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リサイクル産業の作業環境の悪化
Recycling industry seems to get worse working environment

資料出所:National Institute for Working Life発行
「WORKING LIFE」Research and development news 2003年 No.3
(仮訳 国際安全衛生センター)

原文はこちら



 将来の工場では、"後方から前方へ"というように、ベルトコンベヤーは反対の方向に走る。すなわち最終製品から部品や原材料にむかう。サイクルが終わり、合理化ネジがきつく締められると同時に、作業環境には何が起こるのか。

 グーテンベルグ(イエテボリ)にある国立西労働生活研究所(National Institute for Working Life West)の研究員によると、資源の管理及び外部環境の良化は、必ずしも自動的に職場環境の良化に繋がるものではない。

 彼らはエルゴノミストに対して変わったアプローチを行った。すでに起こっていた問題の解決の代わりに、将来に注目した。まだ存在しない仕事に向かうとどんなリスクに出くわすのか。

 生産エルゴノミクスの調査班長であるJörgen Winkel教授は、調査研究員たちが、新たに起こってきたリサイクル産業において労働災害数を減らすことができ、仕事から遠ざかる人を少なくできることを望んでいる。2006年からリサイクルに関して製造者が全責任を負うことをEUが決めたことから、調査研究員たちはまず自動車のリサイクルに焦点を当てた。

 自動車組み立て産業と同じ程度の作業慣習を採用しているような近代的な自動車解体工場はきわめて少ない。国立西労働生活研究所の大学院生のKarolina Kazmierczakが、自動車解体産業の雇い主と従業員に2年前に面談したとき、古くなったり大破した車体を手で取り除いている会社があった。作業環境は普通であった。重量物を持ち上げたり、不自然な作業姿勢が生じるが、回復のために十分な時間がとれる作業ペースだった。

 しかし、困難な時代が前に控えている。EUの規則によると、製造者の責任に加えて、2006年からは車両重量の少なくとも85%をリサイクルすることになっており、2015年からはその規制はもっと厳しくなり、95%をリサイクルすることになる。

 「車両解体業者が本質的な価値がなくなった部品をも解体しなければならなくなれば、産業全体も変化するであろう」とKazmierczak氏は言う。 厳しいリサイクルの必要性は利潤の低減をもたらし、代わりに作業の合理化圧力を強める。

 「この過程が作業環境を悪化させるリスクとなる」とJörgen Winkel教授は述べている。今日の製造業が現在テイラー主義者の原理に基づいて組み立てたライン作業を再導入するのと同じ方法でやれば、将来の後方(製品工程)から前方(原料工程)へ向かう工場が、昔のエルゴノミクスの間違いを繰り返すような体系となってしまうリスクを有している。

 多くの仕事では肉体労働が減少しているにも拘らず、負荷傷害は依然としてある。


この記事の出典 National Institute for Working Life発行「WORKING LIFE」 2003年 No.3 は国際安全衛生センターの図書館が閉鎖となりましたのでご覧いただけません。