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労働保護法
(1998年)


    (資料出所:International Translation Office発行 「Labour Protection Act」)
(仮訳 国際安全衛生センター)
   
   


   

第6章
賃金委員会


      
    第78条 労働社会福祉省次官(permanent secretary)を委員長とし、内閣に任命された政府委員4人、使用者代表5人、労働者代表5人、大臣から書記官として任命された労働社会福祉省職員で構成される賃金委員会を設置しなければならない。
    1項の下に使用者代表、労働者代表を決める基準と過程は、大臣の定める規則に従わなけ
    ればならない。
   
    第79条 賃金委員会は以下の権限と責務を負う:
    (1) 賃金政策に関連して内閣に提言する。
    (2) 賃金の決定と年間賃金の補正に関連して民間組織に勧告するために内閣に提言する。
    (3) 基本最低賃金率を決定する。
    (4) 労働者が経済社会状況に即して受け取らなければならない最低賃金率を決定する。
    (5) 賃金システムの発展について内閣に提言する。
    (6) 民間組織の多様な機関の利害の調整について学術的勧告と指針を与える。
    (7) 賃金の現状と賃金の動向、行なうべき施策に関連して最低年1回大臣に報告する。
    (8) 賃金委員会の権限と責務として、または内閣または大臣の命に従い、本法またはその他の法律で示された内容を実行する。
    内閣に提言する際、賃金委員会は国家の歳入システムの発展についての見解を併せて示してもよい。
   
    第80条 内閣に任命された賃金委員会委員の任期は2年とする。任期を満了した委員が再び任命されることもある。
    内閣に任命された賃金委員会委員が任期満了前に辞職した場合、内閣はその代わりに同じ分野の委員を任命し、任命された委員は前任者の残した任期を務める。その委員の残りの任期が1年未満である場合、代理の委員が任命されないこともある。
    内閣に任命された賃金委員会委員が任期満了と共に辞職し新しい委員がまだ任命されていない場合、その委員は新しい委員が任命され交替するまで任務を遂行しなければならない。任命は前任者が辞職してから90日以内に行なわなければならない。
   
    第81条 内閣に任命された賃金委員会委員は、第80条の下に任期満了で辞職した場合とは別に以下の場合に辞職する。
    (1) 死亡した場合。
    (2) 辞任した場合。
    (3) 3回連続して定期会合を適切な理由無く欠席したことにより内閣から除名された場合。
    (4) 破産した場合。
    (5) 禁治産者または準禁治産者である場合。
    (6) 過失、軽犯罪に対する判決を除き、最終判決で禁固刑を言い渡された場合。
   
    第82条 定足数を満たすためには、賃金委員会の会合には委員の過半数の出席が必要で、その中に最低1人ずつ使用者代表と労働者代表が含まれていなければならない。
    第79条の下に基本最低賃金率または最低賃金率の決定を検討する会合では、定足数を満たすために全体の3分の2を超える委員の出席が必要で、その中に最低2人ずつ使用者代表と労働者代表が含まれていなければならない。決議は少なくとも出席委員の3分の2の賛成が得られなければならない。
    最低賃金率の決定を検討する会合では、2項に定める定足数の出席がなければ、最初の会合に指定された日から15日以内にもう一度会合を設定しなければならない。使用者代表または労働者代表が1人も2度目の会合に出席していなくても、全体の3分の2以上のメンバーが出席していなくても、この会合は開催され、決議は出席者の3分の2以上の賛成が得られなければならない。
   
    第83条 委員会議長が出席していない会合や、その責務を遂行できない会合では、出席した委員がその会合の議長を選出する。
    会合の議事進行と決議は単純多数決で行なう。1人の委員が1投票権を持つ。投票が同数であった場合、議長が追加投票して決定投票とする。
   
    第84条 賃金委員会は、委員会の代わりに問題の検討または実行を行なう以下の小委員会の任命権を持つ:
    (1) 最低賃金率小委員会。
    (2) 地方最低賃金率小委員会。
    (3) 委員会が適切と認めたその他の小委員会。
    賃金委員会は小委員会の適切な定足数と運営過程を決定する。
   
    第85条 任務を遂行する際、賃金委員会または小委員会、賃金委員会または小委員会に任命された人物は、以下の権限を持つ:
    (1) 検討に役立てるために必要と思われる場合に、ある人物を召喚し意見を述べさせたり、文書または物品の送付を依頼する書簡を発行する。
    (2) 経済に影響を与える可能性のある活動の調査への協力を団体または人物に求める。
    (3) 第79条に基づく検討のために必要な情報を得るための研究、調査、確認、または、質問をする目的で労働時間中に使用者の事業所または事務所に立入る。これに関連して使用者または関係者は便宜を計り、文書を送ったり作成したり、事実を提供したりしなければならず、その人物の任務の遂行を妨げてはならない。
   
    第86条 第85条に基づく任務の遂行において、賃金委員会委員、小委員会委員、賃金委員会や小委員会に任命された人物は、関係者に対する身分証明証または証明書を作成しなければならない。
    1項に基づく賃金委員会、小委員会委員の身分証明証は大臣の定める書式に従わなければならない。
   
    第87条 最低賃金率と基本最低賃金率の規定を検討する際、賃金委員会は労働者の賃金率に関連する事実を、特に生活費指標、インフレ率、生活水準、生産費、物価、事業能力、労働生産性、国民総生産、経済社会状況などその他の事実と併せて研究し検討しなければならない。
    最低賃金率の規定を検討する際、特定業種または特定地域の全業種について特に規定することもある。
    最低賃金率の規定を検討する際、賃金委員会が規定した基本最低賃金率未満であってはならない。
    ある地域で最低賃金率が規定されていない場合、基本最低賃金率がその地域の最低賃金率とされる。
   
    第88条 第87条に定められる様々な情報と事実の研究の後、賃金委員会は基本最低賃金率と、それと併せて官報で発表するために大臣に示すのに適当と考えられる様々な詳細を規定する。
   
    第89条 第88条の下に最低賃金率を規定する告示は、使用者と労働者の国籍、宗教、性別に関わらず、労使双方に適用される。
   
    第90条 最低賃金率を規定する告示の発効後、使用者は最低賃金率未満の賃金を労働者に支払ってはならない。
    最低賃金率を規定する告示の対象である使用者は、告示の有効期間中を通して、労働者の作業場の掲示板にその声明を掲示しなければならない。
   
    第91条 労働社会福祉省内に賃金委員会の事務所を置かなければならない。その事務所は以下の権限と責務を負う:
    (1) 賃金委員会と小委員会に示すためのプロジェクト計画を準備する。
    (2) 賃金委員会と小委員会、関連機関の計画と運営の調整。
    (3) 賃金委員会と小委員会の検討の際の情報として用いる経済、労働、生活、労働力拡大、労働生産性、投資、基地移転状況、関連情報の対照、研究、調査、分析、評価。
    (4) 賃金と収入政策の発展のために、研究成果と学術的情報とその他の補足的方法の検討結果を労働社会福祉省と関連機関に勧告する。
    (5) 賃金委員会の結論に従い労働のモニタリングと評価をする。
    (6) 賃金委員会または小委員会に割り当てられたその他の業務を行なう。