このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。
国際安全衛生センタートップ国別情報(目次) > ロシア 危険物製造施設の産業安全に関する連邦法

危険物製造施設の産業安全に関する連邦法

(資料出所:Federal Law "On Industrial Safety of Hazardous Production Facilities"(#116-FZ of 97/07/21)

(仮訳 国際安全衛生センター)


ロシア連邦

連邦法
「危険物製造施設の産業安全に関する連邦法」

# 116-FZ 1997年7月21日

 本法は危険物製造施設の安全な運用を確実にするための法律的、経済的、社会的原則を定めるものであり、かかる危険物製造施設において災害を防止し、運用者が容易に障害を特定して除去できるようにすることを目的としている。
 組織が行っている活動がロシア連邦における危険物製造施設の産業安全にかかわるものである場合には、当該組織の法的基盤ないし所有形態を問わず、あらゆる組織に本法の規定が適用される。

第一章 総則

第一条 基本用語および定義


 本連邦法では、以下の用語と定義を用いるものとする。
 「危険物製造施設の産業安全」(industrial safety of hazardous production facilities)(以下「産業安全」という)とは、危険物製造施設における事故および事故後の結果に対して個人と公共の重大利益が安全な状態にあることをいう。
 「災害」(accident)とは、危険物製造施設において用いられる建造物・技術的装置の破壊、管理不能状態での危険物の爆発および/または排出をいう。
 「事故」(incident)とは、危険物製造施設において用いられる技術的装置の故障ないし損傷、手順の誤用、または、本連邦法もしくはその他の連邦法およびロシア連邦規則あるいは危険物製造施設の運用を規制する各種基準・技術的指示の不履行をいう。

第二条 危険物製造施設

1. 本連邦法における危険物製造施設には、企業またはその工場、ライン、敷地、および別表一に記載されたその他の製造施設が含まれる。
2. 危険物製造施設は、ロシア連邦政府の所定の手順に従って国の登記簿への登録が義務付けられる。

第三条 産業安全の要件

1. 産業安全の要件には、本連邦法、その他の連邦法、およびロシア連邦規則、ならびに法的手続きに従って採択され、その遵守を通じて産業安全を実現することを目的とした各種の技術基準で定められた、条件、制限、およびその他の拘束力のある要件が含まれる。
2. 産業安全の要件は、緊急事態に対する公衆および領土の保護、公衆衛生および疫学的安全、環境保護、生態学的安全、防災防火、建設・労働の安全について定めのある各種規格に従うとともに、国の各種基準で定められた要件に適合したものでなければならない。

第四条 産業安全の法的規制

1. 産業安全の法的規制は、本連邦法、産業安全に関するその他の連邦法、およびロシア連邦規則によって行うものとする。
2. ロシア連邦が結んだ国際協定が本連邦法と異なる規則を定めている場合には、国際協定の規則が適用されるものとする。

第五条 特別な権限を有する産業安全連邦執行機関

1. ロシア連邦大統領、またはその代理人たるロシア政府は、産業安全分野における国家政策の遂行のために、特別な権限を有する産業安全連邦執行機関を定め、この機関に対し、規範となる規則の施行、および産業安全にかかわる特別な許可・規制・監督を行う権限を付与するものとする。特別な権限を有する産業安全連邦執行機関は各地に下部機関を持つものとし、これらの機関は所定の法的手続きに従って設置するものとする。
2. 各種連邦法およびロシア大統領とロシア連邦政府の決定に基づき、規範となる法律上の規則の施行、ならびに産業安全の分野における特別な許可・規制・監督を行う権限を与えられた各種連邦執行機関は、規範となる法律とかかる法律に基づいて承認された各種の技術基準、および産業安全分野における当該執行機関の活動について、特別な権限を有する連邦執行当局と調整を図らなければならない。

第二章 産業安全の原則

第六条 産業安全にかかわる活動の認可


1. 次のものに関する活動、すなわち危険物製造施設の設計、建設、運用、拡張、改造、近代化、使用停止、および放棄、ならびに危険物製造施設において使われる技術的装置の製造、取付、設置、保守、および改修、ならびに産業安全に関わる専門的判断、ならびに危険物製造施設運用者の非教育機関における訓練および再訓練は、特別な権限を有する産業安全連邦執行機関またはその地方機関が発行した適切な免許を有し、ロシア連邦の各種法律を遵守することで、これを行うことができる。
2. 危険物製造施設運用のための免許を取得するために、申請者は特別な権限を有する産業安全連邦執行機関またはその地方機関に対し、以下の書類およびロシアの法律と規則によって定められたその他の書類を提出しなければならない。
  危険物製造施設の引渡契約(commissioning act)、または産業安全に関わる専門的判断に基づく肯定的な勧告
  危険物製造施設の産業安全申告書
3. 危険物製造施設運用のための免許には、本連邦法第十五条で定められているとおり、危険物製造施設の運用開始からその運用の全期間にわたって、危険物製造施設の運用中に生じた損害をカバーする損害賠償強制保険契約を申請者が結んでいなければならないことを定めた特別な項目が含まれていなければならない。

第七条 危険物製造施設において使われる技術的装置

1. 危険物製造施設において使われる技術的装置は、外国製のものも含め、ロシアの法律で定められた手続きに従って、産業安全上の要件を満たしていることを認定されなければならない。危険物製造施設において使われ、認定の対象となる技術的装置のリストは、ロシア連邦政府が定めた手続きに従って作成・承認されるものとする。
2. 危険物製造施設において使われる装置の認定は、特別な権限を有する産業安全連邦執行機関公認の組織が実施するものとする。
3. 認定の規則と手続きは、標準化・度量衡・認定を担当する連邦執行機関が、特別な権限を有する産業安全連邦執行機関と協力して定めるものとする。
4. 危険物製造施設における技術的装置の運用に関する一般的な手順および詳細は、ロシア連邦政府が定めるものとする。
5. 危険物製造施設において使われる技術的装置は、その運用中、所定の手続きに従って産業安全に関わる専門的判断の対象とされるものとする。

第八条 危険物製造施設の設計、建設、および引渡に関する産業安全上の要件

1. 危険物製造施設の建設、拡張、改造、近代化、使用停止、放棄に着手する決定を下す際は、あらかじめ産業安全に関わる専門的判断に基づいて設計文書に関する肯定的な勧告を得なければならず、かかる勧告は特別な権限を有する産業安全連邦執行機関またはその地方機関によって承認されなければならない。
2. 危険物製造施設の建設、拡張、改造、近代化、使用停止、放棄の期間中は、設計上のいかなる逸脱も許容されない。危険物製造施設の建設、拡張、改造、近代化、使用停止、放棄に関する設計文書のあらゆる変更は、産業安全に関わる専門的判断、および特別な権限を有する産業安全連邦執行機関またはその地方機関との調整に委ねなければならない。
3. 設計文書を準備する組織は、法律で定められた手続きに従い、危険物製造施設の建設、拡張、改造、近代化、使用停止、放棄を文書の作成者が確実に監督できるようにしなければならない。
4. 危険物製造施設の引き渡しは、法的手続きに従って行なわなければならない。
 危険物製造施設の引き渡し期間中は、当該施設が設計文書を遵守していること、および当該組織に施設を運用する態勢、災害を特定して除去するための措置を講じる態勢が整っていることをチェックしなければならない。

第九条 危険物製造施設の運用に関する産業安全上の要件

1. 危険物製造施設を運用する組織には以下のことが義務付けられる。
  本連邦法とその他の連邦法およびロシア連邦規則の条項、および産業安全に関する各種の技術基準を遵守すること。
  危険物製造施設運用のための免許を有すること。
  規範となる要件に従って危険物製造施設への労働者の配置を行うこと。
  危険物製造施設の労働者として、しかるべき資格要件を満たし、当該作業が医学上禁忌とならない人物を選ぶこと。
  労働者と従業員を対象とする産業安全上の訓練および認定を確実に行うこと。
  危険物製造施設における運用規則を定めた規範となる法律および技術基準を危険物製造施設において確実に守ること。
  産業安全上の要件の遵守を確かめるための管理手段を用意・実施すること。
  所定の要件に従ってすべての装置および工程管理システムの可用性と運用性を確保にすること。
  危険物製造施設において使われる建造物および装置の建設、診断、試験、検査について産業安全に関わる専門的判断を確実に行うこと。これは、所定の期限内および/または特別な権限を有する産業安全連邦執行機関もしくはその地方機関が発行した相応の指示に従って行わなければならない。
  危険物製造施設の敷地内に部外者を立ち入らせないこと。
  危険物の貯蔵に関する産業安全上の要件を遵守すること。
  産業安全申告書を作成すること。
  危険物製造施設の運用中に生じた損害をカバーする損害賠償強制保険契約を結ぶこと。
  特別な権限を有する産業安全連邦執行機関、その地方機関と職員が、その権限の範囲で発行した命令および指示を実施すること。
  危険物製造施設において災害または事故が発生した場合、ならびに産業安全に影響するような条件が新たに見つかった場合には、自身の判断または特別な権限を有する産業安全連邦執行機関、その地方機関と職員の指示に基づいて、危険物製造施設の運用を一時中断すること。
  危険物製造施設における災害については、これを特定して除去する措置を講じ、政府当局の事故調査に協力すること。
  危険物製造施設における災害調査に参加し、かかる災害の原因を除去するとともに同種の災害を防止するための措置を講じること。
  危険物製造施設における事故を分析し、かかる事故の原因を除去するとともに同種の事故の発生を防止するための措置を講じること。
  所定の手続きに従い、特別な権限を有する産業安全連邦執行機関、その地方機関、ならびに政府当局、地方自治体および一般公衆に対し、危険物製造施設での災害に関する時宜を得た情報を提供すること。
  危険物製造施設における災害発生時に労働者の生命と健康を保護すること。
  危険物製造施設における災害と事故の記録を保持すること。
  特別な権限を有する産業安全連邦執行機関またはその地方機関に対し、災害と事故の回数、原因、および講じた措置について情報を提供すること。
2. 危険物製造施設で働く労働者には以下のことが義務付けられる。
  危険物製造施設における運用規則を定めた規範となる法律および技術基準、ならびに危険物製造施設における災害発生時の警報手順を守ること。
  産業安全上の訓練および認定を受けること。
  所定の手続きに従い、危険物製造施設における災害または事故を直接の上司またはその他の担当者にただちに伝えること。
  危険物製造施設における災害または事故の発生時に、所定の手続きに従って作業を中止すること。
  所定の手続きに従って、危険物製造施設における災害の特定に参加すること。

第十条 危険物製造施設における災害を特定・除去するための運用態勢に関する産業安全上の要件

 災害を特定して除去する態勢を整えるために、危険物製造施設の運用者には以下のことが義務付けられる。
  危険物製造施設における災害を特定して除去するための処置を計画し、実施すること。
  専門の救護サービスまたは専門の救護部門とサービス契約を結ぶか、あるいは、ロシアの法律で想定されているケースについては、専門の救護サービス/部門を自前で用意するとともに、労働者を母体とした自由契約による救護グループを設けること。
  ロシア連邦の法律に従い、災害を特定して除去するための経済的・物質的資源を保有すること。
  危険物製造施設における災害または事故の発生時に取るべき応急処置を労働者に教えること。
  災害発生時のための監視システム、警報システム、伝達システム、行動支援システムを用意するとともに、これらのシステムの運用性を維持すること。

第十一条 産業安全上の要件遵守の監視

1. 危険物製造施設の運用者は、ロシア連邦政府が定めた要件に従って、産業安全上の要件の遵守を確かめるための管理手段を用意・実施しなければならない。
2. 産業安全上の要件の遵守を確かめるための管理手段に関する情報、ならびにかかる管理手段を実行する権限を与えられた労働者に関する情報は、特別な権限を有する産業安全連邦執行機関またはその地方機関に提出しなければならない。

第十二条 災害調査

1. 危険物製造施設における災害の実態については、専門調査を行なわなければならない。
2. 災害調査は、特別な権限を有する産業安全連邦執行機関またはその地方機関の代表が長を務める特別委員会が実施するものとする。
 上記の委員会には次のメンバーが含まれるものとする。
  危険物製造施設が領土内にあるロシア連邦構成国および/または地方自治体の代表。
  危険物製造施設運用者の代表。
  ロシア連邦の法律で定められたその他の代表。
3. ロシア連邦政府大統領は、災害調査委員会を設置し、その委員長を指名することができる。
4. 災害調査委員会は、産業安全、調査、設計、学術調査、テスト構成、保険、設備建造等々、における専門組織および専門家を招くことができる。
5. 危険物製造施設の運用者およびその労働者は、災害調査委員会がその任務を果たすのに必要なすべての情報とデータを災害調査委員会に提示しなければならない。
6. 災害調査の結果は記録として残し、この記録に災害の原因と実態、災害によって生じた損害、産業安全上の要件の不履行、かかる不履行の責任を負う労働者の氏名、災害を特定して除去するために講じた措置、および、同種の災害を防止するための勧告を記述しなければならない。
7. 災害調査に関する文書は、特別な権限を有する産業安全連邦執行機関またはその地方機関、ならびに関係政府機関に提出しなければならない。
8. 特別な権限を有する産業安全連邦執行機関は、災害調査および記録作成の手順を定めるものとする。
9. 災害の発生した危険物製造施設を運用する組織は、災害調査の費用を負担しなければならない。

第十三条 産業安全に関わる専門的判断

1. 以下のものは産業安全に関わる専門的判断に委ねられるものとする。
  危険物製造施設の建設、拡張、改造、近代化、使用停止、放棄に関する設計文書。
  危険物製造施設において使われる装置。
  産業安全申告書、ならびに危険物製造施設の運用に関するその他の文書。
2. 産業安全に関わる専門的判断は、かかる判断を下すための免許を有する組織が行うものとし、その費用は危険物製造施設を運用する予定であるか、または運用中の企業が負担しなければならない。
3. 産業安全に関わる専門的判断では、結果として一つの結論を出すものとする。
4. 特別な権限を有する産業安全連邦執行機関またはその地方機関に提出された産業安全に関わる専門的判断の結論は、法律で定められた手続きに従って考慮され、承認されるものとする。
5. 特別な権限を有する産業安全連邦執行機関は、産業安全に関わる専門的判断の手順、ならびに判断の結論を作成するための要件を定めるものとする。
6. 産業安全に関わる専門的判断は、法律で定められた手続きに従い、その他の専門的判断と同時に行うことができる。

第十四条 産業安全申告書の作成

1. 産業安全申告書の作成には次のもの、すなわち災害リスクおよび関連する危険性についての総合的評価、災害防止措置の妥当性の分析、産業安全上の要件に従って危険物製造施設を運用し危険物製造施設における災害を特定して除去する態勢が組織において整っていること、ならびに危険物製造施設における災害発生時に災害の影響および損害を抑制するための措置の開発が含まれる。
 特別な権限を有する産業安全連邦執行機関は、産業安全申告書に含めるべきデータのリストを定めるものとする。
2. 別表二に示した分量の物質を生産、加工、作成、貯蔵、運搬、または除去する危険物製造施設においては、産業安全申告書の作成が義務付けられる。
 本項の第一段落で規定された以外の場合について産業安全申告書を義務付けるかどうかは、ロシア連邦政府、ならびに特別な権限を有する産業安全連邦執行機関がその権限の範囲内で定めることができる。
3. 産業安全申告書は、危険物製造施設の建設、拡張、改造、近代化、使用停止、放棄に関する設計文書の一環として作成しなければならない。
 危険物製造施設運用のための免許を申請する場合、産業安全申告書のデータを変更する場合、または産業安全上の要件が変更された場合には、産業安全申告書を訂正または再作成しなければならない。
 本連邦法の発効日にすでに稼働中の危険物製造施設については、ロシア連邦政府の定める期限内に産業安全申告書を作成しなければならない。
4. 組織の管理者---危険物製造施設の運用者---は、産業安全申告書を承認するものとする。
 上記の管理者は、ロシア連邦の法律に従い、産業安全申告書のデータの完全性および正確性に対して責任を負うものとする。
5. 産業安全申告書は、所定の手続きに従い、産業安全に関わる専門的判断に委ねられるものとする。
6. 産業安全申告書は、ロシア連邦政府の定める手続きに従って、政府当局、地方自治体、一般の団体および個人に提示されるものとする。

第十五条 危険物製造施設の運用中に生じた損害をカバーする損害賠償強制保険契約


1. 危険物製造施設の運用者たる組織は、危険物製造施設における災害発生時に他人の生命、健康、または財産、ならびに自然環境に対して与えた損害をカバーする損害賠償保険契約を結ばなければならない。
2. 危険物製造施設における災害発生時に他人の生命、健康、または財産、ならびに自然環境に対して与えた損害をカバーする損害賠償保険の最低額は、次のものに等しい額とする。
a) 別表一に記載された危険物製造施設で、かかる施設が次のために使われる場合:
  本連邦法の別表二に示した分量もしくはこれを超える分量の危険物を製造、利用、加工、作成、貯蔵、運搬、または除去する場合には、損害賠償保険の契約締結時におけるロシア連邦政府所定の最低月額賃金70か月分。
  本連邦法の別表二に示した分量未満の危険物を製造、利用、加工、作成、貯蔵、運搬、または除去する場合には、損害賠償保険の契約締結時におけるロシア連邦政府所定の最低月額賃金10か月分。
b) その他の危険物製造施設の場合には、損害賠償保険の契約締結時におけるロシア連邦政府所定の最低月額賃金1000か月分。

第十六条 連邦レベルでの産業安全の監督

1. 危険物製造施設の運用者が産業安全上の要件を遵守しているかどうかを確認するために、ロシア連邦の法律に従い、連邦レベルでの産業安全の監督を実施するものとする。
2. 連邦レベルでの産業安全の監督は、監督対象となる組織の自足・独立の原則に基づいて行うものとする。
3. 連邦レベルでの産業安全の監督は、ロシア連邦の法律に従い、特別な権限を有する産業安全連邦執行機関、その地方機関、およびその他の連邦執行機関が実施するものとする。
4. 特別な権限を有する産業安全連邦執行機関の職員は、その職務を遂行する際、以下のことを行う権限を与えられるものとする。
  危険物製造施設の運用者たる組織を視察すること。
  上記の運用者が産業安全上の要件を遵守していることを確認するのに必要な文書を精査すること。
  運用者が運用免許の条件を遵守しているかどうかを確認すること。
  危険物製造施設における災害調査の妥当性、およびかかる調査の結果に基づいて講じられた措置の実効性を確認すること。
  危険物製造施設の運用者に対し、産業安全上の要件からの逸脱をなくすよう命令すること。
  その権限の範囲内において、各種の産業安全上の指示を与えること。これには、危険物製造施設の建築および建造物、ならびに当該施設において使われる装置について産業安全に関わる専門的判断を下す必要があるかどうかの指示も含まれる。
  危険物製造施設の運用者に対し、産業安全上の要件に反する運用を停止する命令を下すこと。必要な場合には、危険物製造施設、かかる施設の構内、または危険物製造施設において使われる装置を封鎖すること。労働者の生命および健康が危険にさらされる場合には、作業場からの退去指示を与えること。
  特別な権限を有する産業安全連邦執行機関またはその地方機関に対し、産業安全にかかわる一定の活動についての免許の縮小または停止を問う意見、および産業安全上の要件の不履行があった場合、ならびにロシア連邦の法律で定められたその他の場合に当該免許の期限前取り消しを問う意見を提出すること。
  ロシア連邦の法律で定められた法的手続きに従い、産業安全上の違反行為をした人物に対して行政レベルで責任を問い、かかる人物を刑事裁判にかけるための文書を捜査当局に提出すること。
  産業安全上の要件の不履行を原因として他人の生命、健康、および財産に与えられた損害について損害賠償の要求があった場合に、裁判または調停において、所定の手続きに従い、特別な権限を有する産業安全連邦執行機関またはその地方機関を代表すること。
  ロシア連邦の法律で定められ、産業安全の実現を目的とするその他の権限を執行すること。

第十七条 産業安全に関わる諸規則の不履行に対する責任

 本連邦法の不履行の罪を犯した人物は、ロシア連邦の法に従って責任を問われるものとする。

第三章 最終条項

第十八条 本連邦法の発効


1. 本連邦法は官報掲載の日をもって発効するものとする。
2. ロシア大統領には本連邦法に従って法的規制を行うことを勧告し、ロシア政府には本連邦法に従って法的規制を行う任務を与える。

ロシア連邦大統領
B.エリツィン
モスクワ、クレムリン
1997年7月21日
# 116-FZ



別添一

危険物製造施設

 危険物製造施設とは、その場所において以下のことが行われるものをいう。
1) 以下の危険物の製造、利用、加工、作成、貯蔵、運搬、および/または除去。

a) 可燃性ガス:常圧下において空気と混合すると可燃性となり、常圧下における沸点が20℃以下のガス。

b) 酸化剤、すなわち燃焼補助物質、あるいはほかの物質の燃焼を引き起こすか、または燃焼を補助し、結果として酸化還元発熱反応を引き起こす物質。

c) 可燃性物質:それ自体で発火するか、または点火源によって発火した後、点火源を取り去っても燃え続けることのできる液体、ガス、粉じん。

d) 爆発物、すなわち外部からの一定の衝撃により、短時間で連鎖的に化学反応を起こし、発熱およびガスを生じる物質。

e) 毒物、すなわち生体を死に至らしめ、次のような特徴を持つ物質。
  • 胃に入った場合の平均致死量が15〜200mg/kg
  • 皮膚に接触した場合の平均致死量が50〜400mg/kg
  • 空気中の致死濃度が0.5〜2mg/l

f) 毒性の高い物質、すなわち生体を死に至らしめ、次のような特徴を持つ物質。
  • 胃に入った場合の平均致死量が15mg/kg以下
  • 皮膚に接触した場合の平均致死量が50mg/kg以下
  • 空気中の致死濃度が0.5mg/l以下

g) 自然環境にとって危険な物質、すなわち水中にあって次のような高い毒性を持つ物質。
  • 魚が96時間摂取した場合の平均致死量が10mg/l以下
  • 48時間でミジンコ類に一定の影響が出現する平均濃度が10mg/l以下
  • 72時間で水生植物に影響が出る場合の抑制濃度が10mg/l以下
2) 0.07Mpaを超える圧力を使用するか、または水を115℃を超える温度まで加熱することで動作する装置の使用。

3) 据付型の揚貨装置、エスカレーター、ロープウェイ、および/またはケーブルカーの使用。

4) 鉄金属および非鉄金属の精錬、およびこれに基づく合金の生成。

5) 選鉱を伴う採鉱作業、ならびに地中での作業。



別添二

危険物製造施設に存在する場合に産業安全申告書の作成が義務付けられる危険物の限度量

表一
危険物名 限度
(単位:t
アンモニア 500
硝酸アンモニウム(硝酸アンモニウム、および窒素と硝酸アンモニウムの含有量が重量の28%を越えるアンモニウム混合物、ならびに硝酸アンモニウム濃度が重量の90%を越える硝酸アンモニウム液体) 2500
肥料としての硝酸アンモニウム(硝酸アンモニウムをベースとした通常の肥料、ならびに窒素と硝酸アンモニウムの含有量が重量の28%を越える合成肥料(硝酸アンモニウムと燐酸および/またはカリウムを含む合成肥料)) 10000
アクリロニトリル 200
塩素 25
エチレンオキシド 50
シアン化水素 20
フッ化水素 50
硫化水素 50
二酸化硫黄 250
三酸化硫黄 75
アルキル 50
ホスゲン 0.75
イソシアン酸メチル 0.15

表二
危険物 限度
(単位:t
可燃性ガス 200
原料貯蔵施設および基地に貯蔵される可燃性液体 50000
工業加工に使われるか、または幹線パイプラインで運ばれる可燃性液体 200
毒物 200
毒性の高い物質 20
酸化剤 200
爆発物 50
自然環境にとって危険な物質 200

注(1) 表一に記載のない物質については表二のデータを適用するものとする。
注(2) 危険物製造施設間の距離が500メートル未満の場合には、危険物の量を合計したものを考慮するものとする。
注(3) 同一カテゴリで複数の種類の危険物を使う場合には、次の条件によって合計の限度を決定する。

ここで、 は使用する物質の分量の合計、 は上のリストに基づき1からnまでのすべてのiに対してその限度を合計したものである。


この記事の出典(英語、ロシア語:全文)は、国際安全衛生センターの図書館でご覧頂けます。