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職場のアスベスト管理規則の改正について(2002年11月)
(Control of Asbestos at Work Regulation 2002)

資料出所:イギリス政府刊行物出版局(Her Majesty's Stationery Office)
http://www.hmso.gov.uk/si/si2002/20022675.htm

(摘要 国際安全衛生センター)



1.概要
 本規則は、1987年事業場における職場のアスベスト管理規則を改正し、自ら保有する事業場以外の建造物における石綿を管理する義務を明確化し、石綿の利用が禁止された現在においても存在する偶発的な石綿の暴露の可能性を排除することを目的とする。

2.主要改正点
(1)自ら保有する事業場以外の建造物における石綿管理の責任を規定したこと。建造物の改修及び管理責任を有する者は、当該建造物において石綿含有物質が適切に管理されるようにしなければならないこととし、当該物質の所在及び状況に係る情報を当該物質の適切な管理を損なうおそれのある者に対して伝達しなければならないこととしたこと(第4条関係)。
(2)石綿暴露による危険の評価を実施する際に考慮すべき事項を拡大するとともに、作業環境の測定の結果、必要と認められる場合に危険の評価を見直すべきこととしたこと(第6条関係)
(3)事業主に対し、作業過程における石綿の利用に係る作業場又は石綿含有物質の除去・補修に係る作業場における緊急事態への対処方法を予め準備すること及び対処方法に関する情報提供並びに緊急事態における警告システムの確立を行う義務を課すこととしたこと(第14条関係)
(4)労働者の石綿暴露がアクション・レベル(安全衛生局が承認した方法により測定又は算定される12週間以上継続した石綿の累積暴露水準:例えば、クリソタイルのみの場合1ml当たり72本・時間)を超えるおそれがない場合又は第10条(1)(注:基準値以下への暴露の軽減措置が合理的に履行困難な場合に保護具の利用等による代替を認める規定)により他の方法による作業を指示することを除き、空気の測定を行わなければならないこととすること(第18条関係)
(5)石綿を含有しているかどうか確認を行うために分析を行う者は欧州基準EN ISO/IEC 17025に従わなければならないこととすること(第20条関係)
(6)就労に係る石綿暴露に起因する特定の疾病や健康上有害な影響が認められる労働者に関する健康診断結果及び記録に関する事業主の義務を拡大すること(第21条関係)
(7)石綿の拡大防止分野は切り離されていることから、英国安全衛生庁が単独で監督機関とならないことを明らかにするための1998年労働安全衛生(監督機関)規則(Health and Safety (Enforcement Authority) Regulation 1998)の改正(第27条関係)

3.自ら保有する事業場以外の建造物に係る具体的な事業主の義務
 建造物に石綿が存在する場合にその量及び状態を確認すること
 明白な証拠がない限り、物質に石綿が含有されていると推定すること
 作業上における石綿関連物質又は推定石綿関連物質の所在及び状況を記録し、更新すること
 物質の危険性を評価すること
 物質の危険性の管理方法に係る詳細な計画を作成すること
 の計画にしたがって必要な措置を講ずること
 の計画を監視及び見直し、必要な変更を行うこと
 物質の所在及び状況に係る情報を当該場所で作業し又は物質を加工する者すべてに提供すること
 当該建造物の利害関係者は、事業主と共同して危険を管理する責任を有すること

4.施行期日
 2002年11月21日(ただし、第4条の規定については2004年5月21日、第20条の規定については2004年11月21日)