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国際安全衛生センタートップ国別情報(目次) > インドネシア 人荷運搬用電動エレベーターの使用のさいの労働安全衛生の要件に関する1978年労働移住大臣規則第5号
人荷運搬用電動エレベーターの使用のさいの
労働安全衛生の要件に関する
1978年労働移住大臣規則第5号


労働移住大臣は、

以下の事項を考慮し、
a.開発が進むに伴い、人荷運搬用電動エレベーターを用いる高層建造物が増えていること
b.電動エレベーターの設置、使用、修理には潜在的な危険があること
c.電動エレベーターの設置、修理の作業を行う労働者の安全衛生の確保を行う必要があること

以下の法令に留意し、
1、労働安全衛生に関する1970年法律第1号 以下略

人荷運搬用電動エレベーターの使用のさいの労働安全衛生の要件に関する労働移住大臣規則を以下の通り定める。

第1章 用語

第1条

  1. 局長とは、1977年労働移住協同組合大臣決定第79号にいう局長をいう。
  2. 監督官とは、大臣に任命された労働安全衛生監督官をいう。
  3. 管理者とは、電動エレベーターを安全に使用することに責任を持つ個人あるいは法人をいう。
  4. 電動エレベーター設置者とは、エレベーターを設置することを業とし、その設置の業務に対して一定期間責任を持つものをいう。
  5. エレベーターとは、人荷の運搬のためあるいは荷物のみの運搬のために使用され、
  6. 自動エレベーターとは、ボタン操作によって各階からこれを動かしあるいは停止させることができるエレベーターをいう。
  7. ダムウエイターとは、搬器の床面積が1平方メートルを超えず、その高さが1.2メートルを超えないエレベーターであって、荷物の運搬のみに用いられるものをいう。また、局長が指定したものを含む。
  8. 搬器とは、人荷あるいは荷物のみを運ぶためのエレベーターの一部をいう。
  9. ホイストウエイとは、搬器及び重量バランスが動くところのピット、壁、及び天井によって仕切られた空間をいう。
  10. ピットとは、最下部の停止場所より下にあるホイストウエイの床をいう。
  11. 搬器の安全ブレーキとは、搬器の下あるいは上に取り付けられエレベーターの速度が一定の値以上になった場合あるいは搬器をつるすワイヤーロープに振動が生じた場合に搬器を停止させる装置をいう。
  12. ガバナーとは、搬器の安全ブレーキを制御する機器をいう。
  13. 水平水準器とは、搬器の床と停止する建物の床とが水平の状態で搬器が停止するようにするための装置をいう。
  14. バッファーとは、搬器又は重量バランスへの影響を避けるための搬器のささえ又は重量バランスの装置をいう。
  15. バンパーとは、搬器又は重量バランスを保護するためのがっちりとした装置をいう。
  16. トラクションドライブエレベーター(直接けん引ではないエレベーター)とは、センタードラムスターターのディスクホイールとワイアーロープとの間のまさつにより動くエレベーターをいう。
  17. ドラムドライブリフト(直接けん引のエレベーター)とは、ドラムスターターホイールにより直接けん引されるエレベーターをいう。
  18. ドラムとは、ディスクの形をしたエレベーターの原動機の部分で搬器をひっぱるワイヤーロープを取り付ける溝を有している。


第2条

(1)この規則は、建物の中で人荷あるいは荷物のみをある階から他の階に運搬するために常設されている電動エレベーターに対し適用する。

(2)この規則は、次のものには適用しない。

  1. 建物、建設物の建築、解体、改築、あるいは、修理に用いるエレベーター
  2. 展示用のエレベーター
  3. ワイヤーロープとレールを有する運材索道
  4. 第1項の目的には用いないその他のエレベーター


第2章 エレベーターの設置、使用、及び修理

第3条

(1)エレベーターの設置者は、局長あるいは局長の指名した者の発行する書面による許可証を持っていなければならない。
(2)エレベーターの設置、使用、技術的修理には、局長あるいは局長の指名した者の許可をうけなければならない。

第4条

(1)エレベーターの設置あるいは修理を行う前に、管理者は局長あるいは局長の指名した者に対しその計画及びその他の技術的な説明をしなければならない。

(2)第1項の技術的計画の説明は、次の事項に関する詳細とする。

  1. 機械装置
  2. 制御
  3. 付属装置
  4. 安全装置
  5. 搬器の広さ及びその製造
  6. 機械室及びその中の装置の図面
  7. 機械及びかっ車の据え付け強度
  8. ホイストウエイ及びドアの建築
  9. エレベーターの能力及び速度
(3)第1項の届け出は、資料を用いて行うものとする。

(4)局長あるいは局長の指名した者は、届け出られた計画についての変更を行うことができる。

(5)エレベーターの設置及び修理は、局長あるいは、局長の指名した者の承認を浮けた計画図面及び説明どおりに行わなければならない。


第3章 労働安全衛生の要件

第5条

エレベーターの設置、解体、修理、あるいはメンテの作業に従事する労働者は、18歳以上であってそのための能力を有しあるいは研修を受けた者でなければならない。


第6条

(1)エレベーター使用の許可にある運搬能力をそのエレベーターの運搬能力とする。

(2)第1条の許可を受けた運搬能力の変更は、局長あるいは局長の指名した者の決定によらなければならない。

(3)許可を受けた運搬能力は、搬器に記載するものとし、搭乗できる人間の数も記載しなければならない。

(4)第3項の搭乗できる人間の数の計算方法は、エレベーターの運搬能力を65キログラムで除した数とする。

(5)エレベーターの荷物運搬能力は、搬器にキログラムで記載しなければならない。

第7条

(1)エレベーターの建設及びその材料は、十分な強度があり、きずのない、安全なものであって労働安全の要件を満たすものでなければならない。

(2)機械室の建設は、十分に強度があり、水の浸透しない、かつ、耐火性の材料で作られていなければならない。

(3)エレベーターの機械、その部分、及び、制御装置は、機械室の中に据え付けられいなければならない。ただし、エレベーターの機能上他の場所に据え付けなければならない場合は、この限りではない。

(4)エレベーターの機械は、十分な強度のある機械式安全ブレーキが備えられていなければならない。

(5)電動の機械安全ブレーキは、エレベーターを動かす動力機への電流が止まった場合は、自動的に作動し機械を停止させるものでなければならない。

(6)機械室の広さ及び高さは、機械の大きさに比べ十分なものであって機械及び付属装置の検査、修理が不自由なくかつ安全に行えるものでなければならない。

(7)機械室に通じる通路には、扉が設けられていなければならない。

(8)機械室は、十分に明るく換気されていなければならない。

第8条

(1)エレベーターの搬器、重量バランス、ガバナーには弾力のある強度の高いワイヤーロープを用い、ワイヤーロープには結び目があってはならない。

(2)建物の床には、搬器あるいは重量バランスをつるしてはならない。

(3)ドラムドライブエレベーターには、搬器及び重量バランスをつるすワイヤーロープを少なくとも2本用い、トラクションドライブエレベーターには、それぞれ3本のワイヤーロープを用いなければならない。ただし、ダムウエイターの場合は、この限りではない。

(4)ワイヤーロープは、許可されている運搬能力の少なくとも12倍の強度がなければならない。

(5)搬器及び重量バランスをつるすワイヤーロープの直径は、少なくとも12ミリメートル以上なければならない。

(6)かっ車の直径とワイヤーロープの直径の比率は次の通りとする。


a. 人荷運搬用エレベーター  40:1
b. ダムウエイター 40:1
c. ガバナー  40:1

(7)かっ車は、すべてワイヤーロープのための溝がなければならない。

第9条

(1)ホイストウエイの建設は、十分には、強度があり、耐火性であって、ピットから天井まで密閉式の構造でなければならない。

(2)ホイストウエイの扉は、ホイストウエイの各階の穴をふさぐことができるものでなければならない。

第10条

(1)自動エレベーターの各階の扉は、エレベーターの制御に応じて動くインターロック錠が備え付けられていなければならない。

(2)第1項のインターロック錠は、次の条件を備えていなければならない。

  1. 各階のための扉が閉まっていない限り搬器が動くことのないこと
  2. ホイストウエイのすべての扉は、搬器が停止し搬器の床面が各階の床面と同じ高さになった場合か、あるいは、搬器が停止し搬器の床面が各階の床面と20センチメートル以内の差になった場合のみ、開くようになっていなければならない。
(3)自動ではないホイストウエイのすべての扉は、次のことを確実にするインターロック錠が備え付けられていなければならない。   
  1. 各階のための扉が閉まっていない限り搬器が動くことのないこと
  2. ホイストウエイのすべての扉は、搬器が停止し搬器の床面が各階の床面と同じ高さになった場合か、あるいは、搬器が停止し搬器の床面が各階の床面と20センチメートル以内の差になった場合のみ、開くようになっていなければならない。

第11条

(1)エレベーターのホイストウエイは、搬器及び重量バランスの通過がに支障のないように常にきれいにしておかなければならない。

(2)エレベーターのホイストウエイの中にはエレベーターの一部ではないパイプあるいはその他の装置を取り付けてはならない。    

(3)ピットにおいては、搬器が最下部にきたときに搬器の下部とピット床面との間に少なくとも60センチメートルの空間がなければならない。

(4)搬器が最上部にきたときに搬器の上部とホイストウエイの天井との間に少なくとも60センチメートルの空間がなければならない。

第12条

(1)搬器の枠組みは、ダムウエイターの他は鋼鉄により作られていなければならない。 

(2)搬器の屋根は、その上に取り付けられる機器の重み及びその上に昇る人の重みに耐えられるよう十分丈夫にかつ広くなければならない。

(3)ダムウエイター意外のエレベーターの屋根は次のような機能を持つ非常口がなければならない。

  1. 搬器の内外から開けられること
  2. 非常口を開けたときに搬器の上部にある機器に支障がないこと
  3. 人が容易に出入りできる程度に広いこと
(4)特に自動エレベーターの非常口については、エレベーターから制御できる電気式あるいは機械式の施錠がなれていること

(5)搬器の壁、床、天によって囲われた形となっていること

(6)屋根のない荷物用エレベーターでは、壁の高さは2メートルより低くてはならない。

(7)搬器の広さは、許可を受けた積載能力を超えて人が乗ることがないように制限されていなければならない。ただし、病院で用いられるエレベーターについてはこの限りではない。局長あるいは局長の指名したものは、この規定の免除される場合を定めることが出来る。

(8)搬器の高さは、ダムウエイターの他は2メートル以下であってはならない。

(9)搬器の中の照明装置は、安全ブレーキの作動による衝撃に耐えるよう十分に丈夫なものでなければならない。
(10) ダムウエイターを除くすべてのエレベーターの搬器は、安全な扉がなくてはならない。

(11) 搬器の扉と各階の扉との距離は、20センチメートル以上35センチメートル以下とする。

第13条

ダムウエイターを除きすべての搬器は、次のものをそなえていなければならない。

  1. 十分かつ要件を満たす換気装置及び照明
  2. 搬器の上のコンセントあるいはその種のもの
  3. 電池あるいはその他の電力による緊急灯
  4. 搬器の下部の電灯。ただし、ピットに電灯がある場合はこの限りでない。

第14条

(1)ダムウエイター以外のすべての搬器は、速度が一定以上になった場合あるいはワイヤーロープに支障が生じた場合に搬器を停止させる安全ブレーキを備えていなければならない。

(2)搬器の安全ブレーキは、搬器を安全に停止させるものでなくてはならない。

第15条

(1)すべてのエレベーターは、搬器の安全ブレーキを制御するガバナーを備えていなければならない。

(2)ガバナーは、搬器の速度が次ぎの表に達する以前に作動するよう整備されていなければならない。

エレベーター1分間当たりの速度 ガバナーの作動する速度 
1分間に42m以下 その値の50%以上
42mから90m以下 その値の40%以上
90mから120m以下 その値の35%以上
120m以上 その値の39%以上

(3)1分間に60m超える速度のエレベーターは、すべてガバナーが作動する前に機械への電流が停止するような回路を有していなければならない。

第16条

エレベーターの重量バランスが、部品又は固体金属のバーで構成されている場合は、それぞれが結合され、強力かつ安全な単一物になっていなければならない。

第17条

(1)エレベーターのすべての搬器及び重量バランスは、索道の床に置かれたバッファーを備えていなければならない。

(2)バッファーは搬器又は重量バランスが下記の規定に従うように用いられなければならない。

搬器または重量バランスのスピード 用いられるバッファー又は支持装置
a. スピードが30m/min以下 massive buffer
又は
spring buffer
b. スピードが30m/minを超え
90m/min以下
spring buffer
又は
oil buffer
c. スピードが90m/minを超える oil buffer


第18条

(1)搬器及び重量バランスは、搬器の荷重圧力に十分耐え得る強度を有するガイドレールと搬器の安全装置のブレーキ圧力の間で運転されなければならない。

(2)搬器及び重量バランスのかっ車は鋼鉄で作られていなければならない。ただし、ダムウエイターあるいは1分間に30m以下の速度で動くエレベーターの場合はこの限りではない。

(3)1分間に30m以下で動くエレベーターのかっ車の場合において、爆発しやすいものを貯蔵し、あるいは加工する作業場である場合は、十分強度のある金属でなくてもよいものとする。

第19条

(1)エレベーターの電気系統の装置の設置は、設置後安全な使用がなされるよう点検、整備を行うように計画されたものでなければならない。

(2)この規則において特に規定しない限り、電気系統の装置の設置は現行の電気関係法規を満たすものでなければならない。

(3)すべての電気系統は、パイプあるいはケーブルダクトの中に収められていなくてはならない。ただし、特殊な可変装置を除く。

(4)電気系統は、過電流防止装置あるいは自動制御回路を備えたものでなければならない。

(5)通常は電気の通らないエレベーターの各部は、アースされていなければならない。

(6)ダムウエイター以外のすべての自動エレベーターは、搬器内の操作板の近くに分かりやすく明示された緊急停止回路をもうけていなければならない。

(7)すべてのエレベーターには、搬器が最上位あるいは最下位を越えた場合にエレベーターを停止させる上下限スイッチを備えていなければならない。

(8)ダムウエイター以外のすべてのエレベーターには、許可された積載重量を超えた場合にこれを警告しエレベーターが動かないようにする過重防止装置を備えていなければならない。

(9)ドラムドライブエレベーターは、搬器をつるしているワイヤーロープの張力が通常の状態より小さくなった場合に自動的にエレベーターを停止させる装置を備えていなければならない。

第20条

ダムウエイター以外のすべてのエレベーターの搬器は、搬器内より操作できる以下のような警報装置を備えていなければならない。

  1. 建物内に設置されエレベーターの安全及び管理する建物の責任者に容易に聞こえる電動ベル
  2. エレベーターの安全及び管理をする建物の責任者と連絡するための電話その他の装置

第21条

すでに設置してあるエレベーターで技術的内容の変更をした場合は、 それを使用する前に監督官の検査を受けなければならない。

第22条

エレベーターを設置しあるいは変更する労働者以外の者は、監督官によってエレベーターの使用が許可される以前にエレベーターを使用してはならない。

第23条

局長あるいはその任命した者は、必要な場合エレベーターの製造、材料、装置について検査をする職権を有する。


第4章 エレベーターの使用

第24条

(1)自動エレベーター以外のすべてのエレベーターは、管理者に指名された者のみが使用することができる。

(2)強制的にエレベーター動かすためにインターロック錠あるいは機械室の制御装置の正常の使用以外の使用を行ってはならない。

(3)許可を受けた積載能力以上の積載をしてはならない。

(4)第1項、第2項、及び、第3項の規定は、設置、修理、検査、及び、試験を行う者及び監督官に対しては適用しない。


第5章 エレベーターの管理

第25条

すべてのエレベーターは、常に正確かつ安全に作動するよう管理されているものとし、次ぎの各号の要件を満たしていなければならない。

  1. 機械室、ホイストウエイ、ピットは常に清潔にし、ほこり、汚物、粉じん、その他のもののないようにすること
  2. かっ車、搬器安全ブレーキ、機械、装置は常に清潔にし、粉じん、汚物がないようにすること
  3. ほつれの出ている、線の切れている、あるいは、錆の出ているワイヤーロープはただちに新しいものと交換すること。ワイヤーロープは錆を防ぐ等のために潤滑油を塗っておくこと
  4. エレベーターのすべての扉は常に正常かつ安全に作動するように管理されていること
  5. すべての安全装置及び警報装置は、良好かつ安全に作動するように管理されていること

第26条

この規則が施行される以前にすでに使われているエレベーターについては、管理者はの施行後1年以内にこの規則の規定をみたすにしなければならない。

第27条

管理者は、この規則を順守する責任を有する。


第6章 罰則

第28条

第27条の規定に違反した場合は、労働安全衛生に関する1970年法律第1号第15条第2項及び第3項の規定に基づき最高3か月以下の禁固あるいは10万ルピア以下の罰金に処する。

第7章 終章

第29条

この規則の施行のための指針は局長が定める。

第30条

この規則は、制定の日より施行する。


ジャカルタ 1978年5月2日
労働移住大臣 ハルン ザイン