第13条

半完成機械類の場合の手順(Procedure for partly completed machinery)

  • 1. 半完成機械類の製造業者またはその正当な代理人は、当該半完成機械類を市場に出荷する前に、以下のことを確実に行うものとする。
    • (a) 附属書VIIパートBに記載する関連技術文書を用意する。
    • (b) 附属書VIに記載する組立説明書を用意する。
    • (c) 附属書IIパート1セクションBに記載する組込宣言書を作成済みである。
  • 2. 組立説明書および組込宣言書は、当該半完成機械類が最終的な機械類に組み込まれるまで、当該半完成機械類に添付されるものとし、最終的な機械類への組み込み後は当該機械類の技術ファイルの一部を構成するものとする。

第14条

通知機関(Notified bodies)

  • 1. 加盟国は、第12条第3項および第4項で言及されている市場への出荷のための適合性評価を実施させる目的で指名した機関、およびこれと並んで、具体的な適合性評価手順、当該機関が担当する機械類のカテゴリー、および欧州委員会から機関に対して事前に割り当てられた識別番号を、欧州委員会およびほかの加盟国に通知するものとする。加盟国は、付随する修正を欧州委員会およびほかの加盟国に通知するものとする。
  • 2. 加盟国は、通知機関が附属書XIで定められた基準に常に従っているかどうかチェックするために、通知機関に対する定期的な監視を確実に行うものとする。通知機関は、加盟国が附属書XIの要求事項を確実に満たせるよう、要求があれば予算関連文書を含めすべての情報を提供するものとする。
  • 3. 加盟国は、これから通知する機関および既に通知した機関を評価する際、附属書XIで定められた基準を適用するものとする。
  • 4. 欧州委員会は、情報の周知を図るため、通知機関のリスト、各通知機関の識別番号、および各通知機関の任務を欧州連合官報に掲載するものとする。欧州委員会は、このリストを最新の状態に保つことを確実に行うものとする。
  • 5. 参照情報が欧州連合官報に掲載されている関連整合規格で定められた評価基準を満たす機関については、関連基準を満たしていると推定するものとする。
  • 6. 製造業者が本指令の関連要求事項を満たしていないか、または満たさなくなった、あるいはEC型式審査証明または品質保証システム認定を発行すべきではなかったと通知機関が判断した場合、通知機関は、製造業者による適切な是正措置の実施によってかかる要求事項への適合が保証される場合は別として、比例性の原則を考慮し、詳しい理由を添えて、発行済の証明や認定を停止または撤回するか、あるいはこれらに制限を課すものとする。証明や認定を停止または撤回したり、これらに制限を課したりした場合、あるいは所管官庁の介入が必要であることが明らかになった場合には、通知機関は第4条に従って当該所管官庁に通知を行うものとする。加盟国は、ほかの加盟国および欧州委員会に遅滞なく通知を行うものとする。また、抗告できるようにするものとする。
  • 7. 欧州委員会は、本指令の統一的な適用を図るために、加盟各国において公認機関の指名、通知、および監視にあたる当局と通知機関との間で経験の交換を可能にするしくみを用意するものとする。
  • 8. 機関を通知した加盟国は、以下の場合にはただちにこの通知を撤回するものとする。
    • (a) 当該機関が附属書XIで定められた基準を満たさなくなったと判断した場合、または
    • (b) 当該機関がその責務を全うしていないと判断した場合
    加盟国はこれをただちに欧州委員会およびほかの加盟国に通知するものとする。

第15条

機械類の設置および使用(Installation and use of machinery)

本指令は、人々、とりわけ労働者が機械類を使用するときに保護されることを確実にするうえで加盟国が必要とみなした要求事項について、加盟国が共同体の法律を正当に遵守しつつこうした要求事項を定める権利には、影響を及ぼさないものとする。ただしこれは、こうした要求事項が、本指令に定められていない方法で機械類が変更されることを意味しない場合に限る。

第16条

CEマーキング(CE marking)

  • 1. CE適合マーキングは、附属書IIIに示すとおりイニシャル「CE」から構成されるものとする。
  • 2. CEマーキングは、附属書IIIに従って見やすく、読みやすく、消えることのないよう、機械類に添付するものとする。
  • 3. CEマーキングの意味または形状、もしくはその両方に関し、第三者に誤解を生じさせるようなマーキング、表示、および指示を機械類に添付することは、禁止されるものとする。その他のあらゆるマーキングについては、これを添付することでCEマーキングの視認性、可読性、および意味が損なわれない限りにおいて、機械類に添付することができる。

第17条

マーキングの不適合(Non-conformity of marking)

  • 1. 加盟国は、以下のマーキングを不適合であるとみなすものとする。
    • (a) 本指令によってカバーされていない製品に対する本指令に従ったCEマーキングの添付
    • (b) CEマーキングの欠如および/または機械類のEC適合宣言書の欠如
    • (c) 第16条第3項で禁止されている、CEマーキング以外のマーキングの機械類への添付
  • 2. マーキングが本指令の関連規定に適合していないことを加盟国が確認した場合には、製造業者またはその正当な代理人は、当該加盟国が定めた条件の下で、製品を適合状態にして違反状態を終了させる義務を負うものとする。
  • 3. 不適合が存続する場合には、加盟国は、第11条で定められた手順に従って、当該製品の市場への出荷を制限または禁止したり、市場からの撤収を確実にするために、あらゆる適切な措置を講じるものとする。

第18条

守秘義務(Confidentiality)

  • 1. 加盟国は、守秘義務の分野における現行の国内規定および国内慣行を損なうことなく、本指令の適用に関係するあらゆる当事者および人に対し、その任務の遂行中に得た情報を機密扱いにすることを義務付けることを確実にするものとする。より具体的には、業務上、職業上、および取引上の秘密については、かかる情報の公表が人々の安全衛生を保護するのに必要である場合を除き、機密扱いにするものとする。
  • 2. 第1項の規定は、情報の相互交換および警告の発行に関する加盟国と通知機関の義務には影響を及ぼさないものとする。
  • 3. 第9条および第11条に従って加盟国および欧州委員会が下したあらゆる決定は、公表されるものとする。

第19条

加盟国間の協力(Cooperation between Member States)

  • 1. 加盟国は、第4条第3項で言及されている所管官庁がこれら官庁相互間および欧州委員会と協力して、本指令の統一的適用を可能にするのに必要な情報を互いにやり取りすることを確実にするために、適切な措置を講じるものとする。
  • 2. 欧州委員会は、本指令の統一的な適用を図るために、市場監視にあたる所管官庁が互いに経験を交換できるようにするしくみを用意するものとする。

第20条

法的救済手段(Legal remedies)

本指令に従って講じられ、本指令によってカバーされる機械類の市場への出荷および/または使用を制限するあらゆる措置については、その正確な根拠を示すものとする。かかる措置については関係当事者に可能限り速やかに通知されるものとし、関係当事者にはこれと同時に、関連加盟国の現行法令の下で利用可能な法的救済手段、およびかかる救済手段の期限についても通知されるものとする。

第21条

情報の普及(Dissemination of information)

欧州委員会は、本指令の実施に関する適切な情報を入手可能にするための必要な措置を講じるものとする。

第22条

委員会(Committee)

  • 1. 欧州委員会は、委員会(Committee)(以下「委員会(Committee)」という)の補佐を受けるものとする。
  • 2. 本項に関してなされた言及については、決定1999/468/ECの第8条の規定に留意しつつ、同決定第3条および第7条が適用されるものとする。
  • 3. 本項に関してなされた言及については、決定1999/468/ECの第8条の規定に留意しつつ、同決定第5条および第7条が適用されるものとする。

    決定1999/468/ECの第5条第6項で定められた期間は、3か月に設定されるものとする。

  • 4. 委員会(Committee)は、自身の手続き規則を採択するものとする。

第23条

罰則(Penalties)

加盟国は、本指令に従って採択した国内規定への侵害行為に適用される罰則についての規則を定めるものとし、これらの規則の実施を確実にするために必要なあらゆる措置を講じるものとする。定められる罰則は、実効性のある、バランスのとれた、抑止的なものでなければならない。加盟国は、2008年6月29日までにこれらの規定について欧州委員会に通知するものとし、これらの規定に影響を及ぼす付随する修正については遅滞なく欧州委員会に通知するものとする。

第24条

指令95/16/ECの修正(Amendment of Directive 95/16/EC)

指令95/16/ECはここに以下のとおり修正される。

  • 1. 第1条第2項および第3項を次のように置き換えるものとする。
  • 2. 「本指令では、「持ち上げ機」とは、特定の高さを対象として使われる持ち上げ装置で、水平面からの傾斜角度が15度を超える剛体のガイドに沿って移動する荷台を有し、以下の運搬を用途とするものをいう。

    • - 人
    • - 人および物品
    • - 物品のみ、ただし荷台に立ち入り可能、すなわち、人が容易にその中に入ることができる場合で、かつ、制御装置が荷台の内側にあるか、または荷台の中にいる人が手を伸ばせば届く範囲にある場合

    剛体のガイドに沿って移動しない場合でも固定経路に沿って移動する持ち上げ装置は、本指令の適用範囲に該当する持ち上げ機とみなすものとする。

    「荷台」とは、持ち上げ機の部品であって、人および/または物品を支えてこれを持ち上げたり降ろしたりするためのものをいう。

  • 3. 本指令は以下のものには適用されない。
    • - 動作速度が0.15m/s以下の持ち上げ装置
    • - 建設現場のホイスト
    • - ケーブルカーを含むロープウェイ
    • - 軍事目的または治安目的で特別に設計・製造された持ち上げ機
    • - その中から作業を行うことができる持ち上げ装置
    • - 鉱山用巻き上げ装置
    • - 芸術上演中に上演者を持ち上げるための持ち上げ装置
    • - 輸送手段に取り付けられる持ち上げ装置
    • - 機械類に接続されていて、この機械類の保守点検箇所を含む作業台にアクセスすることのみを目的とする持ち上げ装置
    • - ラックアンドピニオン式トレーン
    • - エスカレーターおよび機械式歩道
  • 2. 附属書Iの第1.2項は次のように置き換えるものとする。
    • 1.2. 荷台

      各持ち上げ機の荷台は、箱(car)でなければならない。この箱は、設置者が定めた最大乗員数および定格荷重に応じた広さと強度を持つように設計・製造されなければならない。

      かかる持ち上げ機が人を運ぶことを目的とする場合で、その寸法上許容される場合には、箱の構造的特徴が障害者のアクセスと利用の邪魔になったり妨げたりしないよう、また障害者の利用を容易にするための適切な調整が可能なように、箱を設計・製造しなければならない。」

第25条

廃止(Repeal)

指令98/37/ECはこれにより、2009年12月29日現在を以って廃止される。

廃止された指令に対する参照は、本指令に対してなされたものと解釈するものとし、附属書XIIの相関表に従って内容を読み取るものとする。

第26条

採択(transposition)

  • 1. 加盟国は、本指令に適合するために必要な規定を遅くとも2008年6月29日までに採択して公表するものとする。加盟国はその後ただちにこれを欧州委員会に通知するものとする。

    加盟国は、これらの規定を2009年12月29日から有効となるよう適用するものとする。

    加盟国は、これらの規定を採択するときに、本指令への参照情報を含めるか、または規定を公表する際にかかる参照情報を添えるものとする。かかる参照をどのように行うかの方法については、加盟国が決めるものとする。

  • 2. 加盟国は、本指令によってカバーされる分野において採択した国内法の規定の文面、ならびに本指令の規定と採択した国内規定とがどのように対応するかを示した表を欧州委員会に渡すものとする。

第27条

特例(Derogation)

現行国内法規に従って製造された可搬型カートリッジ式固定装置およびその他の衝撃装置の市場への出荷および使用については、加盟国は2011年6月29日まで、本指令の採択と同時にこれを認可することができる。

第28条

施行(Entry into force)

本指令は、欧州連合官報掲載から20日後に施行されるものとする。

第29条

あて先(Addresses)

本指令は、加盟各国あてに発する。

2006年5月17日、ストラスブールにおいて採択した。

欧州議会を代表して

議長

J. BORRELL FONTELLES

欧州理事会を代表して

議長

H. WINKLER

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