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定年前退職

資料出所:National Institute for Working Life発行
「WORKING LIFE」 2001年 No.4
(訳 国際安全衛生センター)

原文はこちら


スウェーデン国立生活労働研究所(the Swedish National Institute for Working Life)の報告書によれば、スウェーデンの男女の大半は、定年年齢到達前に徐々に仕事にけりをつけ、働くのを止めることを考えているようだという。


とはいえ、職業生活のいろいろな側面に関する300余りの質問に回答を寄せた25−75歳の3,500人の男女は、仕事が全てではないし、仕事の終わりが全人生の終わりということではないけれども、仕事が重要であることには同意しているように思える。「年齢にふさわしい職業生活」研究によれば、質問状への回答者のほぼ半数が、定年年齢到達前に働くのを止めようと考えているようである。

スウェーデン国立労働研究所の研究員マルガレータ・トールゲン(Dr. Margareta Torgen)博士とスタファン・マルクルンド(Prof. Staffan Marklund)教授は「将来、こうした問題の解決には、従業員のみならず事業者も同じく、誰もが調整をする必要があるでしよう。」との見解を述べている。

研究者は、昔から労働弱者の集団は、今やっている仕事以上のことをやる能力は殆ど持ってはいないと考えているが、要求される仕事の量は、肉体労働・知能労働共、将来減ることはなく、むしろ増える傾向にあることが示されている。問題は、一体誰が65歳まで、あるいは、それよりも更に2-3年長く何とか働き通せるだろうかということである。

トールゲン博士とマルクルンド教授は「仕事をする時間を変えたり、能力開発により仕事の中身を変えることが出来ると云った柔軟な対応をすれば、現在苦しさに耐えている看護助手も定年まで働くことができる。」と云っている。

しかしながら、一方では、雇用する側から見ても魅力的で、将来は更に良くなりそうな人達は、教育レベルも高く、既によい収入を得ており、自身の処し方も自由に選べる特権的な個人が存在しているのである。こうした人々にとっては、より高い報酬とか技能習得訓練は、特に重要なものではなく、仕事そのものが魅力的かどうかである。

更に、トールゲン博士とマルクルンド教授は「こうした人々の場合には、柔軟で、個人を尊重する対応が彼等を仕事に留まらせることになるだろう。」「雇用する側は、こうした強者に殊更強い関心を寄せているようだ。」と云う。

また、この研究では、年齢による態度の違いを明らかにしている。若い回答者は、高年齢の回答者よりも年齢の違いに関し、より寛容であり、また、女性の方が男性よりもより寛容である。若い回答者は、余暇と家族とに大きな価値をおき、家族とより多くの時間を過ごしたいとはっきり言う。報酬を受ける仕事に従事していない65歳超の回答者のうち、20パーセントは、元の職場のトップの地位に入り込み、良き助言者として振舞うことを考えているようである。

通常の定年年齢まで働くことが出来ると信じている人達は、健康に恵まれ、新しい技能を習得し、仕事の幅を広げる機会を持っている。また、こうした人々は、自分より上手の人から非常によい指導を受けていると云う。これは、45−65歳の女性に特に当てはまる例である。

Judit Hadnagy (フデイト・ハドナイ)


本件に関し更に情報を得たい方は、下記に連絡下さい。
Dr. Margareta Torgen, Phone +46 8-730 92 94,
e-mail Margareta.Torgen@niwl.se
Professor Staffan Marklund, Phone +46 8-730 93 21,
e-mail Staffan.Marklund@niwl.se


この記事の出典 National Institute for Working Life発行「WORKING LIFE」 2001年 No.4 は国際安全衛生センターの図書館が閉鎖となりましたのでご覧いただけません。