このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。
国際安全衛生センタートップ国別情報(目次) > 台湾『安全な作業環境』4ヵ年政策計画要綱(2001−2004年)
『安全な作業環境』4ヵ年政策計画要綱(2001−2004年)
行政院労工委員会

(資料出所:海外情報調査員報告 2000年11月 林熾昌)



労働災害の急速な増加に鑑み、労働省行政院労工委員会は2001年ー2004年の4年間、『安全な作業環境』を題として4ヵ年労働安全対策を確立、公表した。その主な内容を要約する: 

『安全な作業環境』4ヵ年政策計画要綱(2001−2004年)


第1 環境事情解析と直面する課題


1 環境事情解析


(1) 労働災害と作業安全衛生問題解析について

安全衛生施策の遂行は人命尊重の現れであり、人間社会の安定の維持、経済発展にも大いに影響を与える。経済の継続の発展、労働人口の急速増加に伴う労働災害の頻発に鑑み、行政院労工委員会は『労働安全衛生強化対策要綱』、『作業安全に伴い災害をゼロに』、『労働安全、産業向上の促進施策要綱』等を労働安全施策の縦軸として打ち出し、施行以来、官民一体の協力の下に、労働災害は著しく降下の傾向が見られ、我国の災害千人率は、1987年の5.91から1998年の3.86に減少した。ただし、1998年を例として見ますと、年間全産業で29095人の死傷者があり、言い換えれば平均1時間毎に3人ほどの労働者が災害で傷害、廃疾又は死亡する事になる。直接、間接の巨大なる損失を除く労働者保険給付金額も68.5億元(日本円=226億円)に達し、労働災害を如何に減少するかということは、我々がただちに検討、努力すべき課題になる。


(2) 産業の発展と国際化の対応について

イ) 近年国内産業の急速発展に伴い、生産向上の必要に応じ、新規化学物質、技術、大型且つ複雑なシステムが産業現場に導入され、この巨大な転換に於いて、尚更危険リスクの制御が難しくなり、ある研究レポートによりますと、この十年以来、国内の産業構造は経済発展と政府の経済施策の互いの影響を受け、大いに変化し、1989年全産業労働人口の44.9%を占めるサービス業の労働人口が1999年に全産業労働人口の55.8%に急増、逆に、工業的産業は42.2%から37.2%に減り、労働者数も7.2%減少の傾向が見られた。将来に向かっては、就業人口の動きは、製造業からサービス業へ、電子、半導体、化学、機械、電気産業等ハイテック産業の労働者の不足の問題が考えられると共に、農業、林業、水産、牧畜業労働者が減少する可能性も一大課題になる。

ロ) 現地点で効果的に安全衛生を促進するには、生産部門のラインを先ず始めとして、自分自身が安全衛生責任を担い、ボトムアップを進め、愛を発揮し、人を元に、労使双方の協力の下で安全衛生を推進する事を願いたい:使用者は自ら安全衛生計画書を作成し、安全衛生の経営理念を固めると共に、所属の部下に権限を与え、提案制度を確立し、人々が自主的に安全衛生に参加するモラールを築き、これを以て労働者の有益感の向上、ストレスの開放、更に健康の促進を願いたい。


ハ) 現在、安全衛生問題は国際的になり、EUでは一系列の指令を作成し、例えば機械、保護具等の安全衛生指令(CE指令)、BS8800安全衛生規格の遂行、貿易活動或いは国際交流の場を借りて各国の安全衛生規格に影響を与え国際標準化機構(ISO)も『職業安全衛生規格』を積極的に制定、又経済、貿易を目的とする世界貿易機関(WTO)も類似的な規格に力を尽くしてきた。



2 優先的に発展すべき課題


 労働者の死傷災害の減少および職業疾病の防止に鑑み、次の原則を以て、発展すべき課題を『安全な作業環境』とする。

(1) 労働安全衛生政策を確立し、労働安全衛生自主管理組織体系の強化、労働安全衛生法令を徹底させ、以て効果的に労働災害の防止、労働者の安全と健康を確保する。


(2)労使双方の利益を併せて考え、社会の発展事情を酌量し、速やかに、積極的に対応策を取り入れ、安全で衛生的かつ快適な環境を築き、以て作業品質の向上、国家の競争力を促進する。


第2 当面の施策、実施計画の目標と重点項目の配分について

(1) 労働安全衛生法体系と安全衛生管理体制の確立

イ 38種類の行政命令の改正、合理化

ロ プレス等6種類の型式検定の強化、以て本質安全を深める。

ハ 365健康診断機関の管理の強化、以て健康診断の精度を向上させる。

ニ 120種類の職業病認定基準を作成することとする。

ホ 新規に安全衛生法適用事業者に対し広報を強化する。
(2) 安全衛生のモラールの高揚、安全衛生活動の強化

イ 地域安全衛生協力団体活動の拡張、13地域団体の機械災害防止協力組織を設ける。

ロ 安全衛生管理者、環境測定者の技能検定制度を確立する。

ハ フォークリフト、研磨機等を購入する事業者に融資制度を確立する。 

ニ 安全衛生活動に特別優秀な業績のある事業者を表彰する。

ホ 大学、高校等の研究室、実験室、実習工場の安全衛生を強化する。

ヘ 30000名季節労働者に対しての安全衛生の教育。

(3) 機械、器具型式検定の強化、自ら本質安全を確立する。

イ 機械、器具の表示制度の遂行、プレス、シャー、木材加工機械、フォークリフト、研磨機の型式検定ならびに安全 標示の掲示等の促進。

ロ 特定機械、設備の製造品質管理制度の確立。

(4) 職業性疾病防止の強化、以て職業病を減少する。

1 MSDS制度の施行以来、既に640種類のデータベースが作成された。この施策に伴い、1600余人の社員が必要な教育訓練を受けてきた。今後も引き続き促進することとする。

2 本省に設けているネットワークにも、年間約12000件の利用者が見られる。

3 引き続き環境測定を強化し、20環境測定機関の管理、化学分析室の分析技能を向上させ、民間業者への委託分析作業を進める。

4 事業者の危険因子の判断技能を高めるため、技術士制度を設け、1994年以来、既に1128人がこの資格を獲得している。今後も引き続きこの技能検定を進める。

5 健康診断制度の徹底については、520健康診断医療機関の管理を強化し、常に労働者の健康診断を進めること。

6 1995年に組織した職業性疾病鑑定委員会は、労使双方の職業性疾病にかかわる認定を、年間6件の争いの判定に力を尽くしてきた、今後も続いて発揮すべきとする。

7 産業医の教育を強化し、健康診断の能力を向上させ、労使間の職業病の争いを減少せしめる。