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試験・認証機関の認定に関するKANの調査報告
KAN Study on Accreditation of Testing and Certification Bodies

資料出所:KOMMISSION ARBEITSSCHUTZ UND NORMUNG
(KAN−ドイツ労働基準委員会)発行
KANBRIEF」2003年第2号

(仮訳 国際安全衛生センター)
原文はこちら


 EU市場の基本的要件を満たさなければいけないのは、製品だけではない。EU全域にわたる最低基準は、これらの製品を試験・認証する各機関にも適用される。「認証及び試験に対する世界的なアプローチ(Global Approach to Certification and Testing)」は、適合性評価の相互承認の基本としての役割を果たしており、これなしには商品の自由な移動という構想はうまくいかない。
 KANの委託を受けた調査は、ドイツと他の欧州の認定及び指定システムの基本的原則を分析するものである。調査目的は、試験認証機関の適合性を評価するための一定の統一ルールの立案についての提案書を作成することであった。

欧州における指定及び認証の実情

 調査によると、指定及び通知手順、認定及び監視システム並びに指定当局に関する法的要件は、欧州各国でまちまちである。用語の定義及び用法にさえ相違がある。そのため、調査では、以下に簡略に示したような用語体系を提示している。

通知を求める機関に対する共通要件

 調査によると、現在の「通知機関(bodies to be notified)の指定に適用される一般最低基準」は十分なものではなく、さらにEN45000シリーズの基準(適合性評価の原則)の内容からも、もはや適合性を推定することはできない。このことは、通知を求める機関に対する一般的かつ共通の要件が必要であることを示唆している。要件には、機関の体制(独立性及び中立性、機密性及び責任など)、資源(スタッフ及び設備)、プロセス(下請契約、記録あるいは開示義務など)及びマネジメントシステムに関するルールが含まれている。これらの要件は、できれば統一された欧州基準と併せて、横断的な指令あるいは用語を統一した分野別指令の付属書としてむしろ具体化されるべきである。

指定及び通知手順の統一

 調査の結果判明したことは、機関の評価及び指定の手順についてもできる限り調和のとれたものとすることが必要であるということであるが、とりわけ透明性を保つ事が大切である。このことは、指定のプロセス(特に申請及び評価手順)、通知段階(特に通知の範囲)及び監視手順(課せられた条件及び通知の保留・取消し)の改善の必要性を示唆している。さらに指定当局及び認定機関に対する共通要件についても、できれば通知を求めている機関に対する一般的かつ共通要件の基本として、特定されなければならない。
 このような調査結果から、各国の指定システムと認証システムにおける現在の相違点をなくす対策を推奨している。このことは新しいアプローチ及び安全衛生対策の適切さの自信を強めることになるだろう。

KANの調査で提示された定義(簡略版)
認定
(Accreditation)
ある機関が、定められた要件を満たし、かつ定められた適合性評価活動(指定の権限はない)を実施する能力があることを、公平な第三者(認定機関)によって認めること
評価
(Assessment)
ある機関が、適合性評価活動を実施できるための法規(不特定品目及び特定の技術能力)に定められる要件を満たすかどうかを指定当局が評価する手順
指定
(Designation)
加盟国による公式決定であり、ある機関が適切な評価を受けた後に、法規で定められた範囲内において一定の適合性評価活動を実施する権限を与えること
指定当局
(Designating authority)
加盟国によって設立または運営され、その管轄内の試験検定機関の指定及び監視、指定の保留、保留の解除、あるいは指定の撤回・取消しをする権限を付与された機関
通知機関
(Notified body)
欧州指令の範囲内で、定められた適合性評価活動を実施する権限を付与された機関
通知
(Notification)
加盟国が欧州委員会(European Commission)及び他の加盟国に対し、機関の指定を通知する手順