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作業場における危険性を有する化学物質のコントロールに関する
1999年労働大臣決定187号


(仮訳 国際安全衛生センター)

訳注) この大臣決定には、MSDSや化学物質の管理に関するインドネシアの一番新しい、また基準となる考え方が述べられています。



インドネシア共和国労働大臣は、
 以下のことを考慮して (省略)
 以下の法令に留意して (省略)
 以下の事項を決定する。

   作業場に於ける危険性を有する化学物質のコントロールに関するインドネシア共和国労働大臣決定。


第1章 一般規定

第1条 

a. 危険性を有する化学物質とは、物理的、化学的性質を有し、労働者、設備及び環境に対して毒性や危険を有する単一物質又は混合物をいう。

b. Nilai Abang Kuantis (threshold quantity value)(以下NAKと呼ぶ)は、作業場における化学物質の危険のポテンシャルを決めるため必要な、化学物質の標準量である。

 
c. 危険を有する化学物質のコントロールとは、危険性を有する化学物質を作業場で利用することにより、労働者や、作業装置や、環境に対して引き起こすリスクを予防したり減少したりするために行われる努力、又は活動のことをいう。

d. LD50とは、実験動物の50%に死を引き起こす量である。

e. LC50とは、実験動物の50%に死を引き起こす濃度である。

f. 事業者とは、
1) 自分で所有する企業を運営する、個人、個人企業、共同組合又は法人。
2) 自分の所有でない企業を、自分自身で運営する、個人、個人企業、協同組合又は法人。
3) インドネシア領以外に居住して、a及びbに書かれたことを目的とする会社の、インドネシアにおける代表である個人、個人企業、協同組合又は法人。               

  
g. 管理者とは、ある種の労働活動、又は独立した環境を直接指導するために指示する人をいう。

h. 労働者とは、賃金を受け取って作業場で働く人をいう。

i. 作業場とは、労働者がその職務のために労働をし若しくは頻繁に出入りし、そこに原材料若しくは険な材料があり、移動若しくは固定した、開かれた或いは閉鎖された部屋又はフィールドをいう。

j. 労働安全衛生専門家とは、労働大臣によって任命された、労働省以外の特別な専門性を有する技術職員をいう。

k. 労働監督官とは、労働大臣によって任命された、特別な技術事項の専門家である労働省職員をいう。

l. 局長とは、Act No1(1970)第1条4項に定めた公務員をいう。

m. 大臣とは、労働力の分野の大臣のことである。



第2条

  作業場で、危険な化学物質を使用し、貯蔵し、原料として利用し、生産し、輸送する事業者又は管理者は、労働災害や、労働に起因する疾病を防ぐために、危険な化学物質をコントロールしなければならない。


第3条

  第2条にいう危険な化学物質のコントロールには下記の条件を満たす必要がある。
  a、物質の安全データーシート(LDKB)及びラベル。
  b、化学労働安全衛生官吏及び化学労働安全衛生専門家の指示。



第2章 物質の安全データーシート及びラベルの準備と送付。

第4条

(1) 第3条にいう物質の安全性データーシートは、下記の説明を満たす必要がある。
a. 物質と企業の確認。
b. 物質の組成
c. 危険性の同定。
d. 事故の時の安全確認。
e. 消火対策。
f. 漏洩したときの対策。
g. 物質の取り扱いと貯蔵。
h. 個人用保護具の取り扱い。
i. 物理的及び化学的性質。
j. 物質の反応性と安定性。
k. 毒性情報。
l. 生態学的情報。
m. 廃棄物の廃棄。
n. 物質の運搬。
o. 効力を有する法令の情報。
p. その他必要な情報。

(2) 第1項にいう物質の安全データシートの詳細は、この大臣決定の付録(省略)に載っている。 

 
 
  第5条

  第3条にいうラベルは下記に関して記述されていなければならない。
  a、製品の名前。
  b、危険性の同定。
  c、危険の標識とその意味。
  d、リスクの説明とそれへの取り組み。
  e、予防対策。
  f、そのものに汚染されたときの指示
  g、火災の場合の指示。
  h、漏洩したときの指示。
  i、充填、貯蔵への指示。
  j、参考事項
  k、製造した工場及び、又はディストリビューターの名前、住所、電話番号。

第6条

 第4条にいう物質の安全シート、及び第5条にいうラベルは、労働者及び労働監督官によって容易に知りうる場所に置かれなければならない。
 


第3章

第7条

 事業者又は管理者は、作業場に於いて危険性を有する化学物質の名前、性質、及び量のリストを、例えばこの大臣決定の付録U(省略)に載っているような様式に記入して、その地域を管轄する省の事務所(KANDEP、労働事務所)へ、その州を管轄する労働州事務所(KANWIL)へ届けるカーボンコピーを添えて提出しなければならない。


第8条

(1) 第4条の(2)に述べられている調査研究の結果を基にして、その地域を管轄する省の事務所(KANDEP、労働事務所)は、企業又は関連の工業の危険のポテンシャルの分類を決定する。
(2) 第1項にいう危険のポテンシャルは、下記のものよりなる。
  a、危険の大きさ。
  b、危険の深さ。
(3) 第1項にいう危険のポテンシャルの分類は、作業場に於いて危険を有する化学物質の名前と、基準毎のNAKを根拠とする。



第9条

 第8条第3項にいう危険を有する化学物質の基準は下記のものよりなる。
  a、毒性物質。
  b、非常に毒性の強い物質。
  c、引火性液体。
  d、非常に引火性の強い液体。
  e、引火性のガス。
  f、爆発性物質。
  g、反応性の高い物質。
  h、酸化性物質。


第10条

(1) 第9条a及びbにいう毒性物質又は非常に毒性の強い物質の基準に入る化学物質は、化学、物理及び毒性の性質を考慮して決める。   

(2) 第1項にいう化学物質の、化学、物理及び毒性の性質は、次のごとく決められる。
  
   毒性物質は                                
   *経口暴露
      LD50 が体重1kg当たり25mgを超え200mg未満。
   *経皮暴露
      LD50 が体重1kg当たり50mgを超え400mg未満。
   *吸入暴露
      LC50 が1リットル当たり0.5mgを超え2mg未満。

   非常に毒性の強い物質は
   *経口暴露
      LD50 が体重1kg当たり25mg以下。
   *経皮暴露
      LD50 が体重1kg当たり50mg以下。
   *吸入暴露
      LC50 が1リットル当たり0.5mg以下。
 

第11条

(1) 第9条のc、d、及びeにいう引火性の液体、非常に引火性の強い液体及び引火性のガスの基準に入る化学物質は、化学的及び物理的性質を考慮して決められる。

(2) 第1項にいう化学的及び物理的性質は、下記のごとく指定する。
a. 引火性の液体
引火点が、大気圧1気圧で、21℃を超え55℃未満。
b. 非常に引火性の強い液体
引火点が、大気圧1気圧で、21℃未満で、沸点が、大気圧1気圧で、20℃を超えるもの。
c. 引火性のガス
沸点が、大気圧1気圧で、20℃以下。

 

第12条

(1) 第9条fにいう爆発性物質の基準に含まれる化学物質は、反応を起こした場合、大きな圧力と高い温度を有するガスを生じ、その結果、周囲に破壊をもたらすものである。

(2) 第9条gにいう反応性の高い物質の基準に含まれる化学物質は、下記に述べられるような物質である。
a、 水と反応して、熱と引火性のガスを出すか、又は
b、 酸と反応して、熱と引火性、又は毒性若しくは腐食性のガスを生ずる。

(3) 第9条hにいう酸化性物質の基準に含まれる化学物質は、化学反応や分解したとき、火災を引き起こす酸素を発生するものである。



第13条

  第10条第1項及び第2項にいう毒性物質、又は非常に毒性の強い物質の基準に含まれる化学物質のNAKは、この大臣決定の付III(省略)に記載されている。

(訳注)
  付録Vには、NAKが下記の172物質について、それぞれ記載されている。
   毒性物質のうち25物質。(例えば、アンモニア 100ton)
   非常に毒性の強い物質のうち99物質。(例えば、ベリリュウム 10kg)
   反応性の高い物質のうち24物質。(例えば、アセチレン 50ton)
   爆発性物質のうち24物質。(例えば、ニトログリセリン 10ton)


第14条

 第13条に述べた以外の化学物質のNAKは、次のとうり。
  a、毒性の基準に入る化学物質。              10ton
  b、非常に毒性の強い基準に入る化学物質。        5ton
  c、反応性の高い基準に入る化学物質。          50ton
  d、爆発性の基準に入る化学物質。             10ton
  e、酸化性の基準に入る化学物質。              10ton
  f、引火性液体の基準に入る化学物質。          200ton
  g、非常に引火性の強い液体の基準に入る化学物質。 100ton
  h、爆発性物質の基準に入る化学物質。           50ton


第15条

(1) 第13条及び第14条にいうNAKを超えた量の危険な化学物質を使用する企業又は産業は、大きな危険のポテンシャルを有する企業に分類される。

(2) 第13条及び第14条にいうNAK以下の量の危険な化学物質を使用する企業又は産業は、中程度の危険のポテンシャルを有する企業に分類される。                 

 

第3章 事業者又は管理者の義務。

第16条

(1) 第15条第1項にいう大きな危険のポテンシャルを有するものに分類された企業は、下記の義務を有する。 
a. 交替制でない労働システムで仕事をしている場合は、最小限2名、交替制の労働システムで仕事をしている場合は、最小限5名、という条件で、化学労働安全衛生担当者を就業させなければならない。
b. 化学労働安全衛生専門家を、少なくとも1名就業させなければならない。
c. 大きな危険のポテンシャルをコントロールするための文書を、作成しなければならない。
d. 使用する化学物質の名前、化学物質の量、及びプロセスの変更並びに装置の改造は、その度毎に届け出なければならない。
e. 作業場に存在する化学的要因を、少なくとも6ヶ月に1回検査と試験を実施しなければならない。
f. 作業場の装置を、少なくとも2年に1回検査と試験を実施しなければならない
g. 労働者の健康調査を、少なくとも1年に1回実施しなければならない。

(2) 第1項e及びfにいう化学的要因及び装置の試験は、その権限を有する労働安全衛生サービス企業又は政府機関によって行われなければならない。

 
  
第17条

(1) 第15条第2項にいう中程度の危険のポテンシャルを有するものに分類された企業は、下記の義務を有する。
a. 交替制でない労働システムで仕事をしている場合は、最小限1名、交替制の労働システムで仕事をしている場合は、最小限3名 という条件で、化学労働安全衛生担当者を所有しなければならない。
b. 中程度の危険のポテンシャルをコントロールするための文書を作成しなければならない。
c. 使用する化学物質の名前、化学物質の量、及びプロセスの変更並びに装置の改造が生じた場合は、そのたび毎に届け出をしなければならない。
d. 作業場に存在する化学的要因を、少なくとも1年に1回、検査と試験を実施しなければならない。
e. 作業場の装置を、少なくとも3年に1回検査と試験を実施しなければならない。


  
第18条

 第16条第2項及び第17条第2項にいう化学的要因及び装置の試験の結果は、作業場において危険を有する化学物質のコントロールを実施するさいの参考として利用される。


第19条

(1) 第16条第1項cにいう大きな危険のポテンシャルをコントロールするための文書は、少なくとも次の内容を含まなければならない。

a. 危険の確認、リスクの評価とコントロール。
b. 技術的活動、スタートアップ計画、建造物、化学物質の選択、さらに装置の操作とメンテナンス。
c. 作業場に於ける労働者の改善活動。
d. 安全作業の方法。

(2) 第17条第1項bにいう中程度の危険のポテンシャルをコントロールするための文書は少なくとも次の内容を含まなければならない。
a.
b.

(3) 第1項、及び第2項にいう製造の方法及び装置をコントロールするための文書の内容の詳細は、大臣又は指定した役所の決定に従って、より詳しく規定しなければならない。

 訳注
  上記第19条(2)項の文章は原文では全部脱落している。前後の関係から推定できる部分は
  記載したが、a、bは推定不能。

 

第20条

(1) 第19条第1項にいう、大きな危険のポテンシャルをコントロールするための文書は、省の事務所(KANDEP、その地域を管轄する労働事務所)へのカーボンコピーを添えて、労働州事務所(KANWIL)へ届け出なければならない。

(2) 第19条第2項にいう中程度の危険のポテンシャルをコントロールするため文書は、省の事務所(KANDEP、その地を管轄する労働事務所)へ届け出なければならない。

  

第21条

(1) 労働州事務所(KANWIL)及び省の事務所(KANDEP、その地域を管轄する労働事務所)は、第20条第1項と第2項にいう文書を受け取ってから遅くも30日以内に、当該文書の内容の正当性について、調査を実施しなければならない。

(2) 第1項にいう文書の内容の正当性は、認可の証のある文書によって知らせなければならない。

(3) 第2項に適合して、その正当性がすでに明らかにされたところの第1項にいうコントロールするための文書は、作業場において、労働安全衛生の監督を実施する人の用いるモデルとして使用される。




第4章 化学労働安全衛生担当者、及び化学労働安全衛生専門家の指示。

第22条

(1) 第16条第1項a、及び第17条第1項aにいう化学労働安全衛生担当者は、下記の義務を有する。
a. 危険の確認を行うこと。
b. 安全な作業方法を実施すること。
c. 非常事態発生時の対処方法を実施すること
d. 化学の分野に於ける労働安全衛生の知識を進展させること。

(2) 化学労働安全衛生担当者として指示することができるために、下記のことを定める。
a. 担当者として、企業で働くこと。
b. 試用期間でないこと。
c. 労働関係が、ある一定の時間のみ働く労働契約ではないこと。
d. 化学労働安全衛生の技術講習に、すでに出席していること

(3) 第2項dにいう化学安全衛生担当者技術講習は、この大臣決定の付録W(省略)に記載されているようなカリキュラムでもって、企業自身、労働安全衛生サービス企業、又は権限を有する政府機関によって実施されなければならない。

(4) 第3項にいう企業は、技術講習を実施する前に、技術講習実施の計画を、省の事務所(KANDEP、その地域を管轄する労働事務所)へ届け出なければならない。

 
 
第23条

(1) 第16条第1項bにいう化学労働安全衛生専門家は、下記の義務を有する。
a. 危険な化学物質に関する労働安全衛生関係の法律の諸事項や、規則の実施について、監督を手伝うこと。
b. その職務の実施結果に関し、大臣又は指示された役所に報告を届けること。
c. 職業上知り得た企業又は政府機関の秘密について、関連する全ての情報を秘密にすること。
d. 作業場に於いて、危険な化学物質のコントロールについての作業プログラムを作ること。
e. 危険の確認、評価及びリスクのコントロールを行うこと。
f. 事業者又は管理者に対し、安全な製造方法、及び非常事態発生時の対処方法を提案すること。

(2) 第1項にいう化学労働安全衛生専門家の指名は、効力を有する法律の諸事項や規則に従って行われなければならない。

  

第24条

(1) 第22条にいう化学労働安全衛生担当者の指名は、大臣又は指示された役所に対する事業者又は管理者からの申請書にもとづき決められなければならない。

(2) 第1項にいう化学労働安全衛生担当者の指名申請書は、下記のものを添付しなければならない。
a. 履歴書
b. 医師からの健康証明書
c. 関係する会社からの、十分に働くと言明した証明書
d. 最終学歴の卒業証書フォトコピー、又は卒業証明書
e. 化学労働安全衛生担当者技術講習の証明書

 

第5章 終章

第25条 (省略)

第26条 (省略)

第27条 (省略)

                  ジャカルタに於いて決定
                  1999年9月29日 

                    インドネシア共和国労働大臣  
                      FAHMI IDRIS



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