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2001年業種別労働災害統計 |
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災害区分別工場労働災害統計 |
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原因別労働災害統計 |
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主要原因別死亡災害統計 |
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2001年死亡災害統計
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年齢別労働災害統計 |
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性別労働災害統計 |
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時刻別労働災害統計 |
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2001年災害要因媒体別労働災害統計 |
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産業別労働者割合 |
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長年、感電死と墜落・転落が死亡災害の原因の大部分を占めるという状況が続いている。また、死亡災害の多くは建設業で発生しており、何年もの間一定の割合で確実に発生している。しかし、現行基本法では必要な規則が整備されていないため、これらの原因に対し、何の法的措置も取ることができない。しかし、現状を打開するため建設業における安全と安全な電気使用に関する規則が整備されつつあり、電気及び建設に関する規則が施行されれば大きく改善されるだろう。
工場法対象の作業場で発生した1999年の労働災害による損失労働日数が計算された。
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1999年には2216件の労働災害が発生し、うち37人が死亡した。
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また、同年2179件の負傷災害が発生し、うち28人が身体あるいは身体機能の一部を永久に喪失した。また、28人のうち12人が賃金取得能力の5割以上を喪失し、7人は負傷後の職場復帰が出来なかった。 |
損失労働日数は以下の通りである。
区分 |
届け出数 |
損失労働日数 |
1.死亡 |
37 X 6,000 |
222,000 |
2.永久完全労働不能 |
01 X 6,000 |
6,000 |
3.永久部分的労働不能 |
27 |
1,728 |
.4.報告を要する部分的労働不能 |
2,179 |
35,254 |
損失労働日数合計 264,982 |
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264,982 |
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2,179件の負傷災害が発生:2,179/300=7.26 一日当たり7.26件。
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264,982労働日数の損失:264,982/300=883 883人の従業員が勤務する工場が一年間閉鎖された状態に相当する。 |
上記の数字は以下の労働災害が除外されている。
A |
工場法の対象となっていない作業場で発生した死亡災害 |
B. |
工場法の対象となっていない作業場で発生した負傷災害 |
C. |
工場法対象の作業場で発生した負傷災害だが、損失労働日数が3日未満(less than
3 days)であった災害 |
D. |
報告されなかった災害 |
上記の統計値は損失の大きさを正確に表したものとは言えないが、スリランカの現在抱えている問題をより明確に理解するための目安である。
1.5 労働安全衛生に関する研修・教育について
有力な企業は、安全法や規則の遵守が十分であるのに対し、比較的小さな企業に関してはそうは言い切れない。主に教育や宣伝によって意識を高め、法律の遵守を徹底する努力が行われている。遵守の説得に失敗した場合、工場監督技師は法的手段に訴えるしかない。しかし、監督技師による起訴の多くが効を奏し、事業主が労働者にとって十分な安全衛生基準を提供するという望ましい結果を生んでいる。
また、工場監督技師は、労働安全衛生に関するセミナーや講義の開講、映画上映の企画運営に多くの時間を割いている。これらのプログラムは国内全域の雇用主、労働者および労働組合員を対象に実施されているが、中には同業種の経営者達を対象に企業ベースで実施されているものもある。そのようなプログラムは業種の実情に沿うように、綿密な計画の上で作成されている。最近工場監督技師は、労働安全衛生についての教育活動の対象を技術系や医学系の大学生にも拡大している。更に労働安全衛生の科目を職業訓練校や工業大学に導入しようという試みも行われている。
このようなプログラムとは別に、工場監督技師は査察以外でも企業の安全衛生や生産に関する問題について経営者にアドバイスしている。アドバイスは、機械の安全装置の設計、工場設備の配置、生産管理、工場の内部環境などに関係している。工場監督技師の医療担当員は、応急処置の方法や職業性疾病の予防についてもアドバイスを行っている。安全に関する展示会、ポスター大会、安全に関する演劇なども定期的に企画されている。コロンボにある労働省の建物内には、産業用機械の作業模型や写真、絵画を展示した安全技術館が常設されており、工場監督技師が実施している安全プログラムの優れた教材となっている。また、産業安全課は機械の作業模型や写真、その他を搭載した移動式の展示設備を使用し、国内全域で教育目的の展示会を開いている。この設備は、企業で使用される以外に公共の場でも展示され、労働安全に関する一般市民の意識向上に一役買っている。
国立経営研究所や、国立開発銀行、スリランカ工学研究所などの特殊機関でも講義が行われており、作業場に掲示するようにと安全ポスターが事業主に配布されている。
スリランカの法令(1942年工場法第45号)では、作業場から粉じん、ヒューム、騒音、熱、温度、換気不足といった危険要因を排除するよう規定しているが、規則として定められているのは採光・照明についてのみである。そのため、実際には「工場」と定義される施設からの要請や労働者からの苦情に対応するため、これらの要因を国際基準に従って測定している。労働安全課は労働衛生課の協力を得て、頻繁に以下の物理的・化学的環境パラメータをモニタリングしている。
- 周囲の気温
- 換気
- 採光・照明
- 騒音
- 塩素
- アンモニア
- 一酸化炭素
- 窒素酸化物
- 鉛
- 溶剤
- 二酸化硫黄
- 硫酸
- 有機溶剤
- 溶接ヒューム
- 引火性有害化学物質など
2. 労働安全衛生に関する行政政策の実施に関して現在抱えている問題
途上国の多くが労働安全衛生管理に関する多数の問題を抱えている。スリランカにおいても工場監督技師や労働者らは類似した問題に直面している。主な問題の一部は以下のようなものである。
工場監督技師は、労働環境に関する問題の因子を測定する近代的な機器を持ち合わせていない。これら機器の多くは地方では手に入らない上に高価で、全ての地方担当官に十分な数を支給するのは不可能である。同様に、プログラムを実施する上で非常に重要な教材や視聴覚機器が地方担当官には入手できない。
安全センター:実際に使用されている一般的な機械の作業模型があると、労働者に安全衛生の細部まで説明できるため、非常に重宝である。しかし、作業模型の数も数個と限られており、コロンボにある本部の安全センターでしか使用することができない。
労働安全課で利用できる設備は数が限られている上、新人の工場監督技師は基本法令や工場監督、労働災害予防についての全般的な研修を受けなければならないが、職員不足のため着任後すぐに地方工場監督技師事務所に配属されてしまう。担当の地方で業務を行う中で、彼らは安全衛生に関する特殊な問題に数多く遭遇することになる。それらの問題は、工場監督専門技師による高度な調査が必要である場合が多いが、専門技師の数も足りないため労働安全衛生上の問題の改善には遅れが見られる。労働者に関しては、労働者の離職率が高いため、彼らの研修が工場監督技師にとって大きな問題になっている。また都市、農村共に、労働組織に加入していない労働者が多いことも問題を更に悪化させている。
また、工場法に基づく規則が不十分なため、工場法の施行自体に困難が生じている。しかし、この状況を乗り越えるために規則を整備する努力はされている。スリランカ政府は、労働安全衛生問題を初期段階で特定し、効果的な対策を実施できるような監督技師の育成や、問題のある分野を特定し、優先順位に沿った対処を可能にする統計データバンクの創設に関して先進国に支援を要請することも検討している。
最後に、折に触れて国際的なセミナーで意見を交換し、討議のフォローアップを行うことは価値あることだと申し上げて結びとしたい。
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