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アフリカにおける労働衛生の行方

資料出所:The Finnish Institute of Occupational Health 発行
African News letter on Occupational Health andSafety Volume 15
Number 3, December 2005
(仮訳 国際安全衛生センター)

掲載日:2007.04.10

アフリカには50以上の国家があるが、労働衛生団体は現在2組織のみであり、その両方が南アフリカに存在する。その組織は、南部アフリカ労働衛生研究所(Southern African Institute for Occupational Hygiene: SAIOH)と、南アフリカ鉱山換気協会(Mine Ventilation Society of South Africa: MVS)である。両組織は、規律に対し責任を持つ情熱にあふれた熱心な人々によって、当初は鉱業の、その後一般産業の労働衛生問題に対応するために設立された。以下は、南アフリカにおける労働衛生発達についての短いまとめであり、今後アフリカの他の地域でどのように労働衛生団体が発展してゆくかの方向性を示したものである。

私が勤務する組織、南アフリカ鉱業会議所が、鉱山における浮遊粉じんの定期的な調査を実施する職員を雇用し、粉じんサンプルの正確な測定を目的として研究所を設立したのは、1914年にさかのぼる。

1916年までに政府は粉じん管理を支援する粉じん検査官を任命した。また、1917年には、1000名以上の労働者を雇用する鉱業場に、粉じん検査者の任命を課す法律が制定された。彼ら粉じん検査者は、現在の換気管理技師(ventilation officer)、環境技師(environmental engineer)の前身であり、このポストの創設により、いまや鉱業職には不可欠となっている技術および知識発展への道が開かれた。

南アフリカ鉱山換気協会(MVS)

専門家が粉じんの調査や管理の方法や手段の改善に取り組んでいる一方で、鉱山はその深度を増し、暑熱が深刻な問題となってきた。暑熱の問題は将来の換気管理技師である粉じん検査者には難題であった。粉じん検査者の任務は拡大され、最も費用効率の高い方法で作業場が涼しく保たれていることの確認や、採掘場の状況の報告が追加された。粉じん密度の報告のほか、換気管理技師は、空気量、温度、冷却能力、気流速度、ガス濃度のデータ収集も担当した。

換気問題はこのようにいよいよ複雑となり、1940年代初頭には専門家が定期的に会合を開いて当面の切迫した問題を話し合うフォーラム創設の必要性が痛切になった。そのため南アフリカ鉱業会議所は、複数の組織を指名して換気問題にあたらせた。この試みは確実に換気管理技師のそれまでの孤立をいくらか和らげることになったが、会合へは常に鉱業団体の公式代表者として参加していた。

1944年に鉱山換気協会が設立され、1948年には鉱山換気協会会報の第一号が会員に配布された。1956年、会議所は会報刊行のために年間助成金が作られ、1957年に会報は南アフリカ鉱山換気協会誌に名称を変更した。

現在、協会は鉱山の換気において国際的な評判を確立しており、会員の出身国も世界各国にわたっている。2001年には、協会の設立から半世紀の歩みをつづった50年史が発行された。

南部アフリカ労働衛生研究所(SAIOH)

1974年の労働衛生審議委員会(Commission of Enquiry on Occupational Health)(1976年エラスムス・レポート)は、一般産業に甚大な労働衛生問題が発生しているとして、南アフリカにおける労働衛生発展の必要性に焦点を合わせた。このレポートは、労働衛生に関する状況は深刻であり、労働衛生専門家(occupational hygienist)の訓練が著しく怠られていると記している。

労働衛生協会設立に向けた議論が開始され、1983年には規律としての労働衛生を強化し、これに対する認識を高めるために南部アフリカ労働衛生協会(Occupational Hygiene Association of South Africa: OHASA)が発足した。

労働衛生専門家の職業登録を目的として、南部アフリカ労働衛生士研究所(Institute of Occupational Hygienists of Southern Africa: IOHSA)が設立されたのは1992年のことである。本機関は1996年9月にストックホルムで開催された国際労働衛生学会(International Occupational Hygiene Association: IOHA)において、会員として認められた。その後、常に白熱した議論が数年間に渡って行われた後、2000年に南部アフリカ労働衛生研究所(SAIOH)と、独立した認証理事会(SAIOH Certification Board: SAIOH-CB)が設立され、OHASAとIOHSAの合併が完了した。

SAIOHは、規律としての労働衛生を強化し、その認識を高めることに取り組んでおり、認証理事会を通じて公式教育および訓練において基準を達成した労働衛生専門家の登録を行っている。

2002年には、2005年に南アフリカで開かれたIOHAの第6回化学会議主催の入札を勝ち取った(この会議はアフリカで始めて開催されたIOHA国際会議となった)。会議の成功を期すため、IOHAの代理としてSAIOHとMVSが共同でIOHA 2005の開催を担当することになった。IOHA 2005は、アフリカおよび世界における労働衛生の発展をテーマとして開催された。

アフリカの他の地域でも、工業化により労働衛生問題が発生した場所や、労働衛生のスタッフを必要とする国家機関や組織のある場所、そして労働衛生の専門分野に携わる人が多くいるところに労働衛生団体が設立されることになるであろう。

南アフリカ鉱業会議所(Chamber of Mines of South Africa)

労働衛生専門家

デイビット・W.スタントン

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