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低分子エポキシ化合物への接触アレルギー

資料出所:Swedish Council for work Life Research発行
「Newsletter」1999-2
(訳 国際安全衛生センター)

(国際安全衛生センター注)
エポキシ樹脂の接触アレルギーについては、従来ビスフェノールA樹脂について多くの報告が見られますが、この記事はビスフェノールF樹脂について、その症例等に触れています。



エポキシ樹脂は、建設、塗料など、さまざまな分野で広く使用されている。航空機製造など、エポキシ樹脂を使用する多くの産業では、手作業での製造方式が必要になる。エポキシ樹脂の多くは、ビスフェノールAジグリセリド・エーテル(DGEBA)を基にしている。しかし、樹脂のなかには、ビスフェノールFジグリセリド・エーテル(DGEBF、ビスフェノールF樹脂)がもっとも重要な成分となっているものもある。後者のタイプの樹脂は、エポキシ・ノボラクとも呼ばれている。樹脂は、ガラスまたは炭素繊維と化合させることもできる。

健康に障害を及ぼすことが証明されているのは、主としてモノマーのDGEBAで、接触アレルギーの原因となり、したがって皮膚がこれに接触した場合は、湿疹の原因ともなる。DGEBAは、長い間、患者が特定物質への接触アレルギーをもっているかを検査する際の、検査用標準系とされてきた。

ビスフェノールFについては、広く使用されているにもかかわらず、ほとんど研究対象になっていなかった。ところが、航空機産業を中心に、この樹脂に対する接触アレルギーの症例が発見されたため、マルメ大学の職業性皮膚科学部で研究プロジェクトが開始された。1997年1月にビスフェノールFが標準系列に組み入れられたため、これに対するアレルギーの発生頻度はどの程度か、ビスフェノールFの試験がなければ発見できない職業性の接触アレルギーの症例があるか否かについて、ある程度の解明が可能になった。

予備試験データから、患者はビスフェノールA樹脂とビスフェノールF樹脂に同時に感作する場合が多いことが分かる。ただし、ビスフェノールF樹脂だけに接触アレルギーを起こす症例もあり、その場合、患者は職業上、ビスフェノールFを含むエポキシ樹脂に接触していることが明らかになっている。

ビスフェノールF樹脂は、同一分子の3つの異性体を含んでいる。一番多いのはどの種類か、接触アレルギーのリスクが高いのはどの種類かは、いずれも不明である。したがって、上述の研究プロジェクトでは、試験物質のより正確な把握を主たる目的として、ビスフェノールFの異性体を確定、精製するための化学分析も行なわれる。

エポキシ樹脂中の物質への接触アレルギーの発生数、ならびにその化学的性質のより詳しい情報が得られれば、職場のアレルギー物質を把握する確立が高まる。そして職業性のアレルギー性接触皮膚炎の治療と予防も可能になる。

詳細な情報は以下で入手できる。
Magnus Bruze or Ann Ponten, Institute of Dermatology,University Hospital MAS, SE−205 02 Malmo Sweden,
Tel +46 40 33 65 16     Fax +46 40 33 62 13