事業場における安全衛生委員会のためのガイドブック１
安全衛生委員会の構成およびその役割

労働社会保障省 労働安全衛生総局 / 1999年　初版発行

メキシコ労働社会保障省から発行された安全衛生委員会のためのガイドブックをご紹介いたします。 ここでは主に安全衛生委員会の構成およびその役割について分かりやすく解説されています（訳 国際安全衛生センター）。

（資料出所：GUIA 1 PARA LAS COMISIONES DE SEGURIDAD E HIGIENE EN LOS CENTROS DE TRABAJO - Constitucion y funcionamiento）

安全衛生委員会とはどのような組織ですか？

事業場における災害・疾病の原因調査、予防措置の提案及びその監視を目的とし、各企業、工業・サービス業において、労働者側、事業者側からそれぞれ同数の代表者をもって構成されるように連邦労働法が規定している組織をいいます。



『安全衛生委員会の構成及び役割』の法令上の根拠は？

1. 連邦労働法
   
   • 第509条：「各企業、施設において、必要なを審理する安全衛生委員会を組織すること。」
     
     
   • 第510条：「委員会は、勤務時間内に開催されること。」
     
   
   
2. 労働安全衛生ならびに労働環境に関する連邦規定
   
   • 第123条：「安全衛生委員会は、連邦政府機関及び連邦特別区機関の援助、事業者、労働者またはその代表者が参加して、職務を遂行する。」
     
     
   • 第124条：「労働社会保障省は該当する規準をもって、委員会の組織を決定づける」
     
     
   • 第125条：「事業開始日から30日以内に企業または施設に安全衛生委員会を設置しなければならない。」
     
     
   • 第126条：「安全衛生委員会の構成委員は次の業務を行わなければならない。」
     
     
     1. 「事業者が労働者に提供する項目の審議、労働災害・職業病の原因調査」
        
        
     2. 「連邦規定及び職場内規定に定められている労働安全衛生、労働環境に関連する規準条項が遵守されているかの監督と点検結果の記録」
        
        
     3. 「職場安全衛生に関する予防対策の検討」
        
        
     4. 「該当する規準が規定している対策等の事業者への提案」
        

誰が安全衛生委員会の構成委員を選任するのですか？

事業者は事業者側の代表者を、労働者は労働者側の代表者を労使間団体契約に基づく正規労働組合を通して選出します。労働組合が設置されていない場合は、労働者側はできるだけ安全及び衛生に関して知識のある人物を直接労働者側の代表者として選出します。



労働安全衛生委員会の役割は何ですか？

1. 労働災害・職業病、及び最も危険な状態にある分野に関し、その特性に応じた年間点検計画を作成します。この計画は事業場の活動開始日から、45日（労働日）以内に、またその後は、年初めから遅くとも最初の15日以内に作成しなければなりません。
   
   
2. 危険な状況を発見するために、年間計画に定められた期間に応じて、1ヶ月、2ヶ月あるいは3ヶ月ごとに定期点検を実施します。
   
   
3. 次の場合に、臨時点検を実施します。
   労働者が危険な状況を報告した場合、つまり、労働災害・職業病により死亡あるいは生涯に及ぶ身体障害に至った場合、業務過程に変更が加えられた場合には、労働安全委員会自らが臨時点検を実施するに値するかどうか判断します。
   
   
4. 各々の点検結果から、危険な状況、労働安全衛生、労働環境に関して適用されるべき規定、規準が遵守されていない場合はそれを記入し、記録を作成します。また、この記録には、その改善策に関する提案、勧告に基づき対処された場合、その結果、未解決問題の解決過程なども記入し、総括管理者（Coordinador）によって事業者に提出されます。事業者はこれを12ヶ月間保存し、労働当局から要請があればこれを提示しなければなりません。
   
   
5. 労働災害・職業病の原因を調査、分析して、委員会点検記録に記載します。また、予防措置を提案します。
   
   
6. 労働者が指摘する危険な状況に対処し、その状況を委員会点検記録に記載します。また、その危険な状況に関する告知を行い、直ちに事業者に報告します。
   

労働安全衛生委員会はどのように組織されていますか？

あらゆる場合において、総括管理者（Coordinador）、幹事（Secretario）がそれぞれ一人づつ、そしてそれぞれ総労働者数、事業場の活動に応じて、事業者と組合が合意に達した数の会員によって構成されています。

総括管理者の役職は事業者側の代表者が、幹事の役職は労働者側の代表者が務めます。委員は労使双方から任命されます。



総括管理者の職務にはどのようなものがありますか？

1. 労働安全衛生委員会を主催します
   
   
2. 委員会の機能を管理、監視します。
   
   
3. 委員による労働災害・職業病の予防措置に関する提案を労働安全衛生、労働環境の関連法規に則していると確認した上で、委員会点検記録に組み入れます。
   
   
4. 委員の責任ある参加を促し、各々が割り当てられた職務を遂行しているか確認します。
   
   
5. 年間点検計画を事業者に提起し、当該企業の安全衛生計画あるいは活動実施目録に取り入れます。
   
   
6. 労働災害の調査結果を点検記録に組み入れ、分析します。
   
   
7. 点検実施後、幹事とともに点検記録を作成します。同記録は総括管理者、幹事両者のサインをもって効力を発します。その後、即座に事業者に提出されます。
   
   
8. 労働安全衛生、労働環境の調査に加わり、事業場において業務上の権限を行使します。
   
   
9. 労働環境に存在する危険な状況を点検・検出する際に、委員ならびに従業員に助言します。
   
   
10. あらかじめ委員会で決議された委員の代理を申請します。
    

幹事の職務にはどのようなものがありますか？

1. 定期点検を実施するため、委員を召集します。
   
   
2. 総括管理者の指示に応じて、委員会の運営を支援します。
   
   
3. 点検の際に発見された法規違反通報ならびに危険な状況に関する報告、及び労働災害・職業病の予防措置に関する提案を委員会点検記録に記入します。
   
   
4. 安全衛生調査に加わり、事業場において業務上の権限を行使します。
   
   
5. 労働環境に存在する危険な状況を点検、検出する際に、委員ならびに事業場の従業員に助言します。
   
   
6. 労働災害・職業病に関する予防措置の提案、点検記録のコピーを12ヶ月間保存します。また、委員会の構成と役割に関するすべての書類を同様に保存します。
   

1. 委員会によって各委員に割り当てたられた領域における活動。
   
   
2. 委員会本部で指示されている労働者の教育活動、推進事業を支援します。
   
   

勧告

• 委員会の役員は次に挙げる法規関連文書を事業者に要請することをお勧めします。
  
  
  • メキシコ合衆国憲法
    （Constituci_n Pol_tica de los Estados Unidos Mexicanos）
    
    
  • 連邦労働法 (Ley Federal del Trabajo)
    
    ・ 労働安全衛生ならびに労働環境に関する連邦規定(Reglamento Federal de Seguridad, Higiene, y Medio Ambiente de Trabajo )
    
    
  • 事業場における安全衛生委員会の構成及び役割に関するNOM‐019‐STPS‐1993
    (NOM - 019 - STPS - 1993, relativa a la Constituci_n y funcionamiento de las Comisiones de Seguridad e Higiene en los centros de trabajo )
    
    
• STPSはインターネット上のホームページ（http://www.stps.gob.mx）を通じて、労働安全衛生ならびに労働環境に関する連邦規定及びメキシコ政府規準（Las Normas Oficiales Mexicanas）を閲覧できます。
  ホームページ上の"Seguridad e higiene"(「安全と衛生」)を選択して下さい。