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ヘルスケア業界におけるダウンサイジングと構造変化
−被雇用者に対する健康的な作業環境づくりをどのように推進するか−

資料出所:Swedish Council for Working Life and Social Research発行
「Newsletter」 December 2002, No.4 p.2
(仮訳 国際安全衛生センター)

原文はこちら


 1990年代を通じて、スウェーデンでは、ヘルスケア業界で働く人々の数が大幅に減少した。この10年は、経営再編及び支出削減に対する要求が特に目立った期間であった。平均すると、ヘルスケア要員数は、スウェーデン雇用保証法(Swedish Security of Employment Act)の規定(最後に入社した者は最初に首になる)によって、主により低いレベルの仕事で働く補助的労働者及び若年労働者に対するレイオフの影響により、20%減少した。また、ヘルスケア業界での構造的変化は、より効果的な治療法が導入されたことにより、患者の入院日数が短期化したこと及び患者の回転率が上がったことが原因となり起こった。 

 スウェーデン中央部にある典型的地方病院が、今回の調査の対象に選ばれた。行政のフォローアップ調査(1994−1995−1997−1999−2001)結果によると、ヘルスケアスタッフ間における疲労感の増大は、この10年の後半に特に目立って観察された。生理学的調査(1997−1998 2つの部門で働く看護師及び医療事務員から集めた血液標本の分析による)によると、より低下した同化作用(身体作用の回復)のレベルと減退した健康状態を示す生物学的変化があることが明らかになった。さらに、平行して行われた定性的調査(1997、1998、2000、2001における、同一参加者に対する詳細なインタビューによる)の結果からは、労働負荷が大きいほどエネルギーが減少するということが、大枠で確認された。

 現在のこの調査は、病院全体に共通する構造的に不安定な状況を検証するとともに、特定の現場(診療部門)がなぜ、同じ状況下で経営上の変化を経験している他の部門に比べて、より健康的で効率よく機能する傾向があるのかを確認し、その理由を明らかにしようというものである。

研究者が今望んでいること

  1. 質問形式によるデータ(疲労、不安、無気力等に関する質問形式によるエネルギー指標)、病欠と人員の離職率、及び病院の経営管理者による外からの判断という一連の調査を行うことによって、現在の病院内において満足度が高くかつ安定した医療職場はどこかを特定すること。研究者は、これら全ての指標について、1994年以降の発展の動きを記述することで、ダウンサイジングとヘルスケア業界の再編という不安定な時期にもかかわらずより前向きに発展した診療部門を特定することができるだろう。

  2. 仕事の満足度が低く、病欠かつ離職率が高い部門と比べて、(満足度が高く安定した部門が)良い労働環境づくりに要したコストを計算する。

  3. 満足度が高くかつ安定した職場の特徴を見つけ出す。これは、調査対象部門のマネージャー及びスタッフを代表する人々へのインタビューによって行う。