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台湾の労働者、皮膚炎への罹患11万人に達す

資料出所:海外情報調査員報告 2001年1月 林熾昌



 建設事業の一大功労者―コンクリート作業者は、この建設業の景気不況の波に曝され、多大な負担に加え、長期間のセメント中のクロムとの接触のせいで、慢性皮膚炎患者が増加しつつある。
 調査によると、国内の約11万名以上の労働者は皮膚炎に罹患しているといわれている。ここで心配されるのは、これらの労働者が今後コンクリート作業者でなくなっても、一旦クロム含有清潔剤と接触すると、又皮膚炎の再発の恐れがあるといわれていることである。
 中華民国公共衛生雑誌に登載している国際研究報告によると、成功大学医学院職業病防治センターと労工委員会と共同で、台湾南部の2000余名のコンクリート作業者についてアンケートを行い、その有効回答数は1230件、そのうち男性が669件、女性が561件であった。
 同センターの教授郭氏によると、調査内容は、詳細な皮膚の検診の他、皮膚が一般の化学物質に対して、アレルギー症状を起こしうるかのパッチテストを含んでいるという。
 その結果、男性コンクリート作業者については、約14%は作業に起因する皮膚炎の疑いがあり、痒みの他、重い場合には、脱皮、膨らみ、並びに亀裂を起こし、ひどい痛みを伴う。しかしながら、女性は平素から皮膚をきちんと保護しているので、9%の患者にとどまっている。
 郭氏は、皮膚パッチテストによって16%の労働者にクロムによる過敏症状がみられるが、一般産業の労働者は僅か5%しかみられず、コンクリート作業者は一般労働者の2倍余りであるとしている。
 一旦クロムに対して過敏反応を起こして皮膚炎になると、一生涯クロムに過敏となる、と郭氏は指摘している。又、生活環境には多くのクロム含有製品があり、彼らはコンクリート作業をやめても、クロムとの接触から逃れない限り、頻繁に皮膚炎にかかる恐れからも逃れられないこととなる。
 労工委員会の統計資料によると、全国のコンクリート作業者数は83万2000人であり、この数値で推定すると、全国に約11万余人の皮膚炎患者がいるといえよう。