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高クロムセメントの禁止で、職業性皮膚炎は減少する(HSCの見解)
Cement ban will reduce cases of work-related dermatitis, says HSC

資料出所:英国安全評議会(British Safety Council)発行
「SAFETY MANAGEMENT」2004年4月号 p.12

(仮訳 国際安全衛生センター)


 英国の建設業界で一般的に使用されているある種のセメントは、安全衛生委員会(Health and Safety Committee: HSC)が提出した新しい法案により、使用禁止になるかもしれない。
 HSCは現在、皮膚に接触した場合にアレルギー性皮膚障害の原因となることが知られている高クロムセメント(high-chromium cement)を企業が供給、使用することを違法とする計画について意見を求めている。HSCによると、コンクリート、モルタル、グラウト及びタイル接着剤うち、高クロムレベルの物も禁止対象に含まれることになる。

供給及び使用の禁止

 この法案は2005年1月に施行される予定であり、六価クロム含有量が2ppm以上のセメントの供給及び使用を禁止しているEU指令を、英国内法に取り入れることになる。
HSCによると、現在英国で使用されている大部分のセメントは、これよりも高いレベルのクロムを含有している。
 この動向に関し、安全衛生庁(Health and Safety Executive: HSE)の皮膚障害政策担当部門の長であるBill Macdonald氏は次のように語った。「この禁止措置は、皮膚障害に対する我々のキャンペーンにとって重要なステップとなるものである。皮膚炎は被災者に大きな不快感を与える大変厄介な病気である。多くの人々が仕事を辞めることを余儀なくされ、一生涯、手に痛みや傷害が残ることも多い。」
 HSEの推計によると、英国全体ではセメントに含まれる六価クロムとの接触で、毎年400件にも上る新しい皮膚障害が発生している。しかし、セメントの六価クロム含有量は、製造業者が還元剤を追加することで安全レベルに低減することが可能であり、セメントが正しく貯蔵された場合、この効果は約6ヶ月持続する。
 セメントの六価クロム含有量が還元剤の使用により安全レベルに低減された場合、セメント製造業者には、梱包袋に安全な貯蔵条件とともに使用期限を明示することが要求されることになるだろう。

密閉された作業工程


 HSCによると、完全に自動化され十分に密閉された作業工程でセメントが使用され、人々の皮膚に接触するリスクがない場合には、この禁止措置は適用されない。
 一方、HSCは有害物質に対する暴露限界(occupational exposure limit: OEL)の新しい枠組みを導入する計画を進めることを正式に発表した。この提案のもとで、現在のシステムは優良な労働衛生慣行の原則に基づいたガイダンスにリンクした単一のOELに置き換えられることになるだろう。
「A Further Consultative Document on the Proposed Control of Substances Hazardous to Health (Amendment) Regulations 2004, CD195」は、www.hse.gov.uk/consult/live.htm で閲覧できる。


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