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5. 地方自治体の活動
1998年12月31日現在、建築中の高層ビル99棟のうち、マカティ市が最多で62棟、続いてマンダルヨン市とパシグ市が10棟ずつを
占めている。マカティ市の62棟のうち74%に当たる46棟は20階建て以上で、19棟が30階から39階、9棟が40階から50階、3棟が50階以上
となっている。
こうしたプロジェクトでは事故が発生する危険性があるため、マカティ市建築局では積極的な取組みとして昨年はじめに、
安全検査タスクフォースを設置した注3)。 マカティ市建築局(OBO)、建設安全財団(CSFI)などのスタッフがこれを構成している。
CSFIについては後に触れる。その職務は事故の個別の調査を行うとともに、建設現場の定期的検査を行うことである。もしOSH基準に違反する現場が発見された場合には、OBOは直ちに作業停止命令を出す。
1999年6月30日現在、マカティ市建築局は10件の事故が起き、死者4人と負傷者3人を出したと報告している。
ところが同建築局の報告と労働条件局の報告とを比べてみると、労働雇用省にはマカティ市から
何の報告も行われていないようであり、その他の市も同様である注4)。これからも分かるように、OSHの監視および情報交換についての政府機関と自治体やその他の関係機関の調整や連携は極めて貧弱である。
一方、マカティ市議会は市条例98090号を制定した。この条例は建設、修理、改装中のビル(住宅、商業用、工場用を問わない)および現場でのあらゆる作業の所有者または請負業者は、ビルの用地内で発生した死者または重傷者を伴なうあらゆる種類の事故、事件について、8時間以内にマカティ市警察技術局に報告することを義務づけている。エレニタ・S・ビネイ市長は1998年10月に条例を承認した。
またエレニタ・S・ビネイ市長はマカティ市条例99-001号を承認した。この条例は、マカティ市内のビル建設、追加、修理、改装、掘削または取壊しなどのプロジェクトの所有者、開発業者、建築会社、下請業者、建設監理者、プロジェクト監理者などに、労働者のためにグループ事故傷害保険の契約を義務づけたものである。このグループ事故傷害保険は、社会保障制度(SSS)、従業員補償委員会およびフィリピン健康保険公社などによる給付をさらに高めることになった。
注3) 定期的に建設現場を検査し、建設事故を調査するために即時に対応するタスクフォースを持っているのは、マカティ市だけのようである。
注4) これは労働雇用省労働条件局の職員によって確認された。彼らが持っている情報源のほとんどは新聞の切り抜きである。
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