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マレーシアの災害統計

資料出所:中災防 研修生レポートより


もし企業内のすべての人が安全性について自覚し、用心していれば、危険は予測でき、必要な予防措置は取れるので、 事故は回避できる。 偶然に期待したり過去は事故がなかったという記録を鵜呑みにしたり、誰も怪我をしないと期待することは十分ではない。 安全というのは企業において明確な目標として受け入れられなければならず、参画意識、組織そしてリソースがなければならない。

事故を回避する基本的な方法としては、労働現場を可能な限り安全にすること、残っている危険から労働者を守ること、 自ら常に安全に行動するよう意識づけ、訓練することである。

安全衛生をうまく実践するためには、効果的な手段と、適切に計画され国、業界、企業レベルで実行されるプログラムが必要である。 この視点では、政府は、他の関係機関、業界および自主的団体と共に、労働現場での事故ゼロを達成するという究極の目標を持って 労働安全衛生の実行を向上させるべくさまざまなしくみ及び先取りしたプログラムを計画し、実行した。 この論文は、国内の労働安全の現状を提示し、好結果を生んでいる進行中の実施事項および労働現場での安全衛生を向上させる ためへの変化について論議する。

一般に国内の労働安全衛生事業の水準は、他の多くの発展途上国と比べてかなり良いと考えられているが、 まだ先進国の水準に比べると低い。疑いなく取り組むべき課題は存在する。 その一つは、過去数年間にわたり報告されてきた死亡事故の高い数字に反映されるように高い強度率である。 報告された死亡数は毎年増え1992年に888人であったのが1996年に1308人になった。 これは、5年間で47.3%の増加、年間平均9.4%増加に相当する。

社会安全協会(SOCSO)の補償金の支払いもまた1992年にRM141.61 millionであったのが1996年にはRM313.32 millionとなり、 毎年徐々に増加している。 死亡率は1992年には労働者100万人につきおよそ125例だったのが1996年には労働者100万人につき169例と急増した。 労働者100万人につき死亡者が50人に満たないという先進国の統計と比べると我が国の死亡者率はあまりにも高い。 これらの死亡例のほとんどは製造業、農業、林業、建設業、商業、交通及び一般サービス業で記録されている。 しかし、管理された労働環境でこれらの死亡事故が起こっているということに加えて、かなりの数の死亡事故が勤務中やあるいは 通勤途中の道路上でも起こっているということは念頭においておく必要がある。

労働災害の発生率が相対的に高いのは、特に製造業、農業、及び林業部門でそうであるが、疑いなく80年代後半以降の国の 労働力の急激な増大によると考えられる。

しかし社会安全協会及び労働部に報告された例によると、発生率がわずかながら、しかし確実に下がっているという 肯定的な指標がある。 1993年より、労働災害の数は年々減少しつつある。 1992年に総数132,982件だった事故は1996年には108,418件に徐々に減少し、これはおよそ5年間に18.5%の減少または 年間平均3.7%の減少に相当する。 この統計は、1992年から1996年にかけて年間事故発生率が徐々に減少していることも示している。 1996年における労働者1,000人あたりの事故発生数は13で、1992年の19と比べると5年間で31.6%、年間平均6.3%の減少に相当する。

全体の事故発生率は減少しているが、1992年から1996年までの事故統計は製造業、鉱業・採石業、農業及び林業・漁業部門での 事故発生総数の多さを示している。 事故発生数及び事故発生率ともに減少しているこの傾向は、この時期に急速な工業発展を遂げたことや、 1992年以来ずっと通勤時事故をも含めた社会安全協会(SOCSO)の統計資料であるということを考慮すれば、誉めるに値するだろう。 政府は、先進国に匹敵するよう2000年には労働者1000人あたりの事故数を10以下にすることを目標にしていることを様々な機会に 強調してきている。