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看護作業における事故の危険度は通常の6倍も高い

資料出所:National Institute for Working Life発行
「WORKING LIFE」 2000年 No.1
(訳 国際安全衛生センター)

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登録された補助看護師は、職場の事故で怪我をする危険度が、スウェーデンで報酬を得て働く他の女性に比べて6倍も高い。ほとんどの事故が患者を移動させるときに起こっており、対策としては組織上の諸条件と物理的な職場環境に焦点を絞るべきである。

これは職場理学療法士インガリル・エンクヴィスト(Inga-Lill Engkvist)の、「看護師に見られる過重な労働により背部の傷害をおこす事故(Accidents leading to over-exertion back injuries among nursing personnel)」と題した論文の結論である。

正規看護師の偶発的な怪我をするリスクはこれほど大きくはないが、その差は小さい。しかしながら、スウェーデンでは正規看護師が、看護にあたる際、重い物を抱き上げる作業に携わるケースがますます増えている。

エンクヴィストの研究は、物理的な作業環境の欠陥が、障害の主なリスク要素であることを示している。スペースは狭く、移動補助装置もほとんど備わっておらず、介護者は自分たちを危険にさらすような方法での作業を余儀なくされている。

リスクを一番はっきり示す指標としては、常に患者を移動させ、フルタイムで働く整形外科の作業が挙げられる。

「パートタイムの看護師も、フルタイムと同じ数の患者を移動させている」とエンクヴィストは言う。「パートタイマーには回復時間が多くあると考えている人がいるかも知れないが、それは全く推測に過ぎない」

患者を移動する際のリスクはよく知られている。エンクヴィストが驚いたのは、患者の移動作業全体において緊急を要したケースはわずか11%であり、残りの作業はあらかじめ予定されたものであったことだ。事前に作業の内容がわかっているにも拘わらず、うまく作業が運ばないのは、移動補助装置がないことや、ベッドやトイレの周りにスペースがなく、作業の性質から緊張を強いられるという点に原因があると推測される。この調査結果は、たとえば、労働時間、使いやすい移動補助装置の追加、その使用方法の訓練といった組織上の諸条件とあわせ、物理的な作業環境について、障害防止対策を早急に講ずべきことを示唆している。

Judit Hadnagy (フデイト・ハドナイ)

詳細についてはInga-Lill Engkvistまで照会されたし。
電話:+46 8 -730 97 35、 e-mail: Inga-Lill.Engkvist@niwl.se


この記事の出典 National Institute for Working Life発行「WORKING LIFE」 2000年 No.1 は国際安全衛生センターの図書館が閉鎖となりましたのでご覧いただけません。