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Fedusaが労働安全衛生法の改正を提案

Fedusa(Federation of Unions of SA − 南アフリカ共和国労働組合連合)から発行されている雑誌「FEDUSA DEBATE(1/99)」より、南アフリカ共和国での労働安全衛生法改正の動きについて書かれた記事を紹介します(訳 国際安全衛生センター)。

資料出所:「FEDUSA DEBATE(1/99)」
(訳 国際安全衛生センター)


Fedusaの作業部会は1999年1月、労働安全衛生法に関する検討会議を開催した。 この会議において、労働安全衛生法の不適切な部分を南アフリカ憲法および国際労働機関(ILO) 155号条約に適合させるよう改正が必要であるとの提案がなされた。この提案はFedusaにて機関決定され、 Fedusaは、提案通り改正に取り組むことを各関係機関に要請することとなった。

1999年1月9日に行われた労働大臣との討議を踏まえ、Fedusaは労働省に対し以下の提案を行った。

現行の規定
労働安全衛生法は、労働安全衛生法の監視や施行に当たって国および地域機構が労働視察団(labour inspectorate)を支援するよう定めている。

Fedusaの提案
国レベルと地域レベルとの間の関係を確立し調整を行うため、州組織もしくは地区組織を創設することを検討すべきである。 国レベルと地域レベルとの間のギャップはあまりにも大きすぎる。そのため、両者を繋ぐ組織が十分に機能し、 コミュニケーションの強化や調整の促進を図らなければならない。


現行の規定
労働安全衛生法では、職場の代表者の選出を能力や職場に関する実践的知識の有無に基づいて行うのではなく、 人気によ影響されがちな投票により行うことができる。

Fedusaの提案
資格については、1996年炭鉱労働者安全衛生法第28条に定める規定と同様のものとする。


現行の規定
労働安全衛生法第8条では一般義務は使用者が負うものと規定している。使用者は職場で活動する労働組合を除外して、 もしくは労働組合の提案や示唆などを受けることなく、この義務を遂行できる。

Fedusaの提案
第8条は、関連労働組合との協議や交渉の機会が保証されるよう条文の書き換えが必要である。 使用者が関連組合と協議したり交渉したりすることができるようにすることが重要である。

労働安全衛生法第17条の現行規定は、全ての組合と交渉や協議を行うという考え方に適合させるため改正が必要である。 現行の労働組合の「代表」という概念は労働組合の過半数(50%+1)を意味するが、 職場内のその他の認知されている労働組合を排除してしまうというところに問題がある。 すなわち、安全衛生の現状や改善に関する価値ある提案が「代表」以外の部分から行われる可能性を最初から排除してしまう 結果となってしまう。 Fedusaは、職場で認知されているすべての労働組合を代表させるため、 すべての従業員がフルタイムで働く代表を任命することができよう本項の条文を改めるべきであると提案する。

ILO155号条約では安全を侵害する労働条件の取消しを行う権利を認めている。 南アフリカ政府はこの決議を採択もしくは批准していないと我々は理解している。 そのためFedusaは、政府はこれを行うべきであると提案する。

Fedusaは、「人は死の危険のある場所で働くべきではない」という考えを強く信じ支持する。 従って、炭鉱労働者安全衛生法第23条に定められる規定は労働安全衛生法にも盛り込まれるべきである。

「予防は治療にまさる」という原則により、Fedusaはまた、適切な訓練を受け、能力があり、 承認された者だけが職場で働くことができるとする条項を労働安全衛生法に追加すべきであると提案する。

労働安全衛生法の第17条(3)は調停手続や過程を規定したものであるが、この労働安全衛生法第17条(3)の規定条項に代えて、 炭鉱労働者安全衛生法第26条(1)(k)の規定と同様の手続き規定が定められるべきである。 これは調停や仲介過程の承認を保証することになる。

現状では、法律の遵守に対する強制力が弱く、手続きが煩雑であるため、Fedusaはこの改善のため以下の事項を提案する。

  • 雇用公正法(Employment Equity Act)第31条の規定と同様の報告条項を設けるべきである。
  • 監督官に権限を与えている炭鉱労働者安全衛生法の規定は、労働安全衛生法により任命される監督官に対しても適用されるべきである。
  • 二つの安全衛生法(労働安全衛生法、炭鉱労働者安全衛生法)の違反行為を扱うため専門検察官および裁判制度を確立すべきである。検察官や判事が経験不足のために、 あまりに多くの使用者が責任や義務を免れている。
  • 監督官に関する現状の要員不足の問題は、この分野の専門家に支払う報酬が少なすぎることに直接関係しているものと 我々は判断する。 Fedusaは、能力があり適切な資格を有し、そして非常に重要なことであるが、 経験のある監督官を雇用することが大切であると考える。 また雇用するだけでなく、既存の専門家を確保しておくことも必須であると考えている。

これらのことを実施に移すため、Fedusaは公共機関中央交渉会議(Central Bargaining Chambers of the Public Service)に対し、この分野の業務に特別の注意を払うよう要求するとともに、市場に連動した給与を支払うだけでなく、市場に存在する専門知識所有者を惹きつけられるような報酬体系の確立が必要であると提言する。

Fedusaはこの提案に対し大臣および労働省からの前向きな回答を期待している。また、少なくとも現行制度の不備の幾つかについて取組んでくれるものと考える。