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労働保護法
(1998年)


    (資料出所:International Translation Office発行 「Labour Protection Act」)
(仮訳 国際安全衛生センター)
   
   


   

第5章
賃金、時間外賃金、休日賃金、休日時間外賃金


       
    第53条 労働の性質と質、量が同じ場合は、使用者は労働者の性別に関わらず、賃金、時間外賃金、休日賃金、休日時間外賃金を労働者に平等に定めなければならない。
   
    第54条 使用者は、手形または外貨での支払いについて労働者の合意を得ている場合を除いて、賃金、時間外賃金、休日賃金、休日時間外賃金、その他の労働による金銭的報酬をタイ通貨で労働者に支払わなければならない。
   
    第55条 使用者は労働者の作業場で賃金、時間外賃金、休日賃金、休日時間外賃金、その他の労働による金銭的報酬を労働者に支払わなければならない。支払いが別の場所または別の方法で行なわれる場合は、労働者の合意が得られなければならない。
   
    第56条 使用者は以下の休日について労働日の賃金と同じ額を労働者に支払わなければならない:
    (1) 週休。ただし日給、時給、または労働成果に従い単位計算した賃金を受け取る労働者を除く。
    (2) 慣習的休日。
    (3) 年次休暇(an annual leave holiday)。
   
    第57条 使用者は第32条の下に傷病療休暇を取った労働者に対し、その休暇期間中は労働日の賃金に等しい額を支払わなければならない。しかし、この休暇は年間30日を超えてはならない。
    労働者が第33条に基づき不妊治療手術のための休暇を取る権利を行使した場合、使用者はその日にも同様に労働者に賃金を支払わなければならない。
   
    第58条 使用者は第35条の下に兵役休暇を取得している労働者には労働日と同じ賃金をその全日について支払わなければならない。ただし、この休暇は年間60日を超えてはならない。
   
    第59条 使用者は産休中の女性労働者にその休暇中は労働日と同額の賃金を支払わなければならない。しかし、この休暇は45日を超えてはならない。
    (注) 年次休暇と特別休暇が有給休暇ということになる。
   
    第60条 第56、57、58、59、71、72条に基づく賃金について、労働者が労働成果に応じて単位計算で賃金を受け取る場合、使用者は労働者が休日または有給休暇前の賃金支払い日に受け取った労働日の平均賃金に等しい賃金を休日または有給休暇(leave day)について労働者に支払わなければならない。
   
    第61条 使用者が労働者に労働日の時間外労働をさせた場合、使用者は労働時間に従い労働日の時間給の1.5倍以上、または労働成果に従い単位計算した賃金の支払いを受けている労働者については労働成果に従い労働日の単位給の1.5倍以上の時間外賃金を労働者に支払わなければならない。
   
    第62条 使用者が第28、29、30条に従い労働者に休日労働させた場合、使用者は以下の割合で労働者に休日賃金を支払わなければならない。
    (1) 休日賃金を受け取る資格のある労働者については労働時間に比例して労働日の時間給の1倍以上、労働成果に従い単位給で賃金の支払いを受けている労働者については労働成果に従い労働日の単位給の1倍以上の付加賃金が支払われなければならない。
    (2) 休日賃金を受け取る資格のない労働者については労働時間に比例して労働日の時間給の2倍以上、または労働成果に従い単位給で賃金の支払いを受けている労働者については労働成果に従い労働日の単位給の2倍以上の賃金が支払われなければならない。
   
    第63条 使用者が労働者に休日時間外労働をさせた場合、使用者は労働時間に比例して労働日の時給の3倍以上、または労働成果に従い単位給で賃金の支払いを受けている労働者については労働成果に従い労働日の単位給の3倍以上の賃金を支払わなければならない。
   
    第64条 使用者が労働者が休憩時間を取れるようにしなかったり、第28、29、30条の下に定められた時間未満の休憩時間しか設けなかった場合、使用者は労働者に休日労働を命じたのと同様に、第62、63条に定められた割合で労働者に休日賃金または休日時間外賃金を支払わなければならない。
   
    第65条 以下の権限と義務を負う労働者、または使用者から以下の仕事をする指示を受けている労働者は、第61条に基づき時間外賃金、第63条に基づき休日時間外賃金を受け取る資格はない。しかし、使用者から(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)に基づき業務を行なうように指示を受けている労働者は労働時間に応じて労働日の時間給に等しい報酬を受け取る資格がある。
    (1) 雇用、報酬の支払い、賃金削減、雇用中止について使用者の代わりに行動する権限と義務を負う労働者。
    (2) 列車に対して行なう業務と列車の運行を円滑にする業務から成る鉄道業務準備作業。
    (3) 水門または放水門の開閉業務。
    (4) 水位を読み、水量を計測する業務。
    (5) 消火業務または公的災害防止業務
    (6) 戸外で行なう必要のある業務や、業務の性質上業務時間が定められない業務。
    (7) 労働者の通常業務ではない場所や財産の監視のための交替制業務。
    (8) 大臣規則に定められたその他の業務。
    これらは全て使用者が時間外賃金または休日賃金の労働者への支払いに合意しない場合の規定である。
   
    第66条 第65条(1)の労働者は、使用者が同労働者への休日賃金の支払いに合意しなければ第62条の下に休日賃金を受け取る資格はない。
   
    第67条 使用者が第119条に基づく労働者の過失ではない理由で雇用を終了した場合、使用者は第30条に基づいて貯めた年次休暇も含めて労働者の権利である年次休暇数に従い、雇用終了年の年次休暇について労働者に賃金を支払わなければならない。
   
    第68条 時間外賃金、休日賃金、休日時間外賃金の計算について、労働者が月給を受け取っている場合は、「労働日の時間給」は日数の30と労働日1日の平均労働時間を乗じたもので月給を割った数を指す。
   
    第69条 時間外賃金の計算について、使用者が通常の1週当たり労働時間を決定している場合、慣習的休日、有給休暇は労働日として数える。
   
    第70条 使用者は賃金、時間外賃金、休日賃金、休日時間外賃金を正確に以下の期限に従って支払わなければならない:
    (1) 賃金が週、日、時間、1か月を超えないその他の時間単位で計算される場合、または労働成果が単位当たりで計算される場合、労働者の利益となるようなそれ以外の合意がなければ、支払いは月1回以上でなければならない。
    (2) 賃金が(1)以外で計算される場合、支払いは労使間で合意した期限に従って支払われなければならない。
    (3) 時間外賃金、休日賃金、休日時間外賃金は月1回以上支払われなければならない。
    使用者が労働者の雇用を終了する場合、使用者は労働者が受け取る資格のある賃金、時間外賃金、休日賃金、休日時間外賃金を雇用終了日から起算して3日以内に労働者に支払わなければならない。
   
    第71条 使用者が労働者に通常の業務地域以外での業務のために休日に出張を命じた場合、使用者は出張に関して第56条(1)に従い休日時間外賃金を受け取る資格のない労働者に労働日の賃金に等しい賃金を支払わなければならない。
   
    第72条 使用者が労働者に通常の業務地域以外での業務のために出張を命じた場合、労働者は第61条に基づき時間外賃金を、第63条に基づき休日時間外賃金を受け取る資格はない。しかし、休日の出張については、使用者が労働者に時間外賃金または休日時間外賃金を支払うことに合意しなければ、使用者は第56条(1)の下に休日賃金を受け取る資格のない労働者に対し労働日の賃金に等しい賃金を支払わなければならない。
   
    第73条 使用者は第71、72条に基づき出張費用を支払わなければならない。
   
    第74条 使用者が第61、62、63条に定められた割合より高い時間外、休日、休日時間外賃金の支払いに合意する場合は、その旨の合意がなければならない。
   
    第75条 使用者が天災以外の理由で事業の全てまたは一部を一時的に中止する必要がある場合、使用者は労働者に仕事をさせなかった期間は事業中止前に労働者が受け取っていた労働日の賃金の50%以上を労働者に支払わなければならない。
    使用者は労働者と労働監督官に1項に基づく事業の開始日と中止日を知らせなければならない。
   
    第76条 使用者は以下の理由のための天引き以外は、賃金、時間外賃金、休日賃金、休日時間外賃金を天引きしてはならない。
    (1) 労働者が支払わなければならない所得税、法律で定められているその他の支払い。
    (2) 労働組合の条項の下に定められる労働組合費。
    (3) 事前に労働者の合意が得られている、共済組合費またはそれと同じ性質の組合費、労働者の福利厚生のためだけの負債。
    (4) 労働者の合意が得られている、第10条に基づく保証金または労働者が故意または著しい不注意で起こした損害に対する使用者への弁償金。
    (5) 貯蓄基金との契約に基づく積立金。
    (2)(3)(4)(5)に基づく天引きについては、労働者の合意が得られなければ、10%を超える天引きはしてはならず、差引き合計は労働者が第70条に基づき支払い期限に受け取る資格のある金額の5分の1を超えてはならない。
   
    第77条 使用者が第54、55条に基づく支払いについて、第76条に基づく天引きについて労働者の合意を得なければならない場合や、労働者との間に合意がある場合、使用者は両者の契約または合意に関して明確に書面で示し、労働者に書面を渡して署名をさせなければならない。