このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。
国際安全衛生センタートップ国別情報(目次) > インド 職業的なストレスの管理
インド全国安全協会の健康、安全、環境日誌1999年
 
職業的なストレスの管理

序文

ストレスは太古の昔から存在します。近代化の進んだ今日では、長時間椅子に座っての業務や仕事の上での厳しい競争、大量のアルコール摂取、薬品、過度の喫煙、偏った食生活、そして深刻な運動不足など、我々のライフスタイルは様変わりしています。過度のストレスは我々の健康に対する最大の敵となります。しかし、正しく管理すれば強い味方にもなり得るのです。

ストレスとは?

ストレスは、医学上は「体を変形させる力」と定義付けられています。人間に関しても、ストレスはストレス性疾病の形で、長期的には体を変形させます。

ストレスに対する人間の反応

人体はストレスに対し、ある一時的な生理的変化をするという反応を示します。この反応は、それぞれの器官や個人の人格などがどれほど敏感であるかによって異なります。たとえば、消化器系の敏感な人ならば、胃酸過多、下痢、便秘などになります。ある種のストレスが、ある人には何でもないのに、他の人には大変なストレスになる、ということもあります。

職業的なストレス要因

A.環境(物理的)ストレス

環境ストレスとは、熱、光、音、化学物質、人間工学的なストレスなどを言います。これらは職場の環境を改善したり、職場を改装したりすることで、比較的簡単に解決することができます。

B.心理社会的ストレス

これは体の内部へのストレスをもたらすものであるため、より解決の難しいストレスです。心理社会的ストレスは、個人が変化に順応できないことによって生じるものです。ホワイトカラー労働者は、責任が大きいため、より大きな心理社会的ストレスを感じることが多いのです。女性の被雇用者も、家計の稼ぎ手と家庭の主婦という二つの役割を持つため、多くのストレスにさらされます。グローバル化に伴い、競争が激化する、ターゲットや要求が高まる、能力に合わない業務が発生する、成長の余地が狭められる、長時間座って行う仕事が増える、事業プロセスの再計画が求められる、個人的でない人間関係が増える、雇用の低速化や解雇が発生する、などの現象が見られるようになり、これらがストレスを増大させるようになります。

ストレスによる影響を特定するにはどうするか?

ストレスによる影響の兆候としては以下のようなものがあります:

身体的兆候:高血圧、食欲減退、肥満、不眠症(睡眠不足)、頻繁な頭痛、胃酸過多、頻繁な腰痛や筋肉の痙攣、憂鬱、性的問題、予想外の疲労など

心理的兆候:過敏になる、落ち着かない、不安、自殺衝動、退屈、怒りの抑圧、神経質になるなど

これらのうち、2つ以上の身体的兆候、4つ以上の心理的兆候、双方併せて4つ以上の兆候のいずれかが過去1年間に頻繁に見られたような場合は、ストレスによる影響を受けているものと判断されます。ストレスの影響を受けた被雇用者は、アルコール中毒、常習的欠席、攻撃的性格、事故などの現象が現れることで特定できます。

ストレス性疾病

ストレスが正しく解消されなかった場合、以下に挙げる疾病の原因となったり、既に罹病している場合にはそれを悪化させたりします。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、冠状動脈の疾病、心臓及び血管の疾病、高血圧、糖尿病、緊張状態による頭痛・偏頭痛、腰痛、首の痛み、気管支喘息、心身症、性的問題、扁平苔蘚など

職業的ストレスの管理

ライフスタイルの改善がストレス管理の基本です。以下に、簡単で有効なヒントを挙げておきます:

  • 仕事の計画をよく練り、適切な時間管理を行うようにしましょう。
  • 組織の人材開発計画は、自負心の有効活用と改善につながります。
  • 自分の弱点や欠点を隠すのではなく、それらを克服するように努めましょう。
  • 今やらなくてはいけないことを、先延ばしにするのはやめましょう。山積みになった仕事はストレスの原因となります。
  • 余暇の時間を設けましょう。気分転換になります。
  • 可能なら、ストレスの要因を調整しましょう(例、結婚、離婚、引越し、転職など)。
  • 心身ともに健康状態を保ちましょう。
  • 家庭での出来事には積極的に関わるようにし、家族と過ごす時間をとりましょう。
  • 休暇を取りましょう。休暇は人をリラックスさせます。ストレスも休ませてあげましょう。
  • 適切でバランスのいい食生活を心がけましょう。過度の喫煙や飲酒は避けるようにします。ストレス管理の原則は、適度を心がけることです。
  • 毎日30分から40分の有酸素運動は、心身をリラックスさせ、体のコンディションをストレスに耐えられるものへと整えるのに役立ちます。
  • ヨガや超越瞑想法(TM)といったリラクゼーションテクニックを身につけましょう。
  • ストレス検査:毎日就寝前に、その日のストレスとそれにどの程度効果的に対処したかをチェックしてみましょう。
  • 適度な休憩と睡眠をとるようにしましょう。
  • 定期的な健康診断を受けることで、ストレス性疾病の早期発見と適切な治療が可能になります。
  • 職場の物理的ストレス要因には、環境モニタリングやコントロール措置の実施で対処しましょう。
  • ヨガを試してみましょう。

前向きな姿勢で、ストレスに対処しましょう。後ろ向きな姿勢はストレスを増大させるだけです。


Back to Index Page