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職業性喘息のための新しい公認実施準則

資料出所:英国安全評議会(British Safety Council)発行
「SAFETY MANAGEMENT」2003年3月号 p.49

(仮訳 国際安全衛生センター)


イギリス安全衛生庁(HSE)によると、職場で危険有害物質を吸い込んだ結果、毎年3,000人近い人々が職業性喘息を発症し、イギリス経済に年間460万ポンドの損失を与えていることが明らかになった。
 吸入によって喘息の原因となるアレルギー反応を引き起こす物質は、数百種類も存在する。塗料に含まれるイソシアン酸塩、化学薬品、糊、並びに木材、小麦粉及び穀物の粉じんがそれらに該当する。
 結果として、事業者は、「2002年有害物質管理規則(Control of Substances Hazardous to Health Regulations 2002 : COSHH)」のもとに、業務に起因する喘息を引き起こす物質への暴露の防止策・適切な管理対策を導入する法的な責務を負っている。特に、事業者は、職場でその他のより害の少ない物質を使用することが出来るかどうか、あるいは、業務に起因する喘息のきっかけとなる物質への暴露から労働者を保護するために作業工程を囲う、又は換気装置を設置することが可能かどうか検討すべきである。
 もし職場でこれらの対策が取られた後も暴露管理出来ない場合、最後の手段として、事業者は適切な呼吸用保護具を労働者に提供しなければならない。
 しかし、職業性喘息をさらに削減するために、2002年12月にHSEは、病気の原因となる物質の管理に関する新しい公認実施準則(Approved Code of Practice: ACoP)を発表した。
 ACoPは、2002年有害物質管理規則(COSHH Regulations 2002)に関する最新改訂版ACoPの付属文書として発行されたもので、事業者はいかなる法的義務も負わない。そのかわりに、業務に起因する喘息の原因となる物質への暴露をいかに管理するかということに関し、実戦的なアドバイスを提供することによって、事業者がCOSHHのもとで現在の法的義務を遵守する手助けをすることを目的としている。
 特にACoPは、COSHHに従ってリスクアセスメントを実行している事業者は以下のようないくつかの要因を念頭に置くべきだということを明確にしている。

短期間に高い濃度の物質に暴露する可能性のある労働者を含む、喘息を引き起こす物質に暴露する可能性のある全ての労働者を対象としている。
職場における危険有害物質の暴露により労働者が喘息を発症した場合、リスクアセスメントを見直す必要がある。

 これに加えて、ACoPは、労働者が職場で喘息を引き起こす物質に暴露する危険性がある場合、事業者は、病気が確定したケースに対処するための手順を決定しなければならないということを明確にしている。病気の原因が調査されている間、関係労働者を保護し、今後更なる喘息を防ぐために、物質への暴露に対する措置をとることも含む。
 最後に、労働者が業務に起因する喘息の原因となる物質に暴露されるおそれがある事が、リスクアセスメントにより判明した場合、事業主は適切な健康調査を実行しなければならない。事業者は又、労働者に、喘息の症状やそれらが及ぼす長期に渡る健康への影響についての情報やトレーニング、病気発症から労働者を守る職場における規制を提供しなければならない。