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労働安全に関する1970年法律第1号
Act No.1 on Safety (1970)

(仮訳 国際安全衛生センター)


労働安全に関する1970年法律第1号

インドネシア共和国大統領は、
以下の事項を考慮し、
  1. すべて労働者は、その生活の繁栄のために、また、国家の生産と生産性の向上のために労働をする際の安全について、保護を受ける権利を有していること
  2. 職場にいる他のすべての者についてもその安全が保証されている必要があること
  3. すべての原材料は、これらを安全かつ効率的に利用する必要があること
  4. これに関連して、労働者の保護のための規範を造っていくことにあらゆる手段を講じる必要があること
  5. この規範は、社会、産業、技術の発展に適応した労働安全についての一般的な規定を定めた法律というかたちによって実現することが必要であること
以下の法令に留意し、
  1. 1945年憲法第5条、第20条、及び第27条
  2. 労働者の基本的事項決定に関する1969年法律第14号第9条及び第10条また、ゴトンヨロンによる国民協議会の支持を得て、
以下の事項を決定する。
  1. Veligheidsreglement(1910年)を廃止する。
  2. 労働安全に関する法律を定める。

第1章 用語の定義
第1条

この法律における用語の意味はそれぞれ当該各号に定めるところによる。

(1)作業場所とは、労働者がその職務のために、労働者が労働をしあるいは頻繁に労働者が出入りし、第2条にいう危険な原材料がある移動するしないを問わずすべての解放されたあるいは閉鎖された部屋、あるいは空間をいう。
これには、この作業場所の一部であるあるいはこれと関係するすべての部屋、広場、庭、およびその付近が含まれる。

(2)管理者とは、作業場所あるいは独立したその一部を直接管理することを職務とする者をいう。

(3)使用者とは、以下のものをいう。
  1. 作業場所を利用してその必要のために自身の事業を行う個人あるいは法人
  2. 作業場所を利用してその必要のために自身の事業でない事業を行う個人あるいは法人
  3. 使用者がインドネシア以外の場所に存する場合は、a号及びb号にいう使用者はインドネシアにおいてこれを代理する個人あるいは法人
(4)局長とは、この法律の実施のために労働大臣により任命された公務員をいう。

(5)監督官とは、労働大臣より任命された技術的事項の専門家である労働省職員をいう。

(6)労働安全衛生専門家とは、この法律の遵守を確保するために労働大臣により任命された専門家であって、労働省職員以外のものをいう。


第2章 適用範囲
第2条


(1)この法律の適用を受ける労働安全とは、陸上、地中、海上、水中、空を問わずインドネシア共和国の法律の適用範囲内にあるすべての職場における労働安全とする。

(2)第1項は、以下の職場について適用する。
  1. 危険なあるいは事故、火災、あるいは爆発を生じる可能性のある機械、機器、道具、器具、装置、あるいは設備を製造し、試験し、使用し、あるいは利用する作業場所
  2. 爆発性、易燃性、刺激性、毒性、感染性、あるいは高温の材料あるいは物を製造し、試験し、使用し、利用し、売買し、運搬し、あるいは貯蔵する作業場所
  3. かんがい、流水、貯蔵設備等を含む家屋建物の建設、修理、メンテ、清掃、解体作業を行う作業場所
  4. 農業、プランテーション、森林開発、林業、木材加工、畜産、漁業等の事業を行う作業場所
  5. 地表上、地中、あるいは海底において金、銀、その他の金属、石材、ガラス、石油、その他の鉱物を掘削し、加工する作業場所
  6. 陸上、ずい道内、海上、水中、空において物体、動物、人間を運ぶ作業を行う作業場所
  7. 船舶、はしけ、桟橋、ドック、駅、ビルにおいて荷を解体する作業場所
  8. 水中に潜水し、あるいは水中より物を運び上げ、あるいは水中においてその他の作業を行う作業場所
  9. 地上あるいは海上の高所において作業をする作業場所
  10. 高気圧あるいは低気圧のもとで、または、高温あるいは低温のもとで作業を行う作業場所
  11. 土砂崩壊、物体の飛来落下、倒壊、また陥没、流水、墜落の危険がある作業場所
  12. タンク、井戸、あるいは穴のなかで作業を行う作業場所
  13. 温度、湿度、ほこり、汚物、火、煙、蒸気、ガス、風、大気、光、放射線、騒音、あるいは振動がはたはだしい作業場所
  14. ゴミ、塵芥を廃棄し、投棄する作業場所
  15. ラジオ、テレビ、レーダーあるいは、電波を放送、照射、あるいは受信する作業場所
  16. 技術的機器を使用する教育、養成、試験、研究、検査の作業場所
  17. 電気、ガス、石油、あるいは水を気化させ、変質させ、貯蔵し、収集し、配分し、あるいは流通させる作業場所
  18. フィルムを上映し、劇を演劇し、その他器具、電気設備、機械を用いて娯楽に関することを催す作業場所
(3)上記第(2)項に規定にかかわらず労働者が作業を行いあるいはそこに存することによって当該労働者に安全衛生に危害が生じるような部屋あるいは空間は、法令によって作業場所として指定することができる。


第3章 労働安全の要件
第3条


(1)以下の事項については、法令によりこれを定める。
  1. 労災事故を防止し、これを減少すること
  2. 火炎を予防し、減少し、消化すること
  3. 爆発を防止し、その危険を減少すること
  4. 火災その他危険な事態にさいし、避難をするための場所を提供し、避難のための通路を用意すること
  5. 労働者に対し保護具を提供すること
  6. 温度、湿度、ほこり、汚物、煙、蒸気、風、大気、放射線、騒音、振動についてそのはなはだしさを防止し、これを管理すること
  7. 物理的原因、精神的原因、毒性物質、感染等による仕事に起因する疾病を予防し、管理すること
  8. 十分かつ適切な情報を労働者が得られるようにすること
  9. 適切な温度、湿度を維持すること
  10. 十分な換気を行うこと
  11. 清潔、健康、及び秩序を保つこと
  12. 労働者と機器、環境、作業方法、及び作業過程の間の調和を図ること
  13. 人、動物、植物、あるいは物の運搬についてその安全と迅速化を確保すること
  14. すべての種類の建物に安全と維持に努めること
  15. 解体、加工、貯蔵の安全と迅速を確保すること
  16. 危険な電撃を防止すること
  17. 災害発生の多い危険な作業場所を適正にし、完全にすること
(2)第(1)項の事項は、その規定にかかわらず、科学技術の発展、また将来の新たに見出される事実に適したものとすることができるものとする。

第4条

(1)災害の危険のおそれのある原料、物、製品、製造機器の設計、製造、運搬、流通、取引、利用、使用、メンテナンス、貯蔵についての安全のための要件はこれを法令により定めることができる。

(2)そのもの自体の安全、労働者の安全、及び公共の安全のために、上記の要件は、建設、原料、加工、製造、安全装置の据付、試験、許可、梱包、あるいは原料、物、製品、機器についての情報の提供の各事項にわたって、整然と、明確に、かつ、実際的にこれを定めるものとする。

(3)第(1)項および第(2)項は、法令によってこれを改定することができるものとする。


第4章
第5条


(1)局長は、この法律の一般的施行を行い、監督官及び安全専門家はこの法律の遵守状況を直接に監督し、局長の職務を助けるものとする。

(2)この法施行における局長、監督官、及び安全専門家の職権および責務は、法令によって定める。

第6条

(1)局長の決定を受認することができない場合は、審査委員会に審査の請求をすることができる。

(2)審査請求の手続き、委員会の構成、委員会の職務その他については、労働大臣がこれを定める。

(3)審査委員会の決定は、これを再審査することができない。

第7条

この法律の監督のために使用者は、今後定めることを予定としている法令に従い料金(restribusi:手数料:訳注)を支払わなければならない。

第8条

(1)管理者は、労働者を採用しようとするあるいは職場を移転させようとする場合は、その職種の形態に従い、労働者の身体、精神の健康状態、及びその体力的能力を検査しなくてはならない。

(2)管理者は、その配下にいるすべての労働者について、使用者が指名し局長が承認した医師による定期的な検査を行わなくてはならない。

(3)健康診断の細則は、法令によりこれを定める。


第5章 指導養成
第9条


(1)管理者は、新たに入った労働者に対し、以下の事項についてこれを示し、
明らかにしなければならない。
  1. 作業場所における諸条件、危険、及び起こり得る事態
  2. 作業場所において使用すべきすべての安全装置および安全器具
  3. 労働者が個人で使用すべき保護具
  4. 作業を行う上での安全な方法及び作業態度
(2)管理者は、労働者が上記の諸条件を満たしていると確信した後でなければ、当該労働者を就業させてはならない。

(3)管理者は、労働災害を防止し、火炎を予防し、労働安全衛生を推進し、また、災害の際の救助を行うために、すべての労働者に対し指導を行なう責務を有する。

(4)管理者は、その事業及び作業場所に適用されるすべての現行の諸条件及び規定を満たし、これに従わなくてはならない。


第6章 労働安全衛生推進委員会
第10条


(1)労働大臣は、労働の協調を推進し、安全衛生において協同でその職責と職務を遂行していくために、職場における使用者あるいは管理者と労働者の互いの理解と有効な参加を進めることを趣旨とする労働安全衛生推進委員会を設置することができる。

(2)労働安全衛生推進委員会の組織、職務、その他については、労働大臣が定める。


第7章 労働災害
第11条


(1)管理者は、その管理下にある職場において発生した災害についてこれを労働大臣に指名された公務員に報告する義務を有する。

(2)報告の方法および第(1)項の公務員による災害の調査の方法については、法令によってこれを定める。


第8章 労働者の責務と権利
第12条


以下の事項に関する労働者の責務と権利については、法令によってこれを定める。
  1. 監督官あるいは安全衛生専門家に問いただされた場合において真実の説明をすること
  2. 着用を義務付けられている保護具を着用すること
  3. 義務付けが行われているすべての労働安全衛生に関する規定を満たし、これを遵守すること
  4. 義務付けの行われているすべての労働安全衛生の規定に関し、使用者に対しこの遵守を要求すること
  5. 義務付けの行われている労働安全衛生の条件あるいは保護具に関し、当該労働者がこれらに不安を感じた場合において、このことを表明すること
    ただし、監督官の責任において特別な取り決めがなされている場合はこの
    かぎりではない。
第9章 作業場所に入った場合の責務
第13条


作業場所に入る者はすべて労働安全衛生に関するすべての指示に従い、着用を義務付けられている保護具を着用する責務を有する。


第10章 管理者の責務
第14条


管理者は以下の責務を有する。
  1. 監督官の指示に従ってその管理下にある作業場所のなかの見やすくかつ読みやすい位置に、この法律のほか安全衛生に関する現行法令、すなわちすべての規定を掲示すること
  2. 監督官の指示に従ってその管理下にある作業場所のなかの見やすくかつ読みやすい位置に、義務付けの行われているすべての安全衛生のための表示及び指導書その他を掲示すること
  3. その管理下にある労働者及びすべてその作業場に入る者に対し、義務付けの行われている保護具を用意し、監督官あるいは安全衛生専門家の指示に従い必要と思われる指導を行うこと
第11章
第15条


(1)以上の条項の施行については法令により細則を定める。

(2)第(1)項の細則の違反に対しては3か月以下の禁固あるいは10万ルピア以下の罰金に処する。

(3)この違反は、軽度の犯罪行為(Pelanggaran)とする。

第16条

この法律が施行される時点においてすでに作業場所において事業を行っている使用者は、この法律が施行されてより1年以内にこの法律に基づく諸規定を満たすようにしなければならない。

第17条

この法律に基づく諸法令が出されない間は、この法律が施行された時点において有効であった労働安全衛生に関する諸法令は、この法律に背反しないかぎり続けて有効とする。

第18条

この法律は、労働安全法と呼び、制定の日より有効とする。
すべての国民がこれを知ることができるように、この法律はインドネシア共和国官報に掲載するものとする。

決定 1970年1月12日 承認1970年1月12日
国家官房長官 インドネシア共和国大統領
陸軍少将 アラムシャ 陸軍大将 スハルト



この法律のオリジナル(インドネシア語、英語)は国際安全衛生センターの図書館が閉鎖となりましたのでご覧いただけません。