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韓国産業安全衛生公団(KOSHA)
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5-2. 安全装置、保護具の性能試験危険な機械、設備類に備え付けられた安全装置と保護具の両方もしくは一方に欠陥がある場合、それらの装置や保護具は使用する労働者に事故を引き起こす可能性がある。欠陥のある安全装置、保護具から労働者を保護するために、KOSHAは材質、構造、性能、および新製品もしくは輸入品の耐久性試験を実施している。これらの試験に基づき、KOSHAは各製品について適否を公表している。 68の製品について性能試験が実施される予定である。それらの内訳は、プレス機械・シャー、圧力容器の安全弁およびボイラ(Safety valve of pressure vessel and boiler)など危険な機械、設備類に設置する15種類の安全装置、モーター、コントローラ、照明機器など12種類の耐圧防爆電気設備、パイプ支柱、フレーム足場、クランプなど30種類の建築作業用仮支持材、安全靴、保護帽など11種類の保護具となっている。ある型番の製品が認可された場合、KOSHAはその型番の安全装置、保護具を任意に選定、それらが性能試験水準に適合し、その型番を認可する試験が実施された時と同様の品質水準を維持しているか確認する。 1998年から2000年にかけて、KOSHAは4,920件の性能試験を実施し、2000年に実施された1,734件のうち513件、30%がサンプリングテストを受けた。 (単位:件数)
性能試験が実施されるようになって以来、安全装置、保護具の安全性と品質は格段に改善され、他方では保護具の欠陥に起因して発生する業務上の疾病が大いに減少した。保護具の欠陥に起因する業務上の疾病は、1991年の1,537件から1995年には1,220件へと27%減少した。 1999年2月、KOSHAはISO17025基準に従って、韓国国家公認試験機関(KOLAS)から認定公共試験機関として指名された。ISO17025は試験機関を試験、評価するための国際基準であり、安全装置、保護具の爆発強度試験を含む137の試験項目からなる。KOLASは国際試験所認定会議およびアジア太平洋試験所認定機関協力機構と相互協定を締結しているので、KOSHAの試験報告はすべて、KOLASとの相互認証協定に参加しているすべての国の試験機関による認証を受けることとなる。 耐圧防爆仕様の電気機械、設備類に関しては、韓国を含む22カ国が防爆電気機器規格適合試験制度(IECEx)に加盟しており、爆発物管理委員会による承認を受けた公式認証団体(Accepted Certification Body)と爆発物試験研究機関が発行する「評価および試験報告」は、加盟国が個々の試験を実施しなくとも各国の承認を得ることができる。KOSHAは韓国を代表する機関として関連の事業に従事しており、2000年7月には世界で5番目の耐圧防爆認証機関および耐圧防爆試験機関と認められた。 5-3. 工程安全管理システムの審査と実施の支援先進工業国の発展にともなって、新しい化学物質が事業場において使用されるようになっており、また、設備類そのものがますます複雑になってきている。事故の可能性、事故によって引き起こされる労働者、設備類に対する損害もまた増大している。労働者は安全な労働環境を切望するようになってきている。こうしたことから、化学工場における科学的安全管理の実施が求められている。 KOSHAは、大規模な設備事故に対して脆弱な新しい工場を所有もしくは建設した事業主に工程安全に関する報告書を提出させ、内容を検討する。また、KOSHAはそれらの検討に基づいて、工程安全を強化するための技術援助を行う。1996年1月からKOSHAは、大規模な設備事故防止のための、自主的な工程安全管理システムの実施を開始した。 工程安全管理システムのもとでは、すべての労働者が危険な設備類の潜在的危険性を自発的に発見、除去するよう試み、事故の影響を最小限に抑制するための財政負担軽減計画を考案する。 1996年から2000年にかけて、KOSHAは1,813件の安全報告書を受理し、全国の493社から提出された報告書中の2,247件の工場について承認した。 5-4. 化学工場を対象とするリスクマネジメントシステム化学工場においては、多数の危険物質が多量に保管、処理、加工される。その結果、火災、爆発、有毒化学物質の漏洩など潜在的危険性を排除することはできない。化学的災害の場合、工場内の労働者だけでなく周辺環境、地域住民も大災害の被害を受ける。さらに、設備類の損害による経済的損失は莫大なものとなり、修復には長期間を要することとなる。 そうした状況に対処するために、KOSHAはGIS(地理情報システム)に基づく「統合リスクマネジメントシステム(IRMS)」を展開してきた。IRMSは、事故記録のデータベースなど外部のデータベースから、化学工場の危険有害要因に関するデータを集約し、2001年中を目標に、工場の所在地情報とともに統合するというものである。システムはいくつかの主要な機能で構成される。石油化学コンビナートの配置のディスプレー、外部データベースを利用した設備類の配置情報のディスプレー、結果の分析に基づく危険影響地域の分布、影響地域の人口統計学的分析などである。IRMSの主眼は、GIS技術を用いたリスク強度分布図の提供である。 1997年に開始されたこのプロジェクトは2001年中に終了し、さらに発展させたプログラムが、来年、5つの石油化学コンビナートを中心とした化学工場に適用されることとなっている。IRMSが韓国の化学工場に対するリスクマネジメントの手段として用いられれば、多方面にわたって莫大な利益が期待できる。技術分野では迅速で効果的な分析と体系的なリスクマネジメントの採用によって、安全性が高まる。経済分野においてIRMSは、事故発生の激減に寄与することによって、人命と設備類の損失を防ぐことができる。
KOSHA関係の統合リスクマネジメント・システム図 |