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教員間に増大する健康問題とストレス

資料出所:National Institute for Working Life発行
「WORKING LIFE」 2000年 No.2
(訳 国際安全衛生センター)

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スウェーデンの教員の20%が、深刻な健康問題と長期的な病休のリスクを負っている。スウェーデン国立労働生活研究所が実施した研究プロジェクトで明らかになった。

1990年代の全国的な労働環境に関するデータを整理した結果、学校の教員のなかで、労働量、疲労感、あきらめ感、不信感が急速に増大し、特に後期中等教育に携わる女性教員に顕著なことが分かった。たとえば、後期中等教育の女性教員のなかで、仕事に行きたくないと感じる人の割合は、1993年の16%から1997年の30%へと倍増している。

これは憂慮すべき事態である。公的部門の経済状況が改善したにもかかわらず、予測に反して、この傾向に前向きの変化がみられない。これはGunnar Aronsson教授と、スウェーデン国立労働生活研究所のInger Ohlsson所長が論文で示した見解である。

大半の教員は、有意義な仕事をしていると信じており、また仕事の進め方に自らの影響力を行使できると感じているが、1990年代を通じて仕事量は大幅に増大し、学校経営者の側からのサポートは十分ではなかった。Aronsson教授とOhlsson所長は、社会的サポートによってストレスと健康への影響は低減できるにもかかわらず、この点で学校には大きな不備があると述べる。

教授らは、学校と教員の労働には二つの大きな特徴があり、これが健康問題の増大に関係しているとする。一つは、教員の生活・労働の場である組織は、相対立する目的と利害関係に満ちており、そこでは定義することの難しい作業の数が増えている。たとえば教員は、新しい学校の仕事を開発しながら、同時に自治体の予算を節約するよう求められる。

二つ目の特徴は、つねに高い注意力と集中力を求められる点である。教員は教室内の視線が集中する中心的存在であり、したがって、リラックスし、精力を回復し、仕事を忘れるための場所が特に必要である。だが学校にはそうした環境がほとんどない。研究によると、集中力を要する仕事には開放型のオフィスは不適切であるとされているが、学校ではこうした必要性が無視されていると教授らは主張する。


Lena Skiöld (レナ・スキヨルト)


この記事の出典National Institute for Working Life発行「WORKING LIFE」 2000年 No.2は国際安全衛生センターの図書館が閉鎖となりましたのでご覧いただけません。