このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。
国際安全衛生センタートップ国別情報(目次) > スウェーデン 歯科医の手の湿疹と喘息

歯科医の手の湿疹と喘息

資料出所:Swedish Council for Working Life and Social Research発行
「Newsletter」 Nov. 2001 No.1 p.2
(訳 国際安全衛生センター)

原文はこちら

スウェーデンの"職業と社会調査評議会(FAS)"からの初めての英語によるニュースレターへようこそ。(Swedish Council for Working Life and Social Research)

歯科医の手の湿疹と喘息

歯科医は、手の湿疹にかかる危険性が高い。また、空気中を浮遊するアレルギー物質や刺激物質にも曝されており、アクリル樹脂起因の喘息の例も報告されている。しかしながら、そうした危険性の度合いとか、どんな作業環境関連の影響因子(水仕事、ゴム、アクリル樹脂等)に依るものなのかは、ハッキリしていない。

イエーテボリ大学のラース・バレガード教授(Prof. Lars Barregård)は、当評議会が資金を出している研究の主宰者であるが、この研究の目的は、こうした危険性の度合いをより明確に評価し、それにより、こうした危険防止の可能性を高めようというものである。この研究では、次の調査を進めている。

  • 手の湿疹の発生と作業環境、その他要因との関係。
  • 歯科治療でのゴム・アレルギーの発生と手袋を使用しないこととの関係。
  • 喘息の発生と作業環境の因果関係。
この研究は、1965年―1995年の間に登録された3千人を超えるスウェーデン人歯科医を対象としてまだ治療実務に携わっているかどうかに係わりなく行われている。既に、歯科医達は、特に湿疹と喘息に関する膨大な質問事項に回答している。自己申告による湿疹と自己申告による医学上の診断を経た喘息の発生は、質問事項回答データに基づき研究されている。

更に、調査対象集団での皮膚と気道の臨床診察を行っており、この作業は、あと2年ほどで完了する予定である。手袋を使用している場合と使用していない場合での手袋の耐性に関する調査結果が最近公表された(K.ラングショー (Wrangsjö, K.,)他、Br. J. デルマートル (Dermatol) 2001年出版、145頁物、 32‐37頁参照)。

一日当たり2時間を超える手袋の使用は、歯科医の73%と報告されており、天然ゴム製ラテックス手袋が最も一般的である。手袋を使用するのは耐え難い、と云う人は、23%に見られるという。手袋絡みの痒みは、臨床診察を受けた131人の歯科医中15人に確認(SPTおよびRASTによる)された。自己申告された手袋絡みの結膜炎、鼻炎それに喘息の方が、皮膚の痒みに対するよりも免疫グロブリンE(IgE)媒介のゴム・アレルギーとのより強い関連性を示した。


更に詳しい情報:

イエーテボリ大学職業と環境医学部教授ラース・バレガード゙。
Goteborg University, Dept of Occupational and Environmental Medicine.
Prof. Lars Barregård
E-mail; lars.barregard@ymk.gu.se