このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。
国際安全衛生センタートップ国別情報(目次) > スウェーデン 職業関連性の筋骨格系障害

職業関連性の筋骨格系障害

資料出所:Swedish Council for Working Life and Social Research発行
「Newsletter」 December 2002, No.4 p.3
(仮訳 国際安全衛生センター)

原文はこちら



 職業関連性の筋骨格系障害は、この分野における大変な努力にもかかわらず、大きな広がりを持った問題となっている。障害を受けた個人のみならず社会全体にとっても重要な問題である。この障害の背景にある疾病メカニズムに関する知識は不十分である。しかし、最近のある研究モデルによると、身体と精神的ストレスとの相互関係に原因があるらしい。これは理論的には興味あるモデルであるが、経験にもとづく根拠は乏しい。そのため、身体的ストレスと精神的ストレスとの相互作用を、実際の労働環境に当てはめて考える必要がある。女性は男性よりも筋骨格系の愁訴が多いが、これが異なる勤務に従事しているためなのか、身体的または精神的ストレスに対する感受性の違いなのか、これらの要素間の相互作用なのかは明らかではない。

 この点で、性の違いによる研究は、同一作業に従事している男女について行う必要がある。この研究は、ゴム・プラスチック産業の同一作業で反復作業に従事している男女を調査する機会を研究者たちに提供することになった。

 このプロジェクトで提起された問題は次のようなものである。
  • 身体的暴露と筋骨格系障害/愁訴に男女間の違いがあるか。
  • 作業中・作業後における、肉体労作とストレス発生の程度に、男女間の違いがあるか、また、緊張をほぐしたりよく眠ったりする能力に個人差はあるか。
  • 身体的ストレスと精神的ストレスとの間に、関連または相互作用はあるのか。
  • 障害/愁訴に関し、身体的ストレスと精神的ストレスとの間に相互作用はあるのか。
  • その(身体的ストレスと精神的ストレスとの)関連は、性格的要素によって変化するか。
 関係部門で働く約120人のデータが、調査、インタビュー、首・肩および上肢の身体的検査によってまとめられる。

 肉体的労働荷重についての調査は、男女各30人の小集団に対して、EMG(筋電図)、頭/腕の傾斜測定、および手首の角度計測といった直接的な工学的計測によって行われる。身体的ストレスの調査は、被験者に疲労、ストレス、および回復について記録してもらい、そこから得られる主観的評価によって、また、唾液中(コルチゾール)および尿中(アドレナリン)のストレスのバイオマーカーを分析することによって行われる。さらに、ストレスレベルを測定するために、長時間心電図を使って心拍の変化も分析する。

 この研究は2002年を通じて実施され、男女それぞれの筋骨格系障害/愁訴に関連し、大きな話題となっている問題点に答えを出すものとなるだろう。