このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。
国際安全衛生センタートップ国別情報(目次) > スウェーデン 主要な在宅勤務の形態

主要な在宅勤務の形態

資料出所:National Institute for Working Life発行
「WORKING LIFE」 2000年 No.1
(訳 国際安全衛生センター)

原文はこちら

在宅勤務はEU内で増加しつつあるが、その形態は国ごとに大きく異なっている。また、人々が通常の勤務場所以外で働く時間も、減少する兆しを見せている。

このことは、「ワークライフ2000」プロジェクトが開催したワークショップでも示された。このプロジェクトは、職場での生活の問題に関する専門的知識を集めて、2001年にスウェーデンがEU議長国になった時点で開催が予定されている「ワークライフ2000会議」のベースとすることを意図している。このプロジェクトを主催する組織の一つが、国立職業生活研究所(National Institute for Working Life)である。

1999年に、EUには大まかに見て900万人の在宅勤務者がいたが、これは総労働人口の約6%に相当した。この数字はかつてないほど大きなものであったが、その増加率は多くの人が予想したほどのものではなかった。

また国ごとに大きな差異が見られる。在宅勤務はヨーロッパ北部の国々で最も普及しているが、これらの国ではコンピューターの普及率が高い。特に北欧諸国とオランダにこの傾向が強い。。デンマーク工科大学のイェレミ・ミラード[Jeremy Millard]によると、フィンランドでは、フルタイムとパートタイムを合わせて約17%が在宅勤務者であり、スウェーデンではこの割合が15%である。スペインとフランスにおけるこの数字は、おおむね3%ほどである。

ワークショップで明らかになったのは、在宅勤務者というのが概して大企業の高学歴の男性であるということであった。スウェーデン産業技術開発国家委員会(National Board of Institutional and Technical Development,NUTEK)のエバ・トルスルントが発表した論文が明らかにしたように、在宅勤務に一番高い関心を示すのは、町の起業家たちであることが多い。 トルスルントによると在宅勤務は、人口の少ない地域で仕事を確保したり創出するために利用される傾向はない。

ワークショップ参加者もその多くが、在宅勤務そのものは新たな雇用の創出に関しては特に効果はないという点で意見が一致している。一番重要なことは、新しく、よりフレキシブルな仕事のあり方としての在宅勤務がもつインパクトである。

また同時に、在宅勤務に対する関心は低下傾向にあるかも知れないと思わせる兆候もある。スウェーデンの会社プレヴィアのカール・アボルクは、パートタイムの事務系在宅勤務者を調査したが、それによると多くが在宅勤務の時間を徐々に減らしていることが判明した。調査対象となった人々の多くにとって、調査の時期は職場の縮小の時期と重なっているが、アボルクの説明によると一つの理由は、人間というものが、現場で自分の目で物事の動きを見たいという気持ちが強いからではないかと言う。

「在宅勤務者の同僚も、必ずしも在宅勤務を歓迎していない。オフィスにいる同僚は、在宅勤務者に代わって仕事をしたり、ファックスを送ったり、訪問客の応対をしなければならなかった。」とアボルクは言う。

アボルクは論文の中で、在宅勤務者はオフィスで仕事をする場合に比べて、長時間働くことが多いと述べている。在宅勤務者たちは、自分たちがずっと効率的に仕事をしていると感じているが、アボルクによれば在宅勤務者たちが単に、他の人より仕事量が多いからに過ぎないようだ。

今後どのようなことが求められるか?いくつかのポイントがワークショップでまとめられた。

  • より多くのサンプルに基づいた、より優れた統計。情勢は急激に変化するのでスピード も重要である。データベースが有効であろう。
  • 在宅勤務の動向の社会経済的な背景に注目することが大切である。
  • 在宅勤務に関する法制を明確にする必要がある。なぜなら、伝統的な労働市場の規制と 労働協約は、この種の業務にはほとんど対応していないからである。

Lena Skiöld (レナ・スキヨルト)


詳細についてはLars Grönkvistまで照会されたし。
電話:+46 8 681 91 00、 e-mail: Lars.Gronkvist@nutek.se


この記事の出典 National Institute for Working Life発行「WORKING LIFE」 2000年 No.1 は国際安全衛生センターの図書館が閉鎖となりましたのでご覧いただけません。