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事業場における安全衛生委員会のためのガイドブック3
衛生の基礎概念

労働社会保障省 労働安全衛生総局 /1999年 初版発行

メキシコ労働社会保障省から発行された安全衛生委員会のためのガイドブックをご紹介いたします。 ここでは主に衛生の基本概念について分かりやすく解説されています(訳 国際安全衛生センター)。

(資料出所:GUIA 3 PARA LAS COMISIONES DE SEGURIDAD E HIGIENE EN LOS CENTROS DE TRABAJO - Conceptos basicos de higiene)


労働衛生とは?

事業場において、労働者がさらされ、職業病を引き起こす可能性のある因子の認識、評価、管理に焦点を当てたコントロールをいいます。



職業病とは?

「職場もしくは、労働者がその業務に取り組むことを義務付けられた環境における継続的な行為が原因で発生したあらゆる病的状態」(連邦労働法 第475条)



職業病の発生メカニズムは?

  1. 因子の種類。

  2. 汚染物質の人体への侵入の方法、侵入経路。

  3. 接触、その期間中行われた継続的な行動の集中度。

  4. 毒性、悪性、強度。化学的因子、生物的因子、物理的要因、精神社会学的要因など、要因によってそれぞれ異なります。



職業病を誘発する汚染媒体にはどのようなものがありますか?

  1. 物理的因子:
    労働環境において発生するエネルギー。騒音、振動、温熱、寒冷、照明、換気、異常な圧力、放射など。

  2. 化学的因子:
    製造、操作、運搬、保存、あるいは使用中に、粉じん、ばい煙、ガス、蒸気、霧、水滴などの形で汚染する可能性があり、炎症、化膿、爆発、毒性、可燃性効果を発するあらゆる自然物質または合成物質。

  3. 生物的因子:
    職場にいるあらゆる生物あるいはその生物から発生した物質。症状は、感染、中毒、アレルギーに限定。

  4. 精神社会的要因:
    労働に対する不満足あるいは疲労が引き起こす状況。

  5. 人間工学的要因:
    作業に使用する機器が不適切なため、人間の肉体に害を及ぼす状況。



職業病の要因はなんですか?

  1. 物理的因子、化学的因子、生物的因子、精神社会学的要因、人間工学的要因に労働者がさらされている時間あるいは頻度。

  2. その危険要素との接触の仕方。

  3. 労働者自身の病気に対する抵抗力あるいは性向。

  4. 労働者の保護具の使用方法の適否。




化学物質、生物的因子などの汚染物質はどのようにして体内に侵入するのですか?

  1. 呼吸器系経由:
    大多数の病気はこの種の媒体物が原因です。我々が吸っている空気と混ざり合い、しかも、仕事中は労力を要しているので、呼吸機能が増大していることを考えれば、答えは簡単です。

  2. 皮膚経由:
    炎症を引き起こす物質、溶解力のある物質によってよく起こります。皮膚に損傷を与え、さらに他の媒体が侵入しやすくなります。

  3. 食物摂取:
    この経由で生じる病気は、基本的に衛生に関する知識不足あるいは衛生習慣の欠如によるものです。労働者は、許可された場所を除いて、職場で食事を摂るべきではないということを知ることが重要です。

  4. また、食事の前、トイレに行った後は、手を洗うことが必要です。



過度の騒音による疾病は、どのように生じますか?

器官が耐えうる騒音レベルの限界を超えた結果、生じる疾患で、この病気は疲労、聴覚の悪化として表れます。また、完全に耳が聞こえなくなってしまうこともありえます。



どのようにして予防できますか?

  1. 騒音発生源を密閉したり、隔離することにより、予防措置を講じ、過度の騒音をコントロールすることによって、この疾患を予防することが出来ます。

  2. 労働者に健康診断を定期的に受けさせて、健康状態を管理します。



粉じん、ガス、ばい煙または蒸気によって生じる病気には、どのようなものがありますか?

主要なものには:
  1. 急性ならびに慢性中毒。

  2. 気管支炎、じん肺症など呼吸器系の疾患。

  3. 目及び口や鼻の粘膜などに、炎症、化膿、また類似した損傷を引き起こす皮膚炎。




どのようにして予防できますか?

  1. 労働環境を汚染している物質を取り除き、管理すること。

  2. 労働者が汚染物質にさらされる時間を制限し、いつも適切な保護具を提供すること。

  3. 定期健康診断をもって、労働者を常に監視すること。




職業病を予防するために労働者は何をすることが出来ますか?

  1. 各々の汚染物質の性質、その活動に対する予防策を知ること。

  2. 汚染物質にさらされる最大時間を制限すること。

  3. 常に職場の整理整頓を施し、清潔な状態を維持し、また管理すること。

  4. 職場の異常および自分自身の健康状態の異常について事業者に報告すること。

  5. 保護具を適切に使用すること。

  6. 雇い入れ時及び定期健康診断を受けること。




疾患予防の保護具にはどのようなものがありますか?
  1. 防音のための耳おおい、または耳栓。

  2. 小さなごみ、または有害な光線から目を保護する眼鏡類、レンズ、バイザー。

  3. 粉じん、蒸気、ガス、霧などから身を守る呼吸器系保護具。

  4. 化学物質と皮膚との接触を防ぐ、保護衣、手袋、前掛け、ブーツなど。

  5. 帽子、頭巾、ネット、ターバン、その他、洗濯または掃除がし易く、適切で、同じ効果のあるあらゆる保護手段。




なぜ労働者は職業病の予防法を知る義務があるのですか?

病気の予防に関して知識を有し、自分がさらされる危険を自覚していれば、適切に行動するであろうし、病気にかからないよう努めるでしょう。



なぜ職業病の原因を調査しなければならないのですか
 
危険度が最も高い場所ならびに危険にさらされる時間さえ知っていれば、その疾患に対する衛生予防措置を講じることが可能ですから、調査は絶対不可欠です。



職業病が発生する時期をどのようにして知るのですか?

  1. 患者に関しての調査を行う。

  2. 疾病にかかった労働者がその疾病発生因子にさらされていた時間(頻度ならびに期間)を調査する。

  3. 事務所ならびに研究室の補足情報を分析する。




事業場の衛生に関する安全衛生委員会の役割は何ですか?

連邦労働法第509条に基づき、職業病の原因を調査し、予防措置を提案し、その予防措置が実行されているか監視します。特に事業場に労働医療、ならびに予防サービス体制が整っている場合には、委員会はその活用を求めることが望ましいです。

衛生と労働者がさらされている危険との関連性、ならびにそれぞれに該当する予防措置について労働者に指導を行います。



安全衛生委員会はどのようにして環境汚染の縮小化に貢献することが出来ますか?

ボイラー、溶鉱炉、原子炉などの煙突を介して排出されるばい煙、ガス、粉じん、蒸気などを企業が管理するよう推進することによって可能になります。



あらゆる種類の廃棄物も排水溝、河川、湖沼に流して良いのでしょうか?

水質を悪化させないように、企業は排水溝、河川、湖沼に汚水を流すのを回避しなければなりません。

排水の際には、それに応じた処理システムを設置しなければなりません。



ゴミ、固形の廃棄物は、どのように取り扱わなければなりませんか?

適切な容器を用いて、木、紙、金属、ガラス、有機物、危険性化学物質、その他のゴミに分別し、それぞれ個別の場所に廃棄しなければなりません。



環境保護当局の環境汚染対策規定を遵守するために、企業はどのような手続きを踏まなければなりませんか?

汚染管理に関する法規が規定している以下の認可証および資料を保持しなければなりません。

  1. 職務許可証

  2. 排出物の記録

  3. 排水・汚水の記録




勧告

  • 労働安全衛生委員会の役員は次に挙げる法規関連文書を事業者に要請することをお勧めします。

    • メキシコ合衆国憲法
      (Constituci_n Pol_tica de los Estados Unidos Mexicanos)

    • 連邦労働法 (Ley Federal del Trabajo)

    • 労働安全衛生ならびに労働環境に関する連邦規定(Reglamento Federal de Seguridad , Higiene , y Medio Ambiente de Trabajo )

    • 事業場における安全衛生委員会の構成及び役割に関するNOM‐019‐STPS‐1993
       (NOM - 019 - STPS - 1993 , relativa a la Constituci_n y funcionamiento de las Comisiones de Seguridad e Higiene en los centros de trabajo )

  • TPSはインターネット上のホームページ(http://www.stps.gob.mx)を通じて、労働安全衛生ならびに労働環境に関する連邦規定及びメキシコ政府規準(Las Normas Oficiales Mexicanas)を閲覧できます。
    ホームページ上のオプション"Seguridad e higiene"(「安全と衛生」)を選択して下さい。




この出版物は労働社会保障省の発行物です。発行は、労働安全衛生総局の管理のもとで行われました。印刷は、出版・オーディオビジュアルメディアのDocutechシステムで行われました。発行部数は1万部。1999年5月印刷終了。