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国際安全衛生センタートップ国別情報(目次) > ドイツ 新労働災害防止法・解説
ドイツ連邦共和国労働・社会秩序省発行(訳:中央労働災害防止協会)

まえがき

社会福祉的な法治国家にとっては、労働時の安全と健康保護を高い水準で目指すのは当然な義務である。しかし労働災害防止は、 社会福祉的な責任という命令であるばかりでなく、産業立地先を確保する上で、重要な貢献となる。グローバルな競争という 条件下で、技術的な革新は急速なテンポで進んでおり、被用者の健康保護は決してないがしろにされてはならない。そのためにも 欧州共同体が、統一的でヨーロッパ全体に適用される最低基準をこの重要な領域において発令したことは歓迎に値する。新労働災害防止法は、ECの労働災害防止大綱ガイドラインをドイツの法律に導入する。新労働災害防止法は、民間企業と行政機関に おけるすべての活動領域とすべての被用者グループに適用される。これによってドイツでは、初めて事業所内における労働災害防止 に関する、統一的な法的基盤が整備されたことになる。今こそ、事業所、行政機関、同業者組合、従業員代表は、この法律に命を 吹き込み、理性的で、具体的に、事業所内の状況に合わせて作った災害防止措置の余地を利用するべき時である。すべての関係者は 協力して、職場における健康への危険から勤労者を保護する方法を効果的に改善しなければならない。

ノルベルト・ブリューム
連邦労働・社会秩序大臣

  1. ヨーロッパ全域に適用される最低基準

    なぜ、ドイツで新しい労働災害防止法が必要なんだろうと、おそらく当初は疑問に思う人がいるかも知れない。なぜならドイツは 労働災害防止の多くの領域ではヨーロッパでもトップクラスに数えられるからである。たとえば機器の安全性、あるいは危険物から の保護に関しては、ドイツはヨーロッパ諸国の中ではトップクラスに位置する。確かにそれは正しい。しかしドイツに労働災害防止 が誕生した時以来、すなわち1839年のプロイセンの『工場で若年労働者を雇用することに関する条例』の発令以来、これまでにまだ 達成できなかったのが、使用者と被用者に対する一般的な基本義務を網羅し、そしてあらゆる事業所と行政機関で適用される基本的 な労働災害防止関連規則の作成だった。それが今やっと、ヨーロッパ法の助けを借りて、『EC労働災害防止大綱ガイドラインとその他 の労働災害防止ガイドラインの導入のための法律』の成立によって、成就したのである。過去数年の間に新しいヨーロッパ労働災害防止法が成立したことは、ヨーロッパ域内市場の誕生と関係がある。ドイツは 1988年初めにECの議長国を勤めたが、その間に域内市場が持つ『社会的な次元』を政治的な議論の場に持ち出したのである。自由な 製品の流通によって、メーカーだけが域内市場の恩恵を被るのではなく、ヨーロッパの被用者もヨーロッパ全域で有効な、労働時の 健康保護という恩恵を受けるべきだと考えたのである。ECの他の加盟国はドイツのイニシアチブをしっかりと受け止めた。他の国々も一致して、統一的なヨーロッパ法の導入でしか、 ヨーロッパ内の経済的利益と社会的な利益の理想的な調和は得られないと考えたのである。その結果が『労働災害防止に関する一連 のガイドライン』だった。

    『市民のヨーロッパ』のための中心的な礎石

    この一連のガイドラインには、いわゆる労働災害防止大綱ガイドラインが含まれるが、この大綱計画ガイドラインは、新しい労働 災害防止法によってドイツの国内法に導入され、そして特定の専門領域に関わるさまざまな個別ガイドライン、たとえば事業所、 作業手段の利用、個人的な保護装備器具の利用、重量物の人力運搬、ディスプレイ機器を使う職場、等々に関するさまざまな個別 ガイドラインも含まれる。新法を基盤にして、これらの個別ガイドラインも法規命令によって今や、迅速にドイツ国内法に導入できる ようになった。この一連のガイドラインが示すように、労働災害防止は『市民のヨーロッパ』にとって、そしてとヨーロッパの統合プロセスに とって、中心的な礎石となった。全欧州連合(EU)加盟国の被用者は、欧州連合(EU)では労働時の健康保護に関して、同じ最低 条件を享受できると確信できるようになった。

  2. スリムな条文法

    ヨーロッパの労働災害防止ガイドラインは、直接すべての加盟国の全雇用者と被用者に適用されるものではない。ガイドラインに 網羅された取決めが関係者にとって拘束力を持つようになるためには、加盟国はこのガイドラインを国内法に導入しなければなら ない。これが『EC労働災害防止大綱ガイドラインとその他の労働災害防止ガイドラインを導入するための法律』によって可能になり、 この法律が、直接に2つの労働災害防止に関するECガイドラインを完全にドイツの国内法に導入することになった。すなわち、

    • 1989年6月12日のEC理事会の、労働時の労働者の安全と健康保護を改善するための諸措置の実施に関する重要な労働災害防止大綱 ガイドライン89/391/EEC(EC官報No.L 183の1頁)と

    • 1991年6月25日のEC理事会の、期限付き雇用関係、あるいは貸与雇用関係にある被用者(派遣社員)の安全と健康保護を改善する ための措置を補完するための、ガイドライン91/383/EEC(EC官報No.L 206の19頁)


    特殊領域のための法規命令

    さらにこの法律には、その他のECの労働災害防止ガイドラインの導入に必要な命令の授権、とくに労働災害防止大綱ガイドラインに 関するさまざまな個別ガイドラインの導入に関する命令の授権も含まれている。これらの個別ガイドラインは特殊な労働災害防止 領域を調整する。それにはたとえば作業手段の利用、あるいは個人的な保護装備器具の使用、事業所、ディスプレイ機器、生物学的な 作用物質からの保護、あるいは建設現場における安全と健康保護なども含まれる。

    6編から成る条文

    導入法は条文法の形式を採用している。すなわち、導入法は6編から構成され、これが新しい、独立した労働災害防止法を創出し、 既存の種々の法律を変更する。第1編は新しい『労働災害防止法』(ArbSchG)を網羅し、26箇条の条文で、どのようにすれば事業所内で効果的な労働災害防止が構築 できるか、誰が監督するか、種々の規定が遵守されるかどうか、等々を定めている。

    労働災害防止法そのものは5つの章に分割されている。

    • 第1章(『一般規定』)では適用領域と定義が調整されている。ここで重要なのは、すべての作業領域と被用者グループに関する 法律の包括的な適用領域を定めている種々の定義である。特に行政機関も網羅されている。行政機関にあっては、個々の役所が 『事業所』と見なされる。鉱山業と船舶航行業に関しては、連邦鉱山法や海員法に労働災害防止法に相当する規定がない場合には、 補足的に労働災害防止法が適用される。その他の法律条例における労働災害防止に関する諸規則は、そのままである。 労働災害防止法は個人の家庭における家事使用人と家内労働法で保護されている家内労働の被用者には適用されない。

    • 第2章(『使用者の義務』)と第3章(『被用者の義務と権利』は大綱ガイドラインの基準に従っている。事業所内の労働災害 防止に関するこの基準は、内容を変更せずにそのまま採用した。つまりドイツの事業所は、大綱ガイドライン導入法によっても、 他のEU加盟国の事業所と同じ義務を果たせば良いことになったのである。加えて、労働災害防止法の諸規則は簡潔に、そして理解 しやすく書かれている。諸規則は企業に多くの自由裁量の余地を与えており、企業では規定をフレキシブルに満たせるようになって いる。中小の事業所の利益は多くの個所で考慮されている。

    • 第4章(『命令の授権』には、法律を履行するために、そしてヨーロッパ法的な、あるいは国際的な義務を果たすために、ドイツ 連邦共和国政府に対して命令を授権することが含まれている。

    • 第5章(『最終規定』)には、実施規定、州の諸官庁が法的事故保険の保険者との協力に関する規定、ならびに罰金と罰則 規則が網羅されている。

    第2編から第5編までは、労働災害防止法の変更、経営体規則法、営業条例、被用者貸与法の変更を網羅している。これらの変更は いずれもEC法をドイツ国内法に完全に導入するために必要である。

    事業所が記録をするには1年間の猶予あり

    第6編は発効を調整する。これによれば法律全体が発効するのは連邦官報で告示をした次の日となる。告示は 1996年8月20日に行われたので、この法律は1996年8月21日から適用されている。1年後の1997年8月21日には、事業所は危険度判定の 結果と労働災害防止措置に関する書類を整えておかなければならない。そのために事業所には新しい労働災害防止法に備える十分な 時間が与えられていることになる。

  3. 未来に対する十分な備え

    新労働災害防止法は、ドイツでは初めて事業所内の労働災害防止に関して、見通しの利く、そして統一的な基本的諸規則を 作り出した。これらの諸規則は、民間企業、行政機関、女性の従業員、男性の従業員、女性公務員、男性公務員、女性の裁判官、 男性裁判官、作業所で働く障害者の別なく、あらゆる被用者グループを基本的に保護するものである。

    使用者と被用者が自ら変化を形成する

    これによって初めて近代的な労働災害防止の概念が、すなわち労働時の事故防止と労働にまつわる健康障害を予防し、人間的な労働 の形成をも網羅する労働災害防止の概念が、ドイツの法律にしっかりと統一的に根をおろすことになった。労働災害防止法は、近代的な労働災害防止の必要性を強調するものである。この法律は、技術と労働世界のダイナミズムが、労働災害 防止措置に恒常的な適合を要求するところから出発している。この法律はこの適合を、とりわけ、使用者と被用者が積極的に、そして 力を合わせて自ら変化を形成することによって保証するものである。労働災害防止法は事業所の責任者からは自己イニシアチブと労働 災害防止における協力を要求し、事業所の責任者に体系的で、首尾一貫した防止措置を講じさせようとするものである。

    重要な前進

    自己責任を強調する点に、まさにドイツの労働災害防止法にとっては、重要なひとつの前進がある。従来はドイツの労働災害 防止法は、新しい危険に対しては絶えず新しい特殊な保護規則を発令することによって、任務を満たして来た。そのために事業所内 の労働災害防止の領域では、実にたくさんの法律が発令された。多くのさまざまな規則があったがために、事業所で実際にこれらの 法律を適用しようとする人々に幾多の困難をもたらすようになったし、見通しが利くのは往々にして専門家だけという事態になって しまった。統一的な基本的な規則というものがなかったのである。それがこの労働災害防止法によって、統一的な基本的な規則に まとめられたのである。

    首尾一貫した予防措置が長期的には企業負担を軽減する

    技術革新と労働世界の変化のテンポはすさまじく、今や新しい危険に対して新しい規則を作るのでは間に合わなくなくなった。 事業所の責任者は将来、事態を今まで以上に自分でコントロールしなければならなくなった。確かに、特殊な労働災害防止問題には 特殊な回答が必要だろう。しかし事業所における首尾一貫した予防措置は、多くの場合、新しい規則を作るよりも、費用もかからず、 効果的だろう。予防措置は長期的には事業所と規則を作る人々、すなわち国家の負担を軽減するだろう。しかし新しい労働災害防止法は、新しい規則を必要最低限に押さえようとするものではない。新しい労働災害防止法によって、 あらゆる関係者が、事業所内の労働災害防止に関して存在する、たくさんの既存の個別規則を整理し、この法律を簡単にし、 より使いやすいようにすることで、労働災害防止をより効果的に形成するために、あらゆる関係者によって利用されるだろう。一言で言えば、新労働災害防止法によって、われわれは未来に対して十分な備えをしたことになる。

  4. 使用者が注意すべき点

    使用者は、自分の事業所に勤める被用者の安全と健康に関して包括的な責任を負う。労働災害防止法で明確にされている点は、 使用者が信頼に値する、専門知識を備えた人を代理に任命して、本来は法律的には使用者自身が責任を持って果たさなければ ならない義務をその人に委任できることである。この委任は文書で行われなければならない。使用者の責任性はこれまで 通りに残る。

    基本的義務

    労働災害防止法は個々に次のように使用者の基本的な義務を定めている。
    • 使用者は、労働時における被用者の安全と健康に影響を与える事情を考慮に入れて、労働災害防止の必要な諸対策を 講じなければなら ない。
    • 使用者は、このために適当な労働災害防止組織と手段を準備しなければならない。すなわち労働災害防止諸対策は、事業所内の あらゆるレベルにインテグレートされ、尊重されなければならない。使用者は法律的に必要な労働災害防止諸対策の費用を被用者に 負担させてはならない。
    • 使用者は、自分の事業所内の労働条件を労働災害防止の観点から判定しなければならない。労働条件が同じである場合には、 ひとつの職場、あるいはひとつの仕事の判定するだけで十分である。危険度 のポテンシャルが明らかにされた場合には、それに 応じて、使用者は防止措置を講じなければならないが、この措置は使用者がその効 果をチェックし、必要であれば、新しい発展 動向や新しい認識に適合させなければならない。
    • 事業所内の防止措置では、一般的な危険防止の基本原理を尊重しなければならない。それにはたとえば、危険度を最低限に押さ える命令、危険を根源で克服すること、技術の発展水準を考慮に入れること、労働環境全体を考慮に入れた上で諸対策を立てること、 あるいは個別的な防止策よりも集団的な防止先を優先させること、などが含まれる。使用者はその義務を果たす際に、ドイツの労働 災害防止法にはいったい何が求められているのか知りたい場合には、事業所内、あるいは事業所外の労働災害防止専門家の意見を 聞くことになるだろう。
    • 使用者は、危険度判定の結果と講じた防止措置に関して書類(いわゆる記録)を準備しなければならないが、その際に同じ種類 の危険状況に関しては記述を要約できる。その他の法律規則に別段の定めがない場合には、従業員10名以下の事業所では労働災害 防止措置の記録をする必要があるのは、所轄官庁が事業所の作業には特別な危険性があるとして、記録を命令した場合に限られる。
    • 使用者は、従業員代表あるいは職員代表に対して、事業所内の労働災害防止のすべての措置について伝えなければならない。 この規定の実施は、ドイツの民間企業にあっては経営体規則法によって、またドイツの行政機関の職員に関しては、連邦と州の人事 代表法によって行われる。
    • 従業員の代表者がいない場合には、使用者は自ら被用者に対して、彼らの安全と健康に影響を及ぼし得るあらゆる措置について、 その意見を聴取しなければならない。導入法はこれを民間企業の被用者に関しては、経営体規則法の補足によって調整している。 また行政機関の被用者に関しては、労働災害防止法に独立した取決めがある。その理由は連邦と州の職員代表法には、経営体規則法 にあるような規定が欠如しているからである。
    • 労働時にさらされる可能性がある安全と健康に対する危険に関しては、すべての被用者は、防止措置について指示を受けると 同時に職場における具体的な防止措置の指導を受けなければならない。
    • その他、使用者の義務としては次のようなものがある。
      複数の使用者の被用者が一緒に仕事をしている場合の労働災害防止に関しては、複数の使用者が協力する義務。特に危険な労働領域や 労働状況に関する諸対策と防止策、応急処置に関する準備対策、消防と緊急避難、十分な理由があって被用者が労働医学的な健康診断 を希望する場合にはこれを認めること。


  5. 被用者が注意すべき点

    この新労働災害防止法は、被用者に対しても、事業所内の労働災害防止措置に積極的に参加するように求めている。 新労働災害防止法は被用者に対して単に伝統的な義務、すなわち被用者が器具類を規則に則って使用したり、上司の指示に従って 行動するという古典的な義務を課しているだけではない。さらに被用者は可能な範囲内で自己の安全と健康、自分の仕事によって 影響を受ける他人の安全にも注意を払わなければならないとしている。
    • 被用者は、使用者の指示を守り、指導されたように行動しなければならない。
    • 被用者は機器、機械あるいは個人的な労働災害防止装置をその本来の目的に合わせて利用しなければならない。
    • 被用者は、使用者あるいは担当の上司に対して、安全と健康に直接大きな危険が生じた場合には、直ちに報告しなければならず、 被用者が労働災害防止システムに故障を発見した場合には、その都度、報告しなければならない。
    • 被用者は、毎日の仕事で得た経験と知識を、事業所内の労働災害防止に積極的にもたらさなければならない。被用者は事業所内 の労働災害防止専門家と一緒に、事業所内の労働災害防止が良く機能するように、そして官庁の命令が遂行されるように、使用者を 支援しなければならない。さらに被用者は使用者に対して改善提案ができる。

    不利が生じてはならない

    被用者は、大きな、直接身に危険が降りかかるような場合には、そのために不利を蒙ることなく、職場を離れる権利を有する。 また被用者が監督官庁に労働災害防止措置に問題があるとして訴えても、使用者が被用者の苦情に対して一切反応しなかった場合 には、一切の不利を蒙ることはない。

  6. 誰が監督するのか?

    使用者は自分の事業所の労働災害防止に関して責任を負う。この責任は、法律の遵守を労働災害防止監督官庁によって監督する 国家に対して負っている。法律の実施に関しては、基本的には州政府の官庁がその任に当たる。ただし、連邦の行政機関に関しては、 一般的な実施官庁としては、連邦内務省の『中央労働災害防止局』がその任に当たる。

    監督官庁の検査

    監督官庁は、使用者、使用者が委託した人、あるいは被用者に対して、彼らが法律に基づいて行わなければならない、必要な対策を 命令できる。監督官庁は使用者、あるいは使用者が委託をした人物から、すべての情報と法律の実施の監視に必要な書類の譲渡を 要求できる。所轄の監督官庁の職員は、営業時間中、作業時間中に作業場に立ち入り、そして視察し、ならびに必要な検査を実施して良い。 この時間以外に担当職員が使用者の了解なく事業所に立ち入れるのは、立ち入りによって公共の安全と秩序にとって緊急な危険が 防止できる場合のみである。通常、使用者は、所轄官庁に情報を提供するように義務づけられている。使用者が沈黙を守って良い のは、その回答によって自分自身、あるいは近親者の一人を刑事訴追の危険にさらす恐れがある場合だけである。

    デュアル・システムは改善される

    この他の実施規定が、使用者の告知義務、所轄諸官庁とその他の専門官庁との協力、年次報告作成に関する所轄官庁の義務などを 調整する。ここで明らかにされているのが、法定事故保険の保険者の課題と権限が社会法典に準拠することである。これによってデュアルな (複線の)労働災害防止システムが維持され、改善されることである。改善される理由は、公の官庁が監視の際には事故保険の 保険者と緊密に協力し、経験の交換を推進し、実施した事業所視察に関して、保険者に報告することを義務づけられているから である。

  7. その他の変更点

    導入法の第2編では労働災害防止法の必要な変更が行われた。強調すべきは、危険度判定の際の産業医と労働安全の専門家の コンサルティングの役割が拡大されたことである。さらにはコンサルティングを行う専門家に関して、彼らに不利を生じさせては ならないとする禁止条項が導入された点である。

    第3編は、上にすでに言及した経営体規則法の諸変更を網羅している。

    第4編は、営業条例の第120条aを取り消し、営業条例の相応する事後変更を網羅している。このステップによって営業条例の 第120条aにこれまであった、使用者が労働安全性に関しては、『事業所の性格上許される限りの』労働安全性についてのみ配慮 すれば良いとされていた点が、やっと取り除かれた。

    第5編は、被用者貸与法を補完して、ヨーロッパの貸与労働者ガイドラインの完全な導入を可能にしたこと である。特に借用者に健康障害と保護対策に関して告知する義務があること、ならびに必要な、特別な資格について告知する義務 があることを採用した点である。




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