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建設業の安全を改善する

 ホセ・マリア・S・バティノ技師

資料出所:Occupational Safety and Health Center(OSHC)発行
「Phil-OSH NEWSLETTER」No.1 Series of 2001
(訳 国際安全衛生センター)



建設業は毎年、労働災害や職業性疾病の大きな発生源の一つになっており、死亡者も多く出ている。建設業が労働安全衛生(OSH)の積極的な促進と教育を必要としているのも、そのためである。

建設業の実績が最悪だったのは1998年で、この年には86,727人の死傷事故が発生した。このうちの15人に1人は回復不能の傷害を受けた事故であった。現在の統計によると、毎日労働者10人のうちの1人が負傷していることになる。さらに事態を悪くしているのは、毎年130万人の新しい労働者が建設業に入っており、これらの労働者が十分な知識もないままに、災害、死亡などの危険にさらされていることである。

建設業の現場では、危険な環境や行動面で多くのリスクがあるため、安全衛生の慣行をよく守らなければならない。政府機関、民間企業は建設業における安全の改善に向けて努力を傾注しなければならない。

建設業における安全衛生プログラムは、同産業の現在および将来のニーズに適合する必要がある。さまざまな関係者のプログラムがお互いに補完し合うべきである。


訓練

1998年に労働雇用省令13号「建設業における労働安全衛生に関する指針」(D.O.13)が発表され、国として建設業労働安全衛生プログラムを策定することになった。この省令では、OSH推進の全費用をその工事の建設費の中で独立した費目とすることを規定し、また各建設プロジェクトにおいて、安全衛生委員会を積極的に活動させる重要性を強調している。

現在までに、約50の労働安全衛生プログラムが評価を受けるために、労働基準局(BWC)に提出された。これらのプログラムは、BWCの承認を得た後、建設企業がプロジェクトの入札に応じる際に必要な資格書類の一部になる。

省令13号の重要な要素は、建設業の安全担当者は40時間の基本的建設安全衛生訓練課程を受けなければならないとする規定である。このため労働安全衛生センター(OSHC)は昨年、サイト監督者を中心とする30人の参加者を得て、建設安全衛生に関するトレーニングプログラムを作成し、パイロットテストを行った。2001年には4つの安全トレーニングプログラムが実施される予定である。


研究

サイト監督者や労働者の訓練に加えて、建設業における現在の安全衛生に関する知識、態度、慣行(KAP)のレベルを評価する必要がある。この研究は、安全衛生基準(Safety and Health Standards)の実施だけでなく、基準の改訂における方向および実施戦略を設定すべきである。このような研究が有意義な成果を上げれば、建設業における安全衛生文化の構築のための情報および促進活動を維持することができる。

従ってOSHCは2002年に、首都圏において建設労働者、監督者、および管理職のKAP調査を行うことにしている。調査結果は業界のニーズについての貴重な情報を提供するとともに、建設業で何が阻害要因となっているかを見つけ出すことができるだろう。

建設業の労働安全衛生状況を改善するには、まだ多くの課題が残されている。OSHCはわが国の建設サイトの労働者、監督者、管理者、さらには建設業関係当事者が必要とする訓練プログラムと情報を提供するよう、引き続き努力する。またセンターは建設業に働くすべての国民の安全衛生を改善するため、研究活動を続けることにしている。

OSHCは毎日、これらの課題に応えるための活動を展開している。