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作業許可システム(Permit to Work Systems)

資料出所:HSEホームページ
http://www.hse.gov.uk/comah/sragtech/techmeaspermit.htm

(仮訳 国際安全衛生センター)



作業許可システム(Permit to Work Systems)

 この技術対策文書は化学プラントにおけるメンテナンス活動というような制御作業に必要となる作業許可システムに関するもので、大規模災害防止を目的としている。

 メンテナンス手順(Maintenance Procedures)、及び検査/非破壊試験(Inspection / Non-Destructive Testing: NDT)に関する技術対策文書も参照のこと。関連するレベル2の基準は、5.2.4.1(91)及び5.2.4.2(95)である。

一般原則

 次の事項が作業許可システムに関連して考慮されなければならない。
  • ヒューマンファクター
  • 作業許可システムの管理
  • 未熟練労働者
  • 無意識的なまたは意識的な無資格
  • 作業許可システムの対象物
  • 要求される作業許可の種類
  • 作業許可の内容
 次の問題は、大規模災害あるいはハザードの要因となる。
  • 現場安全管理システムのミス
  • メンテナンス前及びメンテナンス中のハザードの認識のミス
  • ハザードな環境下での作業許可システム順守のミス
  • 作業許可システム使用中のコミュニケーションのミス
評価者が作業許可システムに関して考慮すべき関連要因

 安全報告(Safety Report)には、次の事項が含まれなければならない。

  • スタッフは作業許可システム実施中、潜在的な人為的ミスを最小限にするため、十分な情報、教育、訓練、及び監督を与えられていたかどうか。
  • 作業許可システムに十分な安全情報、メンテナンス指示事項、適切な個人用保護具(PPE)及び必要な使用工具が含まれているかどうか。
  • 作業許可は必要な作業形態(機器の取り外し作業、掘削作業、暑熱/寒冷作業、シール修繕作業、タンク内作業、廃棄物処理作業、隔離作業)に関する十分な情報を含んでいるかどうか。
  • 作業許可システムの要件を満たすために利用可能な十分な設備があるかどうか。
  • メンテナンス作業管理に責任を持つ労働者が作業許可システムの中で特定され、その作業が責任者によって厳密に認定されているかどうか。
  • 作業許可システムが、管理され、定期的に検査され、且つ見直されているかどうか。
  • 全ての作業許可が記録保持されているかどうか。
  • ヒューマンファクター(ストレス、疲労、交替制勤務、作業態度)
  • 作業許可開始前に、十分な予防措置が取られているかどうか。(隔離、排水、洗浄、環境モニタリング、リスクアセスメント、コミュニケーション、決められた作業時間)
  • 作業許可の実施中スタッフは自分が働いている環境の種類に気付いているかどうかどうか。(可燃物、腐食性物質、爆発物、区画0、1及び2、電気供給)
  • プラント運転責任者は必要なメンテナンスの種類及びどの位の時間がかかるのかについて知っているかどうか。
  • 作業許可システムには、整備されたプラントあるいは機器類が運転再開にいたる正式な手順が含まれているかどうか。
主なハザード

 主なハザードは次のことにより生ずる。
  • 誤った作業許可型の使用
  • 作業許可に要求された作業に関する誤った情報。
  • 作業実施場所でのハザードの誤った認識(例:可燃物質)
  • 火気使用禁止区域での発火源の使用(例:溶接、発火工具、非本質安全機器の使用)
  • 作業許可条件の非遵守(例:プラント及び/あるいはハザードな物質の排水ラインを隔離しない等)
  • 作業完了時/作業許可の解除時における安全状態でのプラント引き渡しのミス。
  • 許可されないスタッフが許可機能を実施すること。
  • 作業許可システムの管理不十分。
  • 作業許可システムの不十分なモニタリング。
作業許可システムに関するガイダンス

 以下のHSE出版物は、作業許可システムに関連する安全事項、関係ガイダンスとして利用できるものである。

HS(G)5 Hot work : welding and cutting on plant containing flammable materials
(暑熱作業:可燃物質を含むプラントの溶接及び切断)、HSE(現在のHSEリストにはないもの)
第3節は、作業許可システムを使う業務を計画し、コントロールすることにより、可燃性となりうる区域での溶接をする時に必要な防止対策について説明している。
第72節は、作業許可システムをコントロールする管理の重要性について説明している。
第73節は作業許可システムを実施する際に従わなければならない原則について説明している。

HS(G)48 Reducing error and influencing behaviour(エラーの減少と行動の促進)、HSE、1989
第27節は、作業者が意図的に、オペレーターを助ける作業許可システムに従うことを拒否した場合の意図的な無資格ついて説明している。呼吸ラインがアセスメントされなかったために、オペレーターが空気に代わって窒素を吸入した。もし作業許可システムが適切に管理されていたならば、このような出来事が起こらなかっただろう。

HS(G)51 Storage of flammable liquids in containers(コンテナ内に可燃性液体を貯蔵)、HSE、1998
第48節は、作業許可システムについて説明し、予想される内容を要約している。

HS(G)64 Assessment of fire hazards from solid materials and the precautions required for their safe storage and use(固形物質による火災のハザードのアセスメント及びその安全な貯蔵と使用に求められる防止法)、HSE、1991
第28節は、溶接、切断あるいは研磨のような発火源が導入された場合の作業許可システムに対する必要性について説明している。そのシステムは、防火対策の必要性を含む。

HS(G)65 Successful health & safety management(成功する安全衛生マネジメント)、HSE、1997
Inset11の項の下の「Devising Risk Control Systems RCSs(リスクコントロールシステムの考案)」と呼ばれているセクションでは、マネジメントコントロールのループ、すなわち計画(plan)、実施(do)、評価(check)、改善(act)の例として、作業許可システムを説明している。それは、リスクがコントロールされ管理されるなら、どのようにして作業場のリスクは削減されうるのかを示している。

HS(G)77 COSHH and peripatetic workers(COSHH及び期間労働者)、HSE、1992
第19節は、COSHHアセスメントにおける作業許可システムの包括について説明している。化学プラントで作業が実施される場合のリスクに対する安全防護の重要性に焦点を当てている。

詳細文献

 以下の出版物は作業許可システムに関する有用な文献である。

「OIAC、石油産業における作業許可システムのガイダンス(OIAC. Guidance on permit-to-work systems in the petroleum industry)」、石油産業諮問委員会(Oil Advisory Committee)、 HSC、1997

IND(G) 98 (Rev 3) 「 作業許可システム(Permit-to-work systems)」、HSE出版物オンラインで無料で入手可、ISBN 0 7176 1331 3、HSE、1997

「石油産業における作業許可システムガイダンス(Guidance on permit-to-work systems in the petroleum industry)」、ISBN 0 7176 1281 3、HSE、1997

「プロセス産業における損失防止:危険有害性特定、アセスメント及びコントロール(Loss Prevention in the Process Industries: Hazard Identification, Assessment and Control )」(Frank P Lees 1996, 2nd Edition, vol 2 ch. 20 and 21. ISBN 0 7506 1547 8. Published by Butterworth Heinemann)

作業許可システムの重要性を示したケース・スタディ

Hickson and Welch Ltd Fire (22/9/1992)

Pasadena - Phillips 66 (23/10/1989)

San Francisco Natural Gas Pipeline(25/8/1981)