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HEALTH & SAFETY LABORATORY
資料出所「Health and Safety Laboratory」
(訳:国際安全衛生センター)

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はじめに

デイビッド・ブキャナン所長

HSLは、1995年4月、HSEの系列機関となりました。

以来、当研究所は、直面する新しい難題にうまく対処してきました。また財政目標もすべて達成され、大きな進歩が為されたことをここに報告でき光栄であります。依頼者の方々の満足度も非常に高く、技術目標のほとんどがその域を超えています。この業績と新しい労働環境への対応方法に対して、職員各人に大きな信頼が寄せられています。

新しい地位を得て、HSLに呈示されている新しいビジネスチャンスを有効利用するため、研究所のあり方とビジネス戦略を再検討いたしました。また、安全衛生の分野で半世紀に亘って構築してきた技術と専門性の蓄積が、海外及び英国市場を新たに開拓する機会を提供してくれるものと認識しております。

HSLは、依頼者の方々とより強固で長く継続できる関係をつくり、事故調査に対して迅速な対応を提供するよう努めてまいります。

当研究所の強さは、人材にあります。人材投資家(Investor in people)として認識していただけると自負しております。研究所の素晴らしい評判は、品質管理システムとISO 9001の認証に焦点をあわせることに重点をおくことによって更に拡大されています。

HSLは、更に成功を重ね、依頼者の皆様に適正なる価格で高品質のサービスを提供することを目指して参ります。


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HSLは、イギリスを代表する労働安全衛生の施設であり、国際的にも高い評価を得ています。HSEの系列機関として、HSLは、労働活動から生じる安全衛生への危険を防ぐことを確保するという、HSEの使命をサポートする中枢的役割を果たしています。英国や海外の私的分野及びその他の公的分野の組織に対し、安全衛生の分野におけるHSL独自の技術と専門性を提供します。また、独立していますが相互に関連をもつ7つの業務グループをもち、依頼者の皆様の要求を満たすために、事故及び調査業務のための総合チームを迅速に招集することができます。

主な活動領域は2つあります:

  • 事故調査及び作業場状況の研究を通じた運営支援
  • 労働安全衛生問題の分析及び解決に関する、継続した研究

イギリスに研究所を2ヶ所保有し、職員は約360名おります。その大半が、化学、物理、工学、材料科学、労働心理学、リスクアセスメント、人間工学、生物医学科学、専門写真術をはじめとする広範囲の専門領域における科学者や技術専門家たちです。

シェフィールド研究所には、工学、リスクアセスメント、安全管理、人間工学及び行動に関する研究のための施設はもとより、生物医学科学、労働衛生や環境測定のための研究室があります。バクストンに近い人里離れた、敷地550エーカーのダービシャー研究所は、特に火災と爆発の領域において、大規模実験を行う独自の施設があります。ここにある施設は:ヨーロッパ最大の衝撃トラック;最大級の屋外試験場;爆発及び火災研究用の巨大トンネル2ヶ所;建設業界で使用される足場に対する風負荷の影響を測定する巨大装置、リアルタイムの遠隔測定法を含みます。

労働者の安全と衛生の分野においてすでに確立された評価を基に、専門的アドバイス提供について、当研究所はイギリス内外の組織と数多く協定を結んでおり、これによって専門技術と専門性を活かし、またHSLの技術を補完することができます。HSLの目的は、依頼者の皆様に対し常に最高水準の科学の恩恵を提供することにあります。

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どんなサービスを提供できるか?

HSLは、20年以上にわたり、安全衛生に対するリスクを調査し,それらを防ぐ方法を研究してきました。HSEと一丸となって難題に厳しく取り組んできた結果、HSLは、基準とその基準を満たすための方法を設定する科学的基盤を確立し、科学的・技術的アドバイスを提供して、委託された調査と開発を請負ってきました。HSLの技術及び専門性の大きな特徴は、作業場における事故を証拠立てる法廷調査活動を実施する能力にあります−例えば、クラパム鉄道事故、メイデンヘッド列車火災、ラムズゲイト歩道崩壊など。

作業場がより複雑化し、労働環境に関連した目に見える危険や目に見えない危険が認識されるようになってきたため、HSLは既存の業務を完全なものにするために、−例えば、ヒューマンファクター分野において−新しい技術や専門性を発展させることで、変化する需要に対応してきました。依頼者の方々のニーズを解決するにあたり、適切な時期に適切な人材と適切な技術を結集することで、この方法をさらに強固にします。HSLは、国内・国外を問わず、独立した公平なアドバイスと科学的専門知識をお届けすることができます。

HSLは、独自性の高い組織です。以下のページは、HSLの専門性と施設、及びそれらがどのように使われているのか、広く理解するのに役立つはずです。

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専門性と施設

工程危険管理グループは、危険な活動や作業工程から生じる人と環境への危険を予測し評価します。その専門性は、リスクアセスメントの方法論、安全管理、及び国内外における主な危険へ適用するための検査方法を理解・発展させることにあります。更に、火災力学(fire dynamics)、火災モデル化、トンネル火災、壊滅的な容器(vessel)故障の結果や暴走反応危険の評価、火災及び噴出火災からの容器を保護する方法の開発についても、専門としております。また、可燃性物質、有毒物質、エネルギーの大きい物質の使用、保管、移送をはじめとして、作業工程を起因とする危険、並びに火災との関連性を究明する調査を実施します。依頼者の方々のニーズにあった調査と支援に重点をおき、HSLは研究所内の専門性の発展向上と、計算流体力学(Computational Fluid Dynamics)の分野におけるデータの計算研究に投資してきた結果、火や煙の動き、有毒液体及び可燃性液体の吐き出し、ガス爆発、その他安全性に関連する動きを模擬実験することが可能となりました。長期投資計画の一環として、化学反応装置実験工場;地上及び地下火災実験室、噴出火災試験施設などを含む特殊施設を利用したサービスを依頼者の方々に提供することができます。

爆発管理グループは、爆発性危険を明らかにし、その結果を評価し、防止策を助言する包括的なサービスを提供します。業務内容には、粉じん及びガス爆発の潜在的危険を定量化し、適切な管理方法を助言することが含まれます。EU指令にあわせた技術の向上、並びに爆発性大気・産業爆発物の領域における標準化に対して高まりつつある需要を満たすために、必要な科学的支援を提供します。また、爆発物届出機関ENB(Explosives Notified Body)と共に、爆発物の移動に係わる法令POMSTER(Transfer of Explosives Regulations)に従い市場の動向にあわせて、独自の独立した助言を提供することが可能です。依頼者の方々は、ジーゼルエンジンの検査台、爆燃及び異常爆発防止装置、密閉ガス・排出ガス・粉じん爆発施設などの設備を利用したサービスを受けることができます。

工学技術管理グループは、工学技術構成要素、構造物や電子管理システムの故障に対して調査を実施します。また、エンジニア、材料科学者、専門のソフトウエア開発者らのチームで、質の高い調査を実施し、工学技術に関する相談に応じます。400トンまでの抗張力検査機械、静的分析及び疲労分析のための大型自在検査台、落下重量検査設備、暫定的構造物の検査装置、ワイヤーロープ疲労検査機械をはじめとして、他に類を見ない組み合わせの特注製-機械検査設備を完備しています。また、ヨーロッパ最大の衝撃試験トラックが設置され、研究者は、力、張力、加速の測定に関するデータを提供できる大規模な工学要素の実験を実施することができます。結果データは、数学モデルやコンピュータモデルを有効にするために使用され、真のコンポーネント幾何学的配列のモデリングに信頼を与えます。

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生物医学科学グループは、作業場における衛生の効果を評価する生物学的及び微生物学的モニタリング手法を開発・有効化することに、広範な専門性を備えています。また、管理手順の有効性にも対応し、基準設定、衛生効果のモニタリング及び人間研究の分野において支援します。これら全ての領域において、分子生物学、健康暴露データを収集するための大規模調査、免疫反応の特定、化学物質の蓄積と排出に対して専門技術を提供することができます。最高水準の品質に対するHSLの取り組みは、広範囲の分析に対する英国認定サービスUKAS(United Kingdom Accreditation Service)の認定によって認められています。HSLは、血中の金属元素に関する英国品質評価計画の共同創立者であり、WHOから、共同研究施設に指定されております。継続的開発プログラムの一環として、最近、分子生物学分析を行うカテゴリー3の実験室の製造を発注しました。この新しい施設は、例えば、HIV、B型肝炎、C型肝炎、炭疸菌などの検出で、サンプル分析を行うことが可能です。

作業場管理グループは、作業場における安全衛生リスクの評価及び管理を改善するために、独自の技術助言、調査研究、検査を担当します。HSLは、人間工学と労働心理学の両方を取り巻くヒューマンファクターにおいて、実質的能力を有し更に高めつつあります。安全に関連する人間工学については、コントロールルームの設計、機械からの視界、屋外市(fairground−サーカス、展示場などを催す場所)の安全に関する業務が含まれます。また、滑落事故の調査及び防止における特別の専門技術を研究開発しました。衛生に関連する人間工学については、筋肉-骨格障害の研究のための最新鋭の生体力学実験室があります。ここには、力測定用操作台2台、被験者の四肢の動きを追跡記録するシステム、コンピュータを使った生体力学モデルなどの設備が整っています。労働心理学における専門性では、リスク認識、コミュニケーション、行動に関する毒物学、労働ストレス、安全/管理文化をカバーしています。

HSLでは、噴霧器サンプルの性能評価、空気ろ過の研究、換気装置の実践及び理論研究において、主導的な役割を果たしています。職種によっては、暴露を防止するために個人用保護具が必要で、この分野においては、特に呼吸器保護具の評価及び試験で、長く専門性を確立してきました。検査室では、ヨーロッパ及び国際標準で、保護具の性能を評価することができます。騒音及び振動への暴露は、聴力損失や、振動による白ろう病などの重大な疾患の発病につながります。HSLは、騒音暴露、手-腕及び全身の振動を研究するために最先端の施設を完備しています。具体的には、無響室、防振手袋検査装置、車両の振動を評価するための試験トラックなどがあります。

環境測定グループは、鉱物や繊維を含む、危険な工業薬品及び農薬の測定方法の開発と適合性を担当します。中心的活動の一つに、殺虫剤残留物の測定や技術開発研究方法を含め、依頼者の方々の特殊ニーズを満たすための特殊手法の開発があります。HSLの専門性は、方法の開発、特性(property)予測、モニタリング及び分析にあります。また、実験装置が利用不可能な場合、リスクアセスメント用化学データを分析するためのコンピュータを利用した手法を提供することができます。最近の例としては、皮膚又は呼吸器感作因子を予測するための組織活動を行っており、それには化学物質データベースの開発、作業場における暴露を予想するための経験豊富な専門家制度などがあります。HSLは最高水準の技術サービスを提供するよう常に努力しております。分析活動の品質維持に対するHSLの取り組みは、WASP(Workplace Analysis Scheme for Proficiency)、RICE(Regular Interlaboratory Counting Exchange)、AQUA(Analytical Quality Assurance in Occupational Hygiene)などの各種研究所間の品質保証計画や、ヨーロッパの広範な独創的企画、UKASの認定における一貫した高い業績によって実証されております。

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専門技術グループは、研究及び事故調査業務に技術的支援を提供します。利用可能なサービスは:スチール写真、ビデオ、マイクロ写真及びマクロ写真を使用した科学的記録業務及び法廷用調査業務、1秒あたり40,000フレームの高速ビデオシステムを使用した高速現象の分析。また、訓練及びコミュニケーションビデオを作成し、所内備え付けの非線形編集施設(nonlinear editing facility)も完備しています。ここに掲載されている写真は、このユニットの作品です。

また、総合的な製造制作サービスを提供します:コンピュータを使用した設計、実験のための特殊設備の生産、裁判手続きを支援するための詳細なモデルなど。

HSLは、労働者の安全衛生の分野において最も望ましい実践を推進するために、すべての依頼者の方々のニーズに応え、公明正大且つ独自のアドバイスを提供するよう努力しています。

あなたの安全衛生問題を解決するために、またあなたの要件を満たすために、HSLができることについてさらに詳しい情報は、マーケティング部長のアラン・マッキーまでご連絡下さい。0114-289 2309またはe.mail:allan.mackie@hsl.gov.uk.


HSEの系列機関

Broad Lane
Sheffield S53 7HQ
United Kingdom
  Harpur Hill
Buxton
Derbyshire SK17 9JN
United Kingdom
電話:0114 289 2000
ファックス:0114 289 2500
e.mail:allan.mackie@hsl.gov.uk
  電話:0114 289 2000
ファックス:0114 289 2500